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過去絵をふりかえる【2016~2022】

 さっきから「○時になったらワンライやるから!」とかいいつつずっとごろごろしている。
 マジでやる気がないので、過去に描いたデジタルイラストをふりかえってみることにした。

 なお、紹介するイラストの制作環境はすべて同じで、iPhone6sの『アイビスペイントX』。いずれもペンは使用していない。
 そのため、純粋な画力や絵柄の変化を追える――といいたいところではあるが、この6年でアイビスもめちゃくちゃ進化しているので、それに助けられているところが多かったりする。
 アイビスペイントはいいぞ!


●2016年

 記念すべき初のデジタル絵。なぜ餅巾着なのかは謎である。9月だからおでんシーズンでもないし。

「自分もデジタル絵描きたいけどパソコンとかないしな~」と思いながら調べたところ、アイビスを発見して即インストールした記憶がある。

 これ以降、しばらくは『あんさんぶるスターズ!』や『白猫プロジェクト』の公式イラストをトレスして遊んでいた。


 記念すべき初の人物絵。『ポケットモンスター』シリーズに登場するアクロマさん。
 手違いで一度消したあとに再保存したため、いつ描かれたか詳細な日付は不明。9~10月のどこかであることはわかる。

 ガッタガタの線画とガチグレーの影色。謎のポーズに加え、画面下部にへろへろな筆記体で書かれた「Achroma」の字が哀愁をただよわせている。

 アクロマさんの髪型はいま見ても難易度が高いので、それにしてはがんばったほうな気がするし、そんなこともない気もする。


 10月15日、初の女の子絵。『アイドルマスターシンデレラガールズ』の星輝子。

 特筆すべき点のない、順当にヘタな絵である。視線がイマイチぱっとしない。この輝子はいったいどこを見ているのだろうか。
 さっきのアクロマさんもそうだが、この頃は背景をアイビスの素材に頼りがちだったように思う。いまも要所要所でありがたく使わせていただいている。

 彼女が登場する『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』というゲームには、MV鑑賞の際に画面全体をほわほわさせる設定がある。
 初期の頃はその設定にしてMVを見ていたため、イラストもそれに影響されたのではないかと考えている。


 12月31日、『白猫プロジェクト』のエクルちゃん。このあたりから、キラキラな目に憧れはじめる。

 線画の技術は上がっているのだが、肝心の塗りがエアブラシ丸出しで引くほど安っぽいのが残念すぎる。
 影の色も全体的に明度が高すぎる。
 首元は加算・発光丸出しなのだが、これはまあ金属だろうしいいんじゃなかろうか。

 ちなみに同日は、この前にもう1枚イラストが描かれている。
「イラスト描くぞ~」といいながら昼夜ごろごろしている現在では、想像もできないほどのやる気だ。


●2017年

 年が明けて2月23日。

 あまりにお粗末な前髪の描写や、ないほうがマシなレベルの眼鏡が悪目立ちしているが、目の描写はなかなかよい。
 メインカラーとは違う色相の色を加えるという試みは、以後1年以上のイラストにおいてほとんど見られないため、オーパーツ感がある。

 全体的な色彩も、前のエクルに比べれば、まだ見られる程度にはなっている。
 このあたりから、まつ毛に色をつけることを覚える。


 5月6日、『白猫プロジェクト』のミレイユちゃん。このあたりから、顔面の左右が安定してくる。

 キラキラにするには濃い影も必要だということに気づいたようだが、目を占める影の範囲が広すぎる絵になってしまった。

 ほかの影はこれまでと同じくボヤボヤしており、髪のハイライトはおそらく加算・発光レイヤーだろう。
 エアブラシ・ぼかし教および加算・発光教から脱却するのは、まだまだあとのことになる。


 9月2日、ご存知VOCALOIDの初音ミクちゃん。

 頭でっかちなのがかなり気になるイラスト。脚もどこから生えているのかわからない。
 ポーズは棒立ちだし、手は作画コスト削減のためか、萌え袖みたいな状態にしてぐっとにぎっている。

