【荻上チキ・Session 文字起こし】Daily News Session 「差別煽動の記事削除を。難民・移民フェスが会見」取材報告:澤田大樹記者(TBSラジオ国会担当記者)【2023.11.14(火)放送】

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(南部)
最新のニュースをお送りするデイリーニュースセッション。続いてはこちらのニュースです。
『差別記事の削除、移民フェスが記者会見』
 難民や移民の現状を知ってもらおうと今月都内で開かれた難民移民フェスを巡る産経新聞の記事が差別を先導するとして、主催者らが今日記者会見を行い、記事の削除と謝罪を求めました。
 産経新聞がインターネット上で配信した記事は、『<独自>「神はあなたを殺す」 杉並区後援の交流イベントで外国人が区民に暴言』と題したもので、参加者の外国人と日本人がトラブルになったとしています。
ただ、記事は主催者側に取材をしていなかったということです。
主催者側は取材ルールを無視して事実を誤認したままの記事を執筆・公表したことへの遺憾の意を表明。難民を守りたい気持ちがあるため記者会見を開いたと訴えました。
産経新聞からの反応はまだないということです。 

(荻上)
それでは、このニュースについてTBSラジオの澤田大樹記者に入ってもらいました。澤田さん、こんばんは。

(澤田)
こんばんは、よろしくお願いします。

 (荻上)
お願いします。
さて、今日は難民移民フェスの記者会見の様子を取材してきたということですけれども、こちらの会見、どういった趣旨だったんでしょうか?

 

(澤田)
はい、あの難民移民フェスはこちらの番組でも取り上げたイベントでしたけれども、今月の4日に行われたイベントにおいて、杉並区の男性とその関係者の人たちと難民・移民フェスに出られていた外国の方との間でトラブルがあった、という記事を産経新聞のweb版が12日に出したということです。

 

(荻上)
その記事のタイトルが
「神はあなたを殺す? 杉並公園の交流イベントで外国人が区民に暴言」
こうしたタイトルの記事だったわけですが、この記事について取材者側はどういった仕方で今抗議をしてるということになるんでしょうか?

 (澤田)
はい。まあこの記事自体が、一方の側のみを取材したものが書かれているということですね。
でその記事の中では、その日本人の区民の人が、その難民の方だと思いますけれども、その方とやり取りをする中で激高されたんだ、ということが書かれていると。その中で「神はあなたを殺す」ということを繰り返し言われたと。
で「こういうことは普通の日本人なら口にしないことを言われて怖かった」みたいな、その言われた側のま証言みたいなのが入っている一方で、その主催者側に対してどういうことがあったのかっていう事実確認はなされていなくて、なぜか運営側と見られる男性らの中の1人で、立憲民主党所属の区議に対して取材を申し込んでいるということで。
その申し込まれた人は『「主催者側と相談する」と言った後に期限までに回答がなかった』というような記事のまとめられ方をしている、ということですね。
でそれについて今回その主催者側が抗議をして、謝罪と即事の取り下げを求める、というような主旨の会見だったということですね。

(荻上)
はい。
その会見の中身では、「先ほど質問が送られたとされるその立憲民主党の区議に関しては、そもそも主催者側じゃないですよ」というような説明が主催者側からなされて、「ボランティアの人としては参加していたかもしれないが、特に主催者側として届出があったというわけではなく団体の中のメンバーの1人だったのだ。そこになぜ聞いたのか、なぜ主催者である自分たちに来なかったのか」ということは発言されていましたね。 

(澤田)
はい。

 (荻上)
では音声がありますので、会見冒頭、会見の趣旨を説明している部分をお聞きください。 

《会見音声》=========================================
(児玉晃一)
11月の4日、難民移民フェスで実行されました実行委員会が、11月の12日付けで、産経新聞がYahooニュースに配信した記事に対して抗議文を提出しましたことについてのご報告の記者会見です。
大きく分けますと、まず何を申し入れたかというと、抗議と謝罪と即時の取り下げを求めます、というのが要求の内容です。
で、理由としましては大きく分けて2つありまして、取材ルールの逸脱というところと、2点目がその報道された内容が必ずしも事実に沿ってない部分、僕も録音を聞きまして、正確ではない部分もあるんですけれど、それ以上にその一方当事者の声だけを聞き取ってですね、それで全体の経過とかそういうのを無視して、外国人を排斥するような、偏見をもたらすような、そのような表現にしているというその2点について、講義をし、撤回を求める、という内容であります。
《ここまで》=========================================

(荻上)
はい、今回まず抗議、そして撤回を求めるという趣旨の会見でしたけれども、会見ではどういったことが話されていたのでしょうか?

