ぼくとパンと人間たち〜『聖・麺包エクスキャリバー』
これはひとりの人間と、その人生のターニングポイントに産まれたパンを取材した、いわばひとりと一個の魂の記録である。
赤、黄色、だいだい。
私を包むあまりにも鮮やかな極彩色は、それらの色のはじめのルーツじゃないかと思えるほどの眩しさだ。
私が今いるのは田名部山。
暖かい土地柄のため、もう初冬だというのに、あたりは近くの木々から枝葉の隙間にのぞく遠く山々の稜線まで、一面美しい紅葉が広がっている。微風が葉を優しくゆらし、近くにある小川のせせらぎが耳に心地良い。
空気が