 しかし、髪の塗りが凝っていたり、服のしわが表現されていたりと進歩している部分も多い。目の影も適正量。線画のガタガタさも、かなり改善されている。
 そもそもこれまでのイラストはほぼ顔だけなので、身体をちゃんと描いていること自体が進歩だと思う。身体はいまだに苦手だ。


●2018年

 4月12日、『Fate』シリーズのセイバー。

 髪にまったく影を入れないという、なかなかチャレンジングな試みをしている。この塗りはいま見てもよいと感じる。

 目の塗りもいままでとは異なり、ソリッドな雰囲気だ。ひとみの真上に入った青い光がクールでよいと思うが、目全体を見ると安っぽい印象が否めない。

 とはいえ、チャレンジ精神的な意味でお気に入りのイラストのひとつだ。


 8月4日、『白猫プロジェクト』のロイド。

 ちょっとだいぶ心配になる感じの体躯をしている。細く補足すると、ロイドはこんなに華奢ではないし、むしろどちらかというと筋肉質なほうだ。

 いっぽう、手のほうは脂肪がついたような丸っこい感じで、身体と比べてアンバランスな印象を受ける。これはおそらく、自分の手を見ながら描いたためであろう。かなしい。

 それでも顔面の造形は悪くないと思う。
 また、背景にあわせて人物も暗くなっていたり、服にちょうちんの赤みがうつっていたりと、状況にあった表現もできるようになっている。
 そもそも背景がちゃんとあったり、シチュエーションの想定ができていること自体が進歩だと思う。


 11月15日。かわいい。


●2019年

 2018年後半~2019年あたりは、イラストにもっとも真面目に向き合っていた時期だった。
 しかし、当時よく描いていたのは実在人物。センシティブ系でないとはいえ、かなりデリケートなジャンルであるため、ここには掲載することができない。
 よって文章での説明となる。

 以前も目の描写に関しては力を入れていることが感じられたが、この年はさらに髪にも注力していたようだ。
 透け感や流れを意識した塗りが多い。
 髪のハイライトは、上のロイドのイラストの形がもっとも近い。
 2018年10月には前髪に肌色をのせる手法をとりはじめ、同年12月以降、現在にいたるまで自分のイラストではスタンダードになっている。

 いっぽう、目のほうはキラキラを通り越してギラギラになっているものが少なくなく、見ていて「お、おう……」となる。
 この年以降、現在にいたるまでMika Pikazo氏には強く影響を受けている。氏のイラストをガン見しながら目の塗りをパクりまくったはずなのだが、いま見るとどれも全然似ていない。

 2019年後半にはスーパーデフォルメに本格的に手をつけはじめたが、なにも考えずに描いていたので上達はまったくなかった。

 また、この頃はメンタルというか、絵の向き合い方の変化が大きかった。
 2018年の後半あたりから、これまではさほど意識していなかった絵の上達について、強く望むようになった。
 インターネットの無料講座サイトやメイキングをしばしば見るようになり、技量がある程度向上した。
 この時期以降のイラストは、いま見てもやりたかったことはわかる、というものが多い。

 しかし、この時期はなかなかうまく描けないもどかしさが、絵を描くことの楽しさを上回ることが増えた。ついには絵を描くということ自体に楽しさを見いだせなくなった。
 ただ自分の絵を見てはそのつたなさに落ちこみ、他人の絵を見ては嫉妬に狂っていた。
 上述のSDイラストの量産もそのメンタルの副産物で、界隈でうまかった人がよくSDを描いていたため、嫉妬から好きでもないのにSDを描きまくっていただけだった。


●2020年

 1月28日、『刀剣乱舞』の明石国行。

 髪の塗りは、上述した特徴がよく残っている。
 目は、キラキラ塗りがキャラクターに合わなかったためかシンプルなものになっているが、苦労の色が見てとれる。
 眼鏡も、レンズの描写をだいぶがんばっているのが伝わってくる。
 口元は慣れないことをしてスベった感が否めない。

