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プラチナカードの会員数を増やす方法

【ダイレクトマーケティングの成功事例】

最高責任者から届くDMで成功

2000年代後半、インドのアメリカン・エキスプレス・バンキングは、国内のプラチナカード会員を増やそうと考えていた。しかし、世界的経済不況と米国の株価暴落の影響で、人々の消費意識は低くなっていた当時、クレジットカードの利用や新規申し込みにも悪影響を及ぼしていた。

この状況をどのように突破するかが最大の課題だったのだ。

インドではプラチナカードが最上位のカードである。そのため、「あなたはプラチナカードを所有するのにふさわしい少数の方」という価値と希少性を表現することが重要であり、ダイレクトメールが最も適したコミュニケーションツールであると考えられた。

彼らはダイレクトメールに価値や希少性を付与する仕掛けを施すことにする。具体的には、アメリカン・エキスプレス・インドの最高責任者のサインが入った個人的な招待状を送付したのだ。そこには彼のEメールアドレスと直通の電話番号が記されており、受け取った人はいつでも直接的にアクセスできる特権が与えられたことになる。

それだけではない。秘書役がターゲットにフォローアップの電話をかけ、別途、招待状を渡すための面会を申し出る。ダイレクトメールとは別に直接手渡しをする箱型形状の招待状が用意されていたのである。

ターゲットとなった人は興味を持てば自分が設定した日時にアメリカン・エキスプレス社からの使いの者と会える。その際、プラチナカード入りのダイレクトメールが持参され、ターゲットである受取人がその場でカードにサインすれば使用可能となる。

箱型の招待状に掲げられたメッセージは、「サインが世界を変える」。手作りのタッサーシルクの箱に納められているのは、「すべてを変えるツール一式」。イタリアのフランチェスコ・ルビナート社による羽根ペンとインクがサインの力を象徴し、中を開けると一筆で歴史を変えてきた歴史上の偉人たちのサインが記載されている。あたかも、この場でサインすることでターゲット自身も世界を変えてきた偉人たちの仲間入りをすることを告げているかのようであった。

この施策によって、ターゲット592人に対してリーチ率は90%(532人)を記録。そのうち70%(373人)が面会に同意した。さらに、34.5%(129人)がプラチナカードへと切り替え、目標としていたコンバージョンレートを上回る結果を手にいれることができたのだ。

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