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どれも初めてだった。地平線、銀世界、青のビール。

私は沖縄に住んでいる。
ゴーヤーと海と空となんくるないさ精神とA&Wとともに。

しかし、無いものもある。
高い山、地平線、湖、雪、ホタテにいくら、セイコーマートだ。

三十数年も生きてきたが、雪を見たことがなかった。
ほんの一年半前までは。

その一年半前に私は、「そうだ!北海道へ行こう!」と思った。

今いる場所からすごく遠くに行きたい衝動にかられて、私の悩みなどちっぽけだと思いたくて、離婚後の傷心旅行として。

ツアーパックを申し込み、我が子と、母親と、母親の友人と、母親の友人の子どもと孫と…結果的には傷心している暇もなく、にぎやかに日本の端から端へ出発することになった。

1.摩周湖

ツアーだったため、バスでたくさんの場所を回ってくれた。
今回選んだのは札幌のような都会方面ではなく、とにかく大自然を感じられるルートだ。

その中でも特によく覚えている場所を紹介したい。どれも有名すぎるところだけれど、南国の民から見た感想を述べさせてほしい。

まず、北海道は本当に広い。「広大」という言葉が本当にしっくりきた。
バスで行けども行けどもまだまだ着かない。
沖縄ならもう台湾に着くほど乗ったんじゃないか?と真剣に思った。

けれど、それが苦ではなかった。
バスガイドさんのトークが面白く、うとうとしている間に聞き逃してしまったいくつかの話が、いまだに悔やまれるほど。

街を抜け、白銀の雪原をひた走り、山道を上り、さらに上り、その先に摩周湖はあった。

バスガイドさん「年間およそ100日は霧に覆われている、霧の摩周湖と言いますが、本日はよく見えます。ラッキーですね!」

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バスから見える雪原、そしてこの景色。雪。湖。高い山。
本当に感動した。

世界は広いというけれど、北海道もこんなに広い。
十代の頃に見たグランドキャニオンより、三十代に見た摩周湖の方が心打たれるとは。

雪だ。雪が私という南国民の心を非日常で包んでくれた。
そして、歳だ。年齢はスパイス。

帰り道のバスガイドさん「一つだけ残念なお話を。ただの迷信ですが、霧がかかっていればお金持ちになれるといい、晴れていれば貧乏になるといいます。ただの迷信です。」

今のところ、あながち迷信でもない。あなたも自身の行く末を見に行ってはどうだろう。

2.旭山動物園

私、ずっと「旭川動物園」だと思ってたの。
だって、住所が「旭川市」よ?!
さすが「試される大地」ですわ。沖縄県民試されまくったわ。

シロクマ、ペンギン(散歩も見れた!)、ゴリラなどなどたくさん動物がいた中で、一番かっこよかったのがこれ。
アムールヒョウ。(他の動物たち

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雪+ヒョウ!
かっけぇぇぇぇぇ
キリリとした目つきに、おばさんだけどなんだか少年心をくすぐられた。

3.北きつね牧場

もうタイトル通り。
北きつねがたくさん居りました。

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写真には偶然一匹しか入ってないけれど、たくさんいた。
檻も柵もなく、近くで見ることができた。
息子は終始「わんわん!」と言い、私は「きつねさんだよ~」と延々と正しい情報を伝えるループ。

触れるんじゃないかと思うほどだったが。触ったり餌をあげたりするのはNGだったと思う。

最終的には、息子がいたくこの北のわんわんを気に入ったので、お土産コーナーできつねのキーホルダーを買った。

4.除雪車

で?と思ったことだろう。
しかし私はこれにも感動して写真を撮った。

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架空の存在、伝説の乗り物じゃなかったんだ!

除雪してるよ!スムーズに除雪しているよー!!
働く車が大好きな若干2歳の息子と一緒になり、大興奮しながら眺めていた。

5.-10℃

南国の民の体は、16℃で「冬」と判断する。
そこからさらに-26℃ということは…温暖化は嘘だった?である。表現が追いつかない。

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そんな「初めて」をここでまた一つ。
吹雪いてきた夕暮れ時には「寒くて肺が痛い、息ができない」という体験をして驚き、露天風呂の温かさと吹雪のコントラストに、また感動した。

ただし、顔を数十秒も水面に出しておくのが痛くて耐え難く、鼻下ギリギリまで浸かっている変なやつになったが。
それでももう少し浸かっていたかったのだ。
白い雪、漆黒の空、刺すような寒さと湯気の立ち上る温泉。
五感の全てで初めてを味わうことが楽しくて仕方なかった。

※大変申し訳ないことに、ホテルの名前を失念してしまった…伝われ!

6.流氷クルーズ

はるばる来たぜ、網走ーーーー!
今回の旅で、一番「壮大さ」と「ロマン」を感じたのが流氷クルーズだった。

はるばるオホーツクの遠い遠い海から、長い旅を経てここに着くそうな。
船の甲板に立って、360度どこを見てもどこまでも流氷に囲まれた海。
沖縄にも海があるのに、こんなにも違う。

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顔で感じる風は冷たくて、でも空は晴れ渡り、日差しが少し暖かで。
船は流氷をかき分け、時には崩しながら、少しづつ前に進んでいく。

この景色って、これからの私の人生じゃね?

世間は私を我慢の無い、無責任な母親だと言うのかもしれない。
一人で子どもを大学まで行かせられるのか考えては眠れない日々。
だけれど、楽しいことも少しづつ増えてきた。
これからも色々あるだろうけど、困難はかき分けて、過去は崩しながら少しづつ進めばいいよ、と網走が囁いてくれた気がして。

なので、祝杯をあげた。

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7.流氷DRAFT 瓶ビール!

私と息子のこれからの人生に幸あれー!かんぱーい!

色、さわやか!
味、フルーティー!
景色も相まって最高だった。クルージングしながらのビール至高。
かき氷にかけたい…という衝動にかられたのち、ビールとして最適な感じでいただいた。

北海道が北海道としてそこにあるだけで、私は救われた。
旅が好きなのでそこそこ色んな場所へ行ったが、北海道に行くタイミングとしてはベストであったと思う。
次は夏の北海道を旅してみたい。

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