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【感想文】クレーンゲームはやめられない

 あの、『鬼滅の刃』というマンガが夫婦そろって大好きである。そして、最近アニメの第一期も大好評のうちに完結し、グッズ展開も旺盛なんである。
 で、夫婦で休みいっしょのときに、いざ、そのグッズを得んとシティに繰り出した。
 しかし大変なことである。『鬼滅の刃』のガチャガチャが近隣のアニメイトに入荷したとの報せをツイッターで確認しても、たどり着く前には「完売しました」とのツイート。
 クレーンゲームの景品として入荷したとの情報を掴み赴けば、順番待ちが出来ており、挑戦する者みな、取れるまでやめぬ、とばかりに連コインの構え。同じ景品の筐体は他にもあったが、「故障中」の貼り紙。きけば「熱暴走おこしてダメになったんですよ~」とのこと。そんなことあるのか!? なんたる『鬼滅の刃』ファンの業務用マシーンすら参らせるボルテージか!
 そして、我ら夫婦で挑戦するが、一向に取れぬ!
 数千円ついやしたところで、これは身をくずすと、退いたが、これは敗北である。
 好きなコンテンツにまつわる欲しいグッズが一向に手に入らない! 叶わぬ恋! 目の前にあるのに手に入らぬ、片想いの陣!
 相当くやしく、へこみ、敗北感で食欲が減退。それまで合間に美味しいコッペパンを食べ歩きしたり、たのしいデートの一日でもあったが、視線は自然と下を向いてしまい、気を抜くと膝をついてしまいそうであった。

 費やした時間とお金……得られたものは、ない。
 いや、本当にそうか?
 巡り巡って、大好きなコンテンツへの投資になってると考えられるんじゃないか。
 それに、得られないのはくやしいけど、得ようとするのは楽しいじゃないか。追いかけてるときが一番たのしいじゃないか。
 でも、やっぱり『鬼滅の刃』グッズ欲しい! くやしい!
 ああ、大好きになったコンテンツは、そのグッズを巡るバトルフィールドは、ライバルひしめく過酷なメキシコであったか……。

 そんな荒んだ心で、ふと思い出したものがある、ゲームセンターに貼ってあったあるポスター。あるマンガのポスターである。

『クレーンゲームはやめられない』

 キャッチコピーは
“クレーンゲームで「ぐぬぬ……」ってしてる女の子は好きですか?”

 敗北に、意味を。
 この最大限に「ぐぬぬ……」となってる我が心の状態は、もっともこのマンガを楽しめる状態なのでは無いか。敗北の後ろ向きな感情を、ひとつの最高に共感できるマンガとの出会いというポジティブな出来事の種子であったということに転化できるのではないか。
 マンガをピンポイントに心に処方する薬として求めたのは初めてだ。

 ……と、ここまでは、マンガを読む前に書いた。
 で、いま読み終わったが、大人気コンテンツのグッズ争奪戦のタフさ以前に、まず、クレーンゲームがそもそも完全なる過酷なバトルフィールドであり、ならず者がたむろする荒野の酒場に入るなり客全員から拳銃で蜂の巣にされる状況を生きて突破するまで何度も繰り返す無間メキシコであるということがわかった。
 いや、マンガの内容はめちゃめちゃ面白く、本当に、いま読んで良かったと思えるマンガだった。クレーンゲームやったことある人ならわかる状況に、一喜一憂する主人公の情動に共感しつつ笑ってしまう。
 ああ……今日あじわったくやしさは、推しのグッズを欲す全ての恋する人々が通る道だったか。ありがとう。がんばるよ。がんばろう。ほどほどに。

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