見出し画像

Lenovo 300e Chromebook Gen3(セルラーモデル) 雑感

 それなりに閲覧されているChromebook記事。これまでChromebookのレビューを2つほど書いています。どちらもまだ販売されている現行機種なのでご参考にどうぞ。フォローと❤をお願いします。

何もしてないのに壊れたw

 上で紹介しておいて何ですが、先日、モバイル用途で使用していた『ASUS Chromebook Flip CM3』の電源が入らなくなりました。バッテリーが干上がってしまったのかと思ったのですが、充電もできなくなっていたため修理に出すことに。

 これまで「何もしてないのに壊れた」という事例は、絶対なんかしてるだろと笑っていたんですが、ほんとうに何もしていないのに壊れることってあるんですね……。

 そこで代替機をどうしよう、ということになります。

 モバイル端末はいくつか持っているので、1台故障したくらいで出先の仕事ができなくなることはないのですが、Flip CM3のほかによく持ち歩いているiPad Pro 11inch Gen2(WiFiモデル)で代用しようにも、ちょっと納得のいかなさがあるんですよね。

 まずブラウザのChromeやそれを基盤とした機能拡張、あるいはクラウドサービスで仕事が完結できるように環境を整えているので、iOS版のSafariやChromeアプリ、とくにGoogle Documentsには不満があります。

 iOSアプリの作りによっては、Bluetoothの日本語JISキーボードを使っている途中で、いきなり英語配列扱いになって記号入力がおかしくなったりします。余談ですが、noteのiPadアプリでそういう症状が出たんですが、問い合わせに対してテンプレが返ってきたので、詳細を報告するのが面倒になってしまいました。

 また、WiFiモデルのため、テザリングが簡単とはいえもどかしい。iPad Proを買ったとき、LTEモデルが軒並み売り切れだったんですよね……。と、あのとき入荷を待ってでもLTEモデルにしなかった自分が恨めしくなりました。

 WiFiモデルをテザリングすることの何がいけないかって、まず、いつも使っているiPhoneのギガ(月額料金内の通信量)を食い潰すのがよくありません。

 なので滅多に使っていなかった仕事専用回線のSIMをテザリング用の小さい携帯電話(ニッチーフォン)に挿してそれを経由して使っていたのですが、これはこれでバッテリーが長持ちせず、充電し忘れも多くてぶっちゃけ面倒です。

 そんなわけで、不思議とこれまで「工夫して使ってきた」つもりが「無理して使ってただけ」というのとイコールになって、環境がどんどん憎らしくなってきたんですね。

 当然、Flip CM3もWiFiモデルなので、これはもう直ろうが直るまいが、SIMの挿さるChromebookにするしかない。Flip CM3は修理から戻ってきたら下取りに出すなどしたいと思います。

国内Chromebookラインナップの弱さ

 で、SIMの挿さるChromebookなんですが、国内において入手可能性が高いのは『HP Chromebook x2 11』か『Lenovo 300e Chromebook Gen3』になります。

 ほんと日本って、デジタル関連の出荷が世界に比べて優先されなくなりましたよね。もちろんコロナ禍で世界中の半導体の生産・流通が混乱したのもありますが、PS5が手に入るようになったのは発売から2年経ってやっと最近ですし、こんなの日本市場がしょっぱいから後回しにされてただけでしょ。日本は貧乏国家まっしぐらなんで、文句の一つも言えない、聞き入れられないという有様。

 Chromebookも、LenovoやHP以外にASUSやAcerが頑張っているとはいえ、国内向けは痒いところに手が届かないラインナップなんですよね。例えば、14インチの据え置きノートでプレミアムなのだったら、ChromebookじゃなくてWindowsのゲーミング(=高性能)モデルという選択肢が手堅いです。なんでその層にChromebook売ろうとしてんの? 客単価アップしたいだけ?

 では12インチ以下のビジネスモバイルノートでWindows陣営に太刀打ちしようとすると、Win界隈では1Kgを切る端末が重宝されて数年経つのに、Chromebookでは1Kgを超える端末ばかり。

 Windowsはくっそ面倒くさいアップデートを始め巨大なファイルを扱う文化がありますが、CloudファーストなChromeOSはそれに対して十分にアドバンテージがとれます。なのに、ほとんどの機種にLTEモデルすなわちSIMの挿さるスロットが無い。都市部だって安全で満足な速度の出るフリーWiFiはそこここにあるもんじゃねぇぞ?

