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紅葉を好きになっちゃう理由

お湯を沸かして、コンビニで買ってきたばかりのドリップコーヒーにお湯を注ぐ。何もない休日の朝、珍しく掃除と洗濯をそそくさと終えてしまった僕は、だらりとベットに横になっている。何も考えずにボケっと窓の外に浮かんだ雲を眺める時間が好きなんだ。時折、都会の雑踏に混じって鳥のさえずる声が聞こえてくるんです。


そんな至福の時を過ごしていると、心の奥から何やらもうひとりの自分がささやきはじめる。
「もっとダラダラしちゃいなよ、ケッケッケッ」って。
毎度お馴染みのズボラ心がこっそりと顔を出そうとしている。


こりゃいかんと思い、慌てて飛び起きて外出の支度をする。
そうだ、今日も京都へ行こう。2週続けての京都だ。


丁度メルカリに出していた物品が売れたので、ついでに少し遠回りして発送しよう。九条のヤマト運輸まで歩いて行くことにした。自宅から徒歩で15分くらいで丁度良い距離だ。


発送を終えた僕は、西九条駅前の牛丼屋でペコペコになった胃袋を満たし、電車に駆け込んだ。今日は乗り継いで祇園四条まで。


改札を過ぎて地上へ上がるといつもと違う。
人、人、人、人で溢れかえっている。
久々に味わった人間渋滞で、早速うんざり気味。


テキ屋が軒を揃える八坂神社の小径こみちをするりと通り抜け、円山公園へと突き抜ける。ここも人で溢れている。一体どうなっているんだ。毎週京都に来ているとその違いを歴然と感じる。


まぁいいや、今日のお目当ては「高台寺」だ。何年ぶりなんだろうか。
円山公園から長楽館の脇を抜け、趣のある石畳を進み、大雲院祇園閣の角を曲がるともう目と鼻の先が「高台寺」です。


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豊臣秀吉の正室、北政所「ねね」のゆかりのお寺。堂宇を紅葉が優しく包んでいて、赤く染まった紅葉が地面を覆う姿は、まるで池の上に浮いているような錦絵を思わせます。


霊屋にお祀りされているご夫婦もきっと、こんなに美しい秋景色の庭園を静かに眺めているに違いない。そんな感情が込み上げてくるのです。


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少し前まであれほど深く色づいていた緑色の葉も、今ではすっかり赤紅色へと衣替えをはじめている。夏の季節には、燦々さんさんと照りつく日差しをさえぎり、サラッとした涼しげな風を送り込んでくれていたのに、今では弱々しくなった陽光を少しでも沢山集めようとして、自らの衣を脱ぎ捨てている。


自然って優しいんだな。
人間ももっと自然を大事にしないといけない。
当たり前のことなんだけど、果たしてどれほどの人が気づいているのだろうか。


樹々たちは気温の低下とともに葉色を薄めますが、人間は逆だと気づく。
気温の上昇で顔を赤らめたり、お酒を嗜んで陽気になり頬を赤く染める。


生前の秀吉公は女癖が悪かったらしいですね。
今ではきっと仲睦まじく、高台寺ここの紅葉を楽しんでいるでしょうが、生前はねねさんに追求される度に青ざめていたことでしょう。


ここに来ると400年の時間を感じません。夫婦って今も昔も変わらない。
自然の摂理と人の情を同時に味わうことができるんです。
特に紅葉の時期は。


「高台寺」という素敵な場所で。


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
人混みが少し怖くなっているオッサンでした。🍁


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