 (澤田)
はい、会見、今のは弁護士の児玉さんという方なんですけども、この他にもイラストレーターの金井真紀さんも出席されていて。
「いろんな考えがあるっていうのは、特に難民問題に関して(いろんな考えが)あるということは承知しているけれども、今回の報道で1番びっくりしているのは、主催者側に対して何1つ連絡はなかった。ある種、方向付けられた記事なのではないか」
という趣旨の発言があったということですね。
「真実を伝えたいのではなくて、悪意を持って書いているのではないか」
というような話がありました。
「こういう誤った認識自体が広がっていく、規制事実化していくっていうことを避けるために今回の会見を開いた」
という風に金井さんは仰ってます。 

(荻上)
実際、その配布された文章などでも、当日現場に足を運んだわけではないどころか主催者側に問い合わせることなく書かれており、取材のルールを逸脱していると、なおかつ現場では、例えば国名を勝手に書くことがないようにとか、写真撮影をやめてくださいとか、そうしたことが発信されていたにもかかわらず、守られていないということについても抗議がされていましたね。 

(澤田)
そうですね。
で私自身も(フェスの)現場というか、短い時間ですが行ったんですけど、本当に写真ダメですよ、ということを書かれていましたからね。行ったらすぐ分かるような状態にはなってたかな、という風には思いますね。 

(荻上)
また写真NGとなっていたにも関わらず、その区議の方が動画を撮ろうとしていたということの疑いがあると。
で、写真NGだっていうようなことが指摘されてるんだけど、「動画がダメとは言ってないじゃないか」というようなことを食い下がったというような、そうしたやり取りも紹介されていましたね。 

(澤田)
あとは「自撮りだ」と言ったとかですね。

 (荻上)
はい。
で例えばそのパスポートの有無を聞いたとか、在留資格の有無を聞こうとした、難民の定義を聞きたいのだ、といった趣旨のことを聞いていたと。
これ、トラブルという表現で産経新聞は記事にしたけれども、そもそもその前にあの区民達がこう詰問するような状況があって、
それに対して発言されたという経緯が書かれていないことや、その発言内容も、「あなた、神、殺す」という仕方でなんとか言ったわけだけれども、脅迫的な言い方というよりは、相手が言っていることをなんとか否定しようとしている、「あなたは私を否定しようとしてるじゃないか」ということで抗議をしている様子で出された文脈というものが切り取られているではないか、こうしたような発言というのが会見ではありますね。

 (澤田)
そうですね、はい。

 (荻上)
またこの会見の中では、では実際にどういった報道が必要なのか、どういった意味でこういった会見が行われたのかそのことも発言がありました。 

《会見音声》=========================================

(記者の質問)
メディアに期待することとか、そうしたことあれば。 

 (金井真紀)
ありがとうございます。えっと…
とにかくこの差別先導的な、取材、裏取りも検証も全くしてない記事の間違っているところ、不備をきちんとお伝えしたかったので、こういう風に集まっていただいたんですけれども、そこをご理解いただいて。
本当はどういうことだったのか、主催者もそうですし、当該の方がこの、さも悪意…怖いことをやったみたいな、非があるようにに書かれているんですけれども、実際そうではないし。
そのコメント一つとっても、どうしてそういう風になったのか、追い込まれていったのか、っていうことを説明して、それを皆さんに分かっていただいて、お伝えいただけて、もしかして難民・移民フェスのことをこの記事のせいで勘違いしてる方がいたら、その認識を改めてもらえたらと思ってます。そのためにご協力いただけたらと思います。
《ここまで》========================================= 

(荻上)
はい。
また、こうした記事やその区議の動きなどによって、また杉並区でね、今後議会などで論点化される可能性もあると。
そうしたその動きをもって、今後の対応についても検討したいということが、会見で話されていました。
なお産経新聞側の反応というのは、澤田さんいかがでしょうか。

 (澤田)
はい。
あの、主催者側に対しては連絡はないということで、その後に番組の方から産経新聞に対して取材をしました。
で、代表はもう閉まっていたので、いろんな手を使って広報部に連絡をしてですね、聞いたところ、まだこちらには情報が降りてきてないということで、確認し次第折り返します、という風な状況に今なっているということですね。 

(荻上)
今は情報共有および対応を検討中、ということになるわけですね。
そして今回主催者側は、配信記事を載せたLINEyahoo社に対しても、人権侵害の申し立てということで対応を要望してるということで、そういったものについても反応があるかどうか、ということです。
あの、主催者側の金井さんらはね、こうした楽しい場所、おいしいもの、楽しい音楽、こうしたものを感じ取ってもらいながら、共生するこの社会や友達のことについて知ってほしいということを伝えていたんですが、この記事に対する(主催者側への)反応なども含めて、相当攻撃的なところもあるので、そうした反応についてどうメディアが応答するのか?というのも重要ですよね。 

(澤田)
はい。 

(荻上)
澤田記者でした、ありがとうございました。

 (澤田)
はい、失礼しました。

 (南部)
ありがとうございました。

 

難民・移民フェスのnoteはこちら
https://note.com/refugeemigrant/


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