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うそめがねチビ文庫

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筆者の創作noteです。ほとんどショートショートです。
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2018年10月の記事一覧

シューターの憂鬱〜マッスル☆みんち編

 この小説は、冒頭800文字の面白さを競う比類なきコンテスト《逆噴射小説大賞2018》の応募作です。 「おい!大丈夫なのかオマエ」ごりっ、とパンクファッションの女の頭に銃口を押し付けるが「……」ピュピュン、ボカンボカン!女は意に介さずシューティングゲーム《マッスル☆みんち》に興じている。手元にはメモ帳があり「218,750」の文字。意味不明だ。「クソッ…オマエで最後なんだぞ」足元には死体。頭部が吹っ飛んでいる。 そのゲームセンターにいる客はおれたちと“ヤツら”だけ。銃口

珈琲人ダブルドラゴン〜おせっかい旅情編〜

「畜生。変わんねぇな」 どこまでも優しい珈琲だった。一口で虜にする強く華やかな一杯ではなく、路傍の名もない花めいて。 旅のドリップ屋(珈琲を淹れる者)をしながら訪れた海辺の町に喫茶テルミヌスはあった。 店主、夏日星ルリとは旧知の仲だが、俺のことを覚えていなかった。 「ルリは、ノラ猫のようにふらりとやってきたのさ。記憶を失ったままね」 バーで隣に座る女が言う。テルミヌスの管理人、マギーだ。 「原因は?」俺は地サイダーを片手に問う。 「断片的にわかるのは」マギーはスコッチを口