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この小説は、冒頭800文字の面白さを競う比類なきコンテスト《逆噴射小説大賞2019》の応募作です。 観測史上最大と目されていた大雨が、結果的には穏やかな小雨に終わったその日の夜半、満月の夜。赤提灯が誘う扉の奥は喧噪に包まれていた。 隣と話すのも苦労するほどなのに、むしろそれが心地良い。 人の数だけあるタフな日々を、冷えたビールで流し込み、壁中に貼られた赤札から選んだ酒肴に箸を伸ばせば、積んだ功徳の報いとばかりに皆一様の幸福へ昇る。 「生きてて良かったああああ!」