 髪のハイライトの上部に、彼と関連の深い蛍丸と愛染国俊を意識したと思われる緑と赤が乗っている。
 全体を虹色にするゲーミングハイライトはたまーにやるが、それ以外で特定の色を乗せるのはなかなかめずらしい。

 背景はめちゃくちゃ手抜きなのだが、色味も雰囲気もあっていて、見映えは悪くないように思う。


 4月4日。

 髪の塗りが変わっている。マジでなんの前触れもなく変わっているから謎である。
 これの1ヶ月くらい前に『太鼓の達人』にハマったので、そのシンプルな絵柄に影響されたという見方もできなくはない。
 いままで比較的複雑な髪の塗り方をしてきたことの反動という考え方もできる。
 が、おそらくはMika Pikazo氏の髪の塗りをマネようとして失敗しただけだと思われる。
 以後、髪の塗りはこれに近い形で安定する。

 明石国行でスベった唇の塗りを、なぜかまたやっている。もう懲りたのか、これ以降、同様の特徴はみられなくなる。


 11月13日。VOCALOIDも出ているバンダイナムコのキャラクター、ミライ小町。

 実際のイラストがないので伝わらないのだが、目の描写が前年と比べてかなりシンプルになっている。
 髪のハイライトの下にある影が濃すぎて、ハイライトが浮いて見えてしまっている。同様の欠点は、同時期のほかのイラストにもみられる。

 胸まわりの描きこみがやたらと多いのが目につく。金属の表現はまあいいんじゃなかろうか。
 服の影にある青い反射光は、不自然ではあるが近未来的でクールだと思う。

 この時期は、さいとうなおき氏の動画をよく観ていた。サムネイルもタイトルもうさんくさすぎて、おすすめ欄に出るたび観たら負けだという謎の対抗意識をもっていたのだが、いざ観てみると役立つ情報だった。

 これよりも前のことだが、モ誰氏の100日チャレンジにも沸いていた。あれはスゴかった(小並感)。

 また、この頃から自分は絵がヘタだという現実を受け入れはじめる。
 他人の絵を見ても嫉妬するほどの覇気もなく、上手い絵を見るたびにただただ気力が削られるようになる。
 2020→2021の年末年始に前ジャンルや現ジャンルでいろいろあったのもあり、以降メンタルは不安定な状態で安定する。


●2021年

 1月31日。『電音部』の鳳凰火凛ちゃん。

『太鼓の達人』で私の好きな2000シリーズを作曲されているLindaAI-CUE氏は、派手な色を好む方である。
 その影響を強く受けたためか、キャラデザが元々派手な火凛ちゃん以外のイラストでも、2020年末~2021年初頭は特に派手な色遣いが目立つ。

 全体的によくできていると思う。
 硬いものはソリッドな塗りを、柔らかいものはふんわりとした塗りを、という塗りの基本をようやくおさえている。
 特にヘッドホンの塗りには目を見張るものがあるが、おそらくこれは参考にしたキャラクター立ち絵を描いたMika Pikazo氏の手柄である。

 どちらかというと立ち絵的な印象が強く、一枚絵としては地味なのが残念なところ。


 2月23日。

 派手な色遣いやパキッとした塗りの反動からか、落ち着いた彩色や厚塗りに興味をもちはじめる。線画がマジで嫌だったのもある。

 厚塗りをはじめてからは、光と陰影を特に意識するようになった。このイラストにも、髪の塗りにその特徴が出ている。

 肩の塗りの透明感がなかなかよいと思う。


 7月20日、ミライ小町。

 単純にヘタクソな服とか、労力のわりに出来がアレなポンポンとか、平面的すぎる髪とか、残念なところは目立つものの、全体的にはいい感じだと思う。

 普段は手を抜きがちな背景をがんばった。ポンポンを中心として、曲線的なエフェクトを集中線状に配置することで勢いのあるイラストにしようと試みた。
 そんなに勢いは出なかったが、透明感、涼しさ、みずみずしさとかそういうものは表現できたんじゃないかと感じる。