 都市部の移動は電車です。自動車と違って移動中にPCが使えない(←運転してるからね)ってことはないんですよ。むしろ移動中にこそメールの一つ二つ、資料の一つ二つは片付けたい、それがジャパニーズビジネスモバイルユーザーですよ。お前らは20年以上も日本市場の研究をやってて何を学んでんだよ。

 ビジネスモバイルユーザーが少ない? そんなことないんですよ。8〜11インチのiPadシリーズはすべてLTEモデルがあり、純正SmartKeyboardを装着しても1Kgを切る状況です。

 格安SIMが浸透したのはもう5年も前の話ですから、SIMスロット需要が日本国内に無いとも言わせません。

 要は、コロナ禍でSlackやZoomのようなビジネスコミュニケーション手段が浸透して、iPadで済むならそれでいいや、移動中はそれでなんかメッセージの1つや2つ送ってお茶を濁しておこう、ってなってるわけです。それだったらキーボード無くても問題ないですからね。

 そんな志の低いことじゃ困るんですよ。80年代に「24時間戦えますか?」とやっていたから日本はエコノミックアニマルたり得たんです。

 Google社のChromebook部門は、いま一度「タブレットじゃ足りんでしょう? キーボードがついていてパッと開いてパッと片付けられるキーボード付きの端末が有用でしょう?」と人々のビジネススタイルをバブル以前まで立ち返らせる必要がある。

 メイク・ジャパン・グレート・アゲイン! ウィズ グーグル!(←気がくるった)

 小学生のランドセルに1.3Kgの重りを突っ込ませんのに躍起になってるようじゃ、重さだけがギガスクールじゃねぇか(これは悪口です)。真面目にビジネスユーザー開拓をやれ。いろんな時間帯の電車に乗るなりカフェ行くなりしてビジネスモバイルユーザーがどう過ごしているか自分の目で見ろ、調査会社の出してきた数字だけ見て需要無いなとかの言い訳くれてんじゃねぇぞ、Appleに市場を奪われっぱなしでいいのか? って感じです。

Lenovo 300e Chromebook Gen3 を吟味する

 端末選びに話を戻すと、HPのx2はキックスタンド型なので膝上使用や低いテーブルでの使用は難しい。クラムシェル(あるいは2 in 1)がいいとなると『Lenovo 300e Chromebook Gen3』一択になります。選択の余地がないって、めちゃくちゃですよね。もっと選ばせてくれ。

 で、これSoftbankショップ専売なんです。検索するとたまにネットショップで特価品が出ていたり、メルカリにも安い出物があったりしますが、クレカ換金に使われてたり、出どころの怪しい転売品だとだと困るので手を出すのは怖い。リファービッシュ品(初期不良機などの再生品)が2万円台で出ていれば当たりですが、ほんとうに稀です……。

 Softbankショップで購入すると、一括購入か48回分割かということになります。通信回線とのセット故に総合的に割引が効いているとはいえ、うーん、4年も残債払うのバカバカしいな……。取り急ぎ、現行の回線を1つ引退させて、このSoftbank回線を他の用途で使うなどしてやり繰りしようと思います。

 とはいえ、新品で5万円台ってだけでも安いです。より安く買おうと思うと苦労するというだけで、基本的に4G/LTE通信ができるモデルがこの価格というのは大変喜ばしいことです。

 店頭のデモ機で確かめたいことが3つありました。それはかねてから1366x768のグレア液晶を嫌っているのでそれを妥協できるかどうか、重さと大きさはどうか、ブラウジング時のもっさり感は無いか、です。

 これまで使っていたFlip CM3の良いところは画面が1366x912で縦が長いということと、プロセッサがMT8192なのでサクサク感があることです。もうMT8183は一世代前くらいに感じられますので、新しくChromebookを購入しようという人は対象から外したほうがよいと思います。

 Flip CM3は物理的な重さもそれなり(1.2Kgほど)だったんですが、畳んだ状態で奥行が長めだったので、手持ちのカバンのうちスッポリ入るものが絞られてしまっていたんですね。

 ということで、こういう状況と比較することになります。

 結論的に、画面のpixel数は1366x768で妥協。グレア液晶は画面保護フィルムを貼って解消。スピードはMT8192と遜色なく好調。重さは頭の中から抹消。というか、LTE内蔵の利便性がこれらを遥かに凌駕してて最高。

 急にラップぽくなってますがお許しください。

スペックから見る300e Gen3

  • CPU(SoC):AMD 3015e

  • メインメモリ:4GB

  • ストレージ:32GB(eMMC)+microSDスロット

  • モニタ:11.6型IPS(1366x768 pixel)

  • カメラ:画面側にインカメラ、キーボード側にタブレット状に変形させた際に使うアウトカメラ

  • キーボード:日本語キー配列(Softbankモデル)

