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天皇賞・秋 2023〜新馬先生はこう見る〜ロスタイム

プロローグ

ファミレスのドリンクバーで、
ゴールデンキウイのジュースをコップの3割ほど入れて、コーラと混ぜると美味しい。
キウイの果実感が香って、コーラが甘く感じる。

12時頃、まさにランチタイムのピークに
郊外駅前にある僕の住処からほど近いファミレスは、ビックリするほど混雑している。

子供の幼稚園事情と旦那の文句をネタに楽しいひと時を過ごしているママ友7人組を筆頭に40席あるテーブルはほとんど満席になっていた。

水色ではない猫型ロボットが、それぞれの昼飯をテーブルへ荷物を運んでいく。
昔ながらのウェイトレスさんが、食事が済んだプレートをキッチンへ下げている。
この役割分担は、はたして本当に便利なのかと疑問に思いながら、
僕はタブレット端末で軽食をオーダーした。

昔からファミレスが好きだった。
仲睦まじいカップルたち、勉強に没頭している学生。ただならぬ気配で商談をしている叔父さん達。

1年、365日という日々はそんなに昔のことではない。

毎年、ファミレスで喋るママ友集団はメンバーを変えて新しく出てくるだろうし、1年前あんなに距離が近かったカップルは、もしかしたら別の相手と同じ席で語らっているかも。

1年というのは、そういう時間の軸なんだと思う。僕も、1年で驚くほど環境が変わった。
競馬に割ける時間が激減するほど会議の多い外資系企業に転職した。
完全実力主義。
優秀な若手から懐疑的に見られながら過ごす日々。
強い3歳世代を迎える古馬の気持ちが少しだけ分かった気がする。

1年。
これを読むみんなにとって、
この1年は長かっただろうか、短かっただろうか。
何かが変わっただろうか、それとも変化は少なかっただろうか。

今年の天皇賞・秋はどうだろうか。
11頭のうち4頭が変わらないメンバー。
半分が1年を経ても変わらない。
去年1着、3着、4着、11着が揃うこの大舞台を君はどう捉えるだろう。
これだけ前年の上位陣が再び人気で揃うことが僕には貴重に思える。
君はどう思う?
365日というこの時間は結果を変えるか、それとも1着馬が差を広げるか。

さぁ、府中の2000という舞台は今年、どう駿馬を彩るのか。
予想に入ろう。

調教診断

3頭抜けていた馬がいた、有力馬達は先がある仕上げの馬もいるので、評価を高くした馬はここがメイチだと思える馬にしたい。

調教評価第1位

10 ジャックドール

1週前圧巻の内容

今年の天皇賞秋でここを1番に持ってきたと思えたのは、1週前を6Fでタイムを出したのことと、最終を5Fにしたことだ。

ラスト3Fから11秒台に加速していき、ラスト1Fは1週前よりは早い11.0。調教後の体重は輸送があるにも関わらず前走と同じ516kg。
おそらくレース当日506kg前後であればここがメイチであると思う。

調教評価第2位

5 ガイアフォース

1週前栗東6Fで今メンバーで1番はこの馬

1週前の出来で1番良かったのはこの馬。
1週前の調教は7Fと負荷が高く、今回出走する馬の中でCW6Fのタイムは最速。そしてあまり強めに追わずとも伸びやかに四肢が伸びている。
最終の坂路はラスト1Fが11.9。
過程としては意図がしっかりわかる内容でとても好感。
キタサンブラックの子供なので、長く良い脚が使えて持続性が高く感じられる。
正直、マイルCSがあるかもと思ったので、1位との差はそれだけ。
イクイノックスとキタサン1.2があるかもと思っている。

調教評価第3位

3 ドウデュース

最終坂路の加速LAPが理想的

正直3位まではすんなり決まった。それくらい3頭とも良かった。1週前のCWが良いのはいつも通りで、今回最終の坂路の時計が早かった。
ピッチ走法でこのタイムが出せる。
東京2000mはもしかしてベストではないかという加速LAP。あと、この馬手前的に左回りの方がスムーズに走れている。
3位にしたのは調教後の馬体重が516kgだったこと、前走508kgだったことで輸送込かなと思うのだが、去年のダービーは+6kgで輸送をしてきたので、次走を加味したかなと判断した。
この馬はスタート後の位置をどこにつけるか。イクイノックスの真後ろを狙うのではないかと私は思う。

調教評価第4位

7 イクイノックス

最終3頭併せ真ん中狭いところを通した

正直、まだもうひと仕上げあると思う、評価したのは最終の直線入る手前3頭併せの真ん中狭い所を臆せず入った所。
馬の精神力が強くないとここはスッと入っていけない。時計はまだ出せる馬、とは言え力は発揮できると思う。

調教評価第5位

9 プログノーシス

前に馬を置いて追っかけるという意図を感じさせる1週前調教

正直、ノースブリッジか迷った。こちらを上に取ったのは、調教で前に馬を置き後ろから一気にラストだけ加速させた所に意図を感じさせたからだ。
おそらく川田騎手は、この天皇賞、イクイノックスの後ろにつけると思う。2000の持ちタイムとして1分58秒台がベストタイムなので切れ味では負けるが前に置く馬をどの馬と想定したか。
前でキレ負けするよりは、より良い着を狙うレースなのではないかと感じる。出来はさつ札幌記念より良い。

エピローグ

1年という時間は長くもないが
何かを変えるには短くはない時間だと悟ったのは、先週のことだ。

去年、天皇賞で僕の本命馬。
騎手が1年ぶりに藤岡佑介騎手に戻る。
その後主戦を外されて戻ってきた相棒と
最後に戦った舞台で同じ上位陣に果たすリベンジの味は
甘いのか、辛いのか。

ファミレスで仕事の合間にこのレースの予想をした時、僕はやっぱりゴールドキウイとコーラを混ぜた飲み物で喉を潤す。
甘い。強めの炭酸がよく合う。

そうそう、1年という時間で変わったことがもう一つあった。
娘に昨日「そろそろ競馬をやめてよ~」と懇願されたのだ。
本気なのか分からないけれど、
1年という時間は何かを変えるには、充分な時間だ、確かに。
20年以上続いた競馬とサヨナラする時間はそんなに遠くないのかもしれない。

甘い時間は長くない、楽しい時間は短い。
だから、今はこの瞬間を楽しもうと思うのだ。
愚直なまでに、今年も同じ馬を本命にしよう。
残された時間を悔いなく楽しむ。

去年、サイレンススズカに誓った祝杯はあげれていないけれど、同じ栗毛馬でリベンジする機会がまたあるのなら、
僕は悔いのない形で本命を打つ。

コーラというのは元々、アフリカにある高木の実を使う飲料を指すらしい。
そして、その種は「光る、光沢のある」という。
僕は、そこに金の果実を足して僕は3杯目の贅沢を喉に流し込んだ。
やっぱり僕はファミレスが好きだ。
競馬も好きだ。

贅沢は言わない。
どうか今年も全頭無事に。
けれど、願わくば光る黄金が先頭を駆け抜けてほしい。

1年待った。
今年こそ。
光り輝く鬣は光沢のブロンド。

2023年の天皇賞・秋
僕の本命は
去年と同じ
◎10 ジャックドール

天皇賞を2年連続同じ馬で本命に据えられる喜びよ。

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