皆様ご機嫌よう。ケンムンのボスでお馴染みシンスです。

さて。
魔術訓練の鬼門と言えば？
さんはい！

そうですダークミラー訓練ですね！
どんなに優秀な学徒と言えど、必ずここで躓きます。
かくゆう私自身、合格するのに半年かかりました。そんなダークミラー訓練ですが。
現在絶賛魔術訓練中の学徒さんの一人が、そろそろこの鬼門に入ります。
彼は過去一優秀な、優秀過ぎる学徒さんなのですが、優秀過ぎる故に謎の親心が発動、目下心配で心配で、全裸であたふたする毎日です。

ダークミラー訓練法。

それは魔術訓練の中でも類をみないほど単純明快な訓練です。
教官には『余計な指導禁止』と通達がある事も関係しますが、指導内容としては『ダークミラーを見ながら目を開けて寝ろ』だけになります。

これが学徒全員出来ません。
必ず余計な事をしたり、勝手に歪曲したりします。
師匠がよく『あなたは馬鹿だから魔術師になれた』と言ってましたが、まさに馬鹿になってやれるかどうかが、恐らく一番大切な核になります。

であれば。
優秀な皆様はお気付きかと思います。
ひろゆき氏ならきっとこう言います。

『それってあなたの洗脳ですよね？』

教官の言うことは絶対。
馬鹿になって言うことを聞け。

それは伝統的な魔術界隈では常識ですが、真守流魔道では非常識となり、なんだか軽い矛盾が生じそうな気配がしませんか？

全くその通り。

ダークミラー訓練法は修身さえすれば、霊能力やら超能力やらイタコやらユタやらなんやらかんやらの、みんな大好き特別な私大好きマンが大枚叩いてでも欲しがる術の根幹、脳のイニシエーションになります。
故に押さえきれない期待感。
欲は自身を盲目にさせるし、訓練はひっちゃかめっちゃかになるしで大騒ぎ。

なら、やらなくてよくね？

所詮魔術。
出来たからとて、です。

よく良縁の連鎖悪縁の連鎖という言葉を使いますが、ようするに『人生の流れ』みたいなやつです。
良い流れも悪い流れも、結局は自分でその歯車を回しているに過ぎません。
流れが悪いなあと感じたなら、必ず原因があります。
交友関係、仕事、親子関係。

魔術訓練自体がその原因かも知れません。

その程度のものです。魔術なんて。

逆に、魔術訓練によって認知革命が起き、良縁の連鎖爆発！となるかも知れませんが、そんなもんかも知れないの枠を飛び出る事もなく、友達と酒飲んで楽しんだほうがよっぽど人生を豊かにする事は間違いありません。

魔術訓練の鬼門。
ダークミラー訓練法を乗り越える秘訣は、そのように『魔術に対して過度な期待をしない』事です。
辞めたとて、合格したとて、です。
魔術訓練に適した良い流れに身を任せられたなら、なんやかんやでうまくいくだろうし、流れが悪いなら友達や恋人と遊べば良いし、たまには田舎に帰って親孝行したらいいんです。

優秀な学徒ちん。
焦らず気楽に。難しく考えないで。
考えたとて、うちらは御釈迦様にもイエスにも宮本武蔵にもソクラテスにもなれないんだから。

目の前の学業や仕事、友達に恋人に家族。
ついでに暇なら魔術訓練も仲間に入れて。
皆横一列平等に。

そんな心持ちでダークミラーの前に座り、

寝る。

寝る寝る寝る寝る寝る！

………………頑張れ！寝ろ！！( ´;ﾟ;∀;ﾟ;)！？