  • 重さ:1.33Kg

  • バッテリー:10.8時間

 CPUでAMDを採用しているChromebookを使うのは初めてです。特に気になる点はありません。

 メインメモリはWindowsだと4GBなんて拷問みたいなものですが、Chromebookだと標準的ですね。

 ストレージも、ほとんどクラウドに保存してしまいますし、32GBのmicroSDを突っ込んでおけば、万一クソ巨大なファイルをダウンロードしなければならなくなっても問題ないと思います。

 モニタは先程書きましたが、グレア液晶。最大輝度にするとかなり明るいです。なので反射防止タイプのフィルムを貼っても見づらいということはありません。画面タッチは良好。指でスワイプしてブラウザをスクロールするのも追従が良いです。

 そして手書きのできるペンにも対応していますが、ペンは内蔵ではありません。手持ちのUSIペン(ELECOM製)を使ってみたところ、Flip CM3 よりも書きやすい。具体的に言うと、字を書いたときにペンを離したときや、線を描いて抜いた際に、末尾がハネません。

 これは手書きにとって重要で、EMR(電磁誘導)ペンではほとんど起こらないんですよね。全部EMRペンにしてほしいくらい。

 USIペンはペン先にスプリングがついていて接地スイッチになっているんですが、そのために手が離れたあとに時間差でペン先が画面から離れますから、その短い時間に画面側のセンサーが短い移動を拾ってそれがハネになってしまうんです。それをどうにかして300eは解消している。ペン反応の閾値調整が良いということなのかもしれません。

 USBポートが複数あるのもいいですね。Type-C×1は充電を兼ねていますが、そのほかにType-AのUSB3.0ポートが左右に1つずつあります。HDMIも直挿しできるのでこの点も安心。ボリュームも物理ボタンとして存在します。

 こういう物理的存在は大切で、充電ランプはUSB-Cの隣に、スリープ状態を示せる電源ランプは電源ボタンにそれぞれついています。イヤホンジャックもありますので、インターフェースは必要なものをきっちり載せているという感じです。

 カメラは画面上部に物理シャッター付きのものが1つと、キーボード面に1つあります。このキーボード面のカメラは、逆側に折りたたんでタブレット状に変形させた場合に役立ちます。

 キー配列は、Softbankモデルは日本語配列でして、ChromebookでよくあるEnterキーが狭くなっているもの。ぼくは気になりませんが、やはり[¥]の縦列は狭くしてバックスペースやエンターキーが大きくなっていたほうがよいかもしれないです。打鍵感は良いです。

 タッチパッドも大きくて使いやすく感じます。1本指タッチで左クリック、2本指タッチで右クリック。設定でタッチによるクリックをなくせます。

 バッテリーが10時間以上もつのもChromebookらしい利点です。Chromebookを使用するようになってから、日中使用する際にバッテリーの減りを気にすることがなくなっていて、たまにバッテリーが4時間くらいしかもたないWindows機を借りたりすると、気持ちがしんどくなってしまいます。

 気になるのは重さですね。1.33KgというのはWindowsでもミドルレンジというか、ハイスペックでもモバイルでもないけど、とりあえず一家に一台置かれるノートパソコンの重さに思えます。

 その分、堅牢な作りで、硬軟を兼ね備えた樹脂で四方が囲まれています。樹脂部分はストーン状の模様が入っていて、樹脂そのものの性質でこういう模様なのかもしれませんが、単なる銀や黒ではないため、持つ楽しみがあります。逆に、ディプレイのフチがそこそこ広いため、堅牢さと引き換えにもう少し狭くできれば、全体的なサイズもコンパクトになるのではないかと思いました。このあたりはGIGAスクール構想といいますか、学校で児童が扱ったりするので仕方ないんでしょうね。

シチュエーションを選ばない使い心地

 で、結局常時4G/LTEで接続できるという点が良すぎて、重さも気にせず持ち運ぶようになりました。

 何なんだこの変化は。iPad Proにキーボードをつけたほうがこれより300g以上軽いんですが、今更WiFiしか繋がらないものを持ち運べないな、というくらいの気持ちになっています。

 電車で開く、カフェに行って開く、打ち合わせ中に開く。先日など半日に及ぶ研修を受けるという苦行があったんですが、毎時の休憩時間にパッと開いて業務連絡できたりしてめちゃくちゃ便利でした。

 スリープからの回線復帰も数秒なので、いちいちスマホと連携してテザリングしてたのがばかばかしく感じます。自分の事務所はGoogle Work Spaceを中心にSlackなど全てブラウザで業務を行っていますし、バックオフィスもクラウドサービスのfreeeで済ませているので、Windowsじゃないとできない仕