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摩訶不思議なキテレツ時計

僕にとっての美容院は唯一の情報収集の場所である。
以前にも記事にしたことがありますが、妻と同じ美容院に通っています。


まぁ、ここの美容師Aさんは、夫婦間共通の友人とでも言っておきましょう。そんな友人美容師のAさんが朝からご立腹で、僕に相談を持ちかけてきた。


「ゆーじさん、こんな時計って見たことありますか?」


彼は僕と同じ問題を抱えている。
高齢者ドライバーです。


彼はお母さんと娘との3人暮らし。お母さんは現役の高齢ドライバーであり、80歳近くになった今でも、バリバリとバイパスをかっ飛ばしていると言う。


少し認知機能が低下してきたようで、早く免許証を返納させたいと強く望んでいます。僕も田舎で一人暮らしの御袋がいるのですが、同じく免許証奪取が今年最大のテーマだと思っています。その点で彼とは共通の問題を抱えている戦友なのです。


先日も息子が80歳過ぎの高齢ドライバーに追突され愛車を失ったばかり。これは他人事ではない。被害者が出ないうちに、できるだけ早くミッションを進めなければならない。今年のお盆あたりが勝負だ。


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美容師Aさんの話はこうです。


高齢者が免許証を更新する際に認知機能検査が必要になっている。
何とかこの検査を受けさせて諦めてもらう。彼のお母さんは加齢に伴う視力減退に加えて、認知機能の低下が顕著に出ていると言う。


一般的に免許証の更新は誕生日の1ヶ月前からですが、認知機能講習は5ヶ月前から受講することができる。更に75歳以上の高齢者は、受講する前に認知機能検査を受けなくてはならず、彼はこの機会を虎視眈々と狙っていた。


「で、お母さんは検査を受けたの?」
「勿論、受けましたよ」


実際の認知機能検査の実態に怒りを抑えられないらしい。
と言うことは、お母さんは彼の思惑とは逆に「合格」したんだと想像することができた。


認知機能検査には「時計検査」なるものがある。
実際に時計の絵を描かせ、10時10分の針を描かせる。これが試験です。


めちゃめちゃ簡単のように思われますが、認知機能の低下している方は結構ハードルが高いと言う。


「で、どうだったん?」
「腹立ちますよぉ」


普通はまるを書いて一番上が12の数字です。それで一番下が6の数字。
左が9で右が3です。これは万国共通のはず。


ところが、彼のお母さんは一番上に「1」を描き、順に「2」「3」「4」と続ける。それを1周かけて均等に配置できているならまだ良い。しかし、最後の「12」が本来の「3」のあたりで描き終えている。


つまり、時計全体の3/4が空白の時間となっている。


「ゆーじさん、こんな時計って見たことありますか、ありえないっすよ」


更に、こう続けた。


「10時10分ってどうなると思いますか? この時計だと、長針と短針が10のあたりで重なってるんです」


思わず吹き出してしまいました。


「えっ、10分なのだから長針は「2」を指していないとダメなのでは?」
「この時計の表記では、これが正しいって...」


もう笑えて動けません。
なぜ正しいのか、理由が分かりませんし、この時計が国際基準になったらどうなってしまうのか。空白の時間って針がどの様に動くのだろう。そう考えたら可笑しくて、彼には申し訳なかったが、息ができないくらい笑いました。キテレツな高齢者時計。


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「合格!!」


今日もお母さんはブルルーンと車でお出かけ中だと言う。
朝から親子喧嘩でもしたのでしょうか。今度は車を壊すと言い出している。


彼のお客さんも僕らと同じ問題を抱えて頭を悩ましているらしい。
適正試験が上手くいかなかったら「今日は調子が悪いから」と呪文を唱えれば再試験が可能だと言う。


「今日は調子が悪いから」


そんな調子が悪い日でも、高齢者によって車は運転されている。
そんな時に事故が起きるのではなかろうか。


結局、高齢者ドライバーの適正試験はザル試験と化している。
きっと一部の誰かが左うちわになっている縮図なんだろう。


こんなことであれば、高齢ドライバーの運転する全車両に、キテレツ時計の搭載を義務付けてはどうか。意外と事故が減少することだってあるかも。



最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
素敵なお盆休みを満喫してください。🌱


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