 鎖骨とふとももの塗りが謎に凝っている。


 9月22日。

 顔まわりがよく描けている。
 服の塗りも中のシャツはともかく、ジャケットはまあまあの出来だ。
 眼鏡のレンズは、シンプルな表現ながらもしっかりと存在感がある。

 シチュエーションの想定がしっかりしており、背景もちゃんと描いてやろうというやる気を感じる。

 これは厚塗り期の終わり頃のイラストになる。
 線画が嫌すぎて厚塗りに手を出したが、よく考えたら塗りもそんなに好きじゃなかった。
 しかし厚塗り期に得たものは無駄ではなく、のちのイラストにも生かされている。

 たとえば、描写でいえば光の表現は厚塗り期以前よりも進歩している。
 また、レイヤーが増えがちだという悩みも解決された。厚塗り期以降はベースの塗りのレイヤーを色ごとに分けず、すべてひとつに収めるようにしたため、レイヤー構成がすっきりした。


 10月8日、『しんぐんデストロ~イ!』のラティーさん。

 スーパーデフォルメの描き方は上倉エク氏に影響を受けたという自覚だけはあるのだが、全然似ていない。自分のやる絵柄パクはまったく似ない。

 SDイラストにおいて、目立つ特徴を大きく描くというのをやったことがなかったのでやってみた。
 胸元のタイを強調してみたが、位置がズレて結果として残念なことになっている。それ以外のところはまあいいんじゃないかと思う。

 背中からしっぽのように伸びているS.T.A.R.ラインの先端の表現がなかなかよい。
 ただ、うねうねしているところが躍動感に欠ける上、単純に目障りなのが残念。

 地味に作画コストが高いしバランスをとるのも大変だったが、設定監修の夛湖氏にコメントをいただけた時は「描いてよかったなあ」と思った(小並感)。


●2022年

 1月2日。

 地味に描かない横顔。
 横顔の時の目の表現はどうすべきか、いまだによくわかっていない。

 シンプルな塗りに戻っているが、フード部分に厚塗り期の名残がある――というか、大胆な線画ミスのせいで実際に厚塗りしていた気がする。
 上から加筆してちゃちゃっと直せるのも厚塗りの強み。


 1月30日。

 髪のツヤや流れ、肌の質感など、よく描けていると思う。慣れない三白眼だが、いい感じに表現できている。眼鏡もよい。

 髪に入っているドット状の光、目の塗り方、唇の塗り方はLAM氏の描き方をパクった。まったく似ていない。

 元の塗り方と、厚塗り期に得た光の表現をうまく融合させられたと感じる。
 以後、これをもう少しシンプルにした絵柄で安定する。


 10月4日。

 アホ毛メッシュ太眉眼鏡オッドアイ目元不健康ギザ歯白衣喫煙者とかいうバカのバイキングみたいな男を生み出してしまった。

 髪の流れがつむじをガン無視しているのと、表情に対して口の形がシンプルすぎること以外は特に書くことがない。
 こういうタイプのパッドの眼鏡はカッコイイし、作画コストも省けるからいいですね。


●現在

 12月23日、最新のイラスト。

 光の表現も色選びもかなぐり捨て、ただ白と黒で構成されたシンプルさは、これまでのイラストと比べ、きわめて異質である。
 画面中央のキャラクターがアサッテの方向を見ているのは、これまでさんざんカメラ目線のイラストを描いてきたことの反動だろうか。

 やたらとへろへろした線で描かれた背景からは、「どうせ背景なんて誰も見ないんだから適当でいいんだよ」というメッセージ性が感じられる。

 プロを目指す人でもない限り、絵なんてただの趣味なので、気楽に描きましょうね。
 これからはお絵描きAIも成長して、そのうち趣味どころか商業での実用にも堪えるクオリティになっていくでしょうし。
 適当にごろごろしながら描けばいいんだよと、上のキャラクターも申しております。


 絵のふりかえりはこんなもんで。
 あーあ、早くAIが顔のいい眼鏡ギザ歯男子を無限生成してくれる時代が来ないかなあ。

お金! お金はすべてを解決する!