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「お値段以上」ニトリの裏にあるもの

【カテゴリーキラーの成功事例】


カテゴリーキラーとは、ある特定の分野において、圧倒的な商品数と低価格化を武器に勝負するブランドのこと。その代表格の一つにニトリがある。

ニトリは、2018年2月期決算において、31期連続増収増益を記録。店舗数は523店舗に達し、新たなブランド展開にも積極的に乗り出している。多くの商品を海外生産し、その輸入ボリュームは一企業の物量としては国内最大規模と言われるほど。取り扱いアイテム数は10,000点以上、その約85%が自社開発商品である。そのため、安いというだけではないインテリアブランドとしての価値も確立済みだ。

ニトリの出店場所は、主に郊外。大型ショッピングモールの隣接地に出店するなど出店エリアや立地条件にこだわり、ランニングコストを抑えながらも店舗数を増やした。海外では、台湾や中国、アメリカにも進出している。

彼らは独自のビジネスモデル「製造物流小売業」を確立し、商品の企画から製造、物流、販売までを自社でプロデュースしている。また、クループ内で稼動しているITシステムも社内で独自開発したもの。そのため、メンテナンスやトラブル対応もスピーディだ。一貫したサービス体制は、顧客の満足度に大きく影響している。

大型家具やインテリア雑貨などの多くは、店舗から顧客が持ち帰ることが難しい。顧客の自宅に運ばれ、場合によっては組み立てられ、設置されて初めて使用可能になる。つまり、物流なくしてはサービスそのものが成立しないと言えるだろう。

ニトリが持つ武器のひとつ「組立配送サービス」は、家具やインテリアの知識を持つセールスマン、いわば、購入した商品に関する専門家が配送をして、組立設置をする。このインテリア業界特有のサービスの実績が、ニトリは業界トップなのだ。

また、新在庫管理システムの構築により、ニトリの都市型店舗の出店が加速している。専用のアプリを使って、実店舗で店内の商品バーコードを読み込むと、ニトリネットと連動して買い物が完了するシステムだ。つまり、店舗の中を大きな商品を持って行き来する必要も、配送手続きをする必要もなくなる。ネット通販商品の出荷を担うのはロボット倉庫「オートストア」。導入後、1ヵ月で出荷効率が約5倍になり、人件費の削減にもつながった。ニトリの物流を担うホームロジスティクスは、そのノウハウを蓄積した結果、今や大手の物流専門会社にも引けを取らない物流プラットホームに進化したのだ。

「お値段以上」な品質だけではなく、ITシステムの開発、作業の機械化、流通方法の整備などの様々な取り組みによって、同一業種の追随を許さないニトリ。チェーン展開をする他業種の企業にとってもモデルになるのではないだろうか。

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