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うそめがねチビ文庫

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筆者の創作noteです。ほとんどショートショートです。
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2017年8月の記事一覧

【短編小説】スマホ機種変更して新しいスマホケース欲しいなーと思ってるときに書いた小説

“スマホにはケースを。”  グ・ラマス市のスローガンである。  生活に欠かせないスマホにはケースを装着して落下などの強い衝撃に対する安全性を高めよう、という意味もあるが、これは、もはや身体の一部であるスマホを用いた一種の慣用句である。 「えっ、そうなん?」  パンクバンドTを着こなす女――アレギレは、わら巻の水戸納豆型のケースを装着したスマホから顔をあげた。 「おれも昨日しってさ」ケースを装着していない白いスマホを片手に、ジェスターが言う。リーゼントがクールな青年

【短編小説】ホワイトアウト・セッション

 その小さなホルモン屋は、白い煙が充満していてもうホルモン屋なんだか何なんだかわからなくなっていた。  何人かが同時にホルモンを焼くとすぐにこうなる。  風呂に入っても丸1日は身体から匂いが消えない。 「でもうまいんすよね、ここのホルモン。ねっ、津軽ちゃん」 「津軽ちゃんなら、外で電話してるぜ」 「あっ、加地さんいたんですか」 「いや、途中参加。ってか、キミ誰? 水戸くんだっけ?」 「水戸は来てないです。俺、草間です」 「草間かあ。久しぶりだな。元気そうだな、煙で見えないけ

【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第1話

 からからん  とドアベルが鳴り、暑気を帯びた夏の空気と一緒に入ってきたのは虎之介だった。虎之助は近所の小学校に通う4年生だ。皆からはトラと呼ばれている。タイガーと呼ぶものもいる。トラは、彼にはやや高すぎるカウンター席の椅子に飛び乗るように座ると開口一番、 「おっちゃん、いつもの!」  乱暴な注文を受けた男は、やれやれ、といった風情でゴブレットにかち割り氷をいっぱいに詰め、そこにマンゴージュースを注いだ。 「毎度毎度……こりゃタイガーのためのメニューじゃあないんだぜ?」