見出し画像

東京で。

気が付けば、もう数か月、動物の写真を撮ってはいない。
秋は新しいエリアの森を見ること、
つまりそれは撮影活動の第一段階とも言えるのだけど
被写体には届かずに、動物はほとんど撮らなかった。
その後は晩秋から、イベントの撮影や講演など。
カメラを持てば、気が付いたら人間ばかり撮っている。
まぁ、それはそれでいい。いやむしろ楽しいし、有難いことだ。

数年前、事情があって、長く野生動物の撮影に出られない時期があった。
今でも思い出すと気が滅入る。
僕はその時、おそらく人生最大のチャンスを逃したのだが
それでも、もがきながら何とか動物を撮ろうとした。
近所の三面護岸の川にカワセミや雀を探し、
狭い公園の木々に昆虫を探した。
無理にポジティブな話をすれば、
その時の経験が今の糧になっているところもある。

東京という街に住んでいて、良いと思うことが二つある。
ひとつは、写真展やライブなど、創作物に触れる機会が
他の都市に較べて圧倒的に多いということ。
そしてもう一つは、東京はフォトジェニックな街だということだ。
もともと写真撮影は僕にとって伝達手段ではなく
無邪気な遊びだった。
だからこうやって、スナップを撮って歩くことも大好きで
ときどき下手な写真をJPEGで撮ってサクサク量産している。
僕は東京が好きなのかもしれない。満員電車を除いては。

しかし自然を相手に撮影をするならば
僕の場合、そのまなざしを育てるために、
フィールドに、もしくはそのすぐ傍に住まねばならないなと
思うことがよくある。

長く棲んだが、東京を離れるべき時が
いよいよ近づいてきているような気がする。


Sony α7RIII + SEL55F18Z
Shinjuku, Tokyo Japan / Nov. 2018

いただいたサポートは、旅費や機材など新しい撮影活動の資金とさせていただき、そこで得た経験を、またこちらで皆様にシェアしていきたいと思います。