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しあわせな散歩

 アンジーは門扉が嫌い
ガチャンと金属音をたてるし、おおきな黒い扉が迫ってくるから。
だから、家出て道路にでるまでアンジーくんはぼくの腕に収まっています。

アンジーは家をでて最初の交差点の隅に生えている草が好き、クンクンして先客の残り香を調べつつ草に分け入ってみる、そしてお腹やマズルを突く草に変化を感じるのか感じないのかわからないけど、外に出た事を確認して、今日の行く道を選んでる。

いまだに金木犀の匂いが流れてくる坂道を上がるか、第ニのお気に入りがある、東側の道を進むか、ママが帰って来るバス停がある西側の道に進むか。

お〜っと、坂下って家帰るのは無し(⁠^⁠^⁠)
これから散歩なんだから!

アンジーは、東へ走った、
後ろ足でアスファルトを蹴って
ハーネスを胸で引っ張り
リードを綱引きみたいにピーンと
張り詰めて。

アンジーは
わきまえてる、
誰と散歩しているかを、
リードの先に僕が居るから 
早く早く、と踊るように身をよじり
まるでオートバイがウイリーで
加速するように、
大好きなLEDの街灯がついている電柱に向かって走る。
電柱が近くなったところで最高速度に達し
僕はかろうじて躓かずにおいすがる

アンジーは
高らかに足を上げて
お気に入りの電柱に
勝ち誇ったようにマーキングする、
どうだーっと、勝ち誇った
得意げな顔だと
僕にはわかる。

僕がチューと
マーキングに水を掛けていると、不満そうに
見てる。
なんだよー 、ボクの縄張りなんたぞ
とでもいいたげ。(笑)

ここからは歩く、
僕の歩幅ではアンジーくんは
小走りになる

アンジー!
ついておいでー!

振り返ると
「抱っこして」のアイコンタクト
おいおい、ワガママすぎだろ😑

アンジーくんの
歩く歩幅に合わせて
チョこチョこ歩いては
匂い検索
チョこチョこ歩いては
匂いの上塗り、マーキング。

背中がたのしそうだから
僕も楽しい。
このかわいい小走りを
どう表現したらいいだろう

子供が背の届かない、見えない塀の向こうを
見ようとしている感じかな。見えないところを見ようと背伸びしたときのように、アンジーも頭を高くするように伸ばして、前足は、はじめてピアノに触れた子供の指先みたいにちょんちょん跳ねる。
そして、楽しそうな前あしを追いかける
ストライドの大きな後ろあしに、
クルン、とまるまって、脚と反対に
プンプン、プンプンと動くシッポ。
その姿は、ちっちゃな金魚が、水槽をピュンピュン自由自在に泳ぐみたいで、小刻みの、リズミカルな喜びをかんじられる。

かわいいって、こういう姿を言うんだと思った。

こんなしあわせな散歩があるだろうか
こんなに楽しそうな姿を見られるしあわせはディズニーランドにだってない。

ぼくは、嬉しくなった、
ありがとうアンジーくん。
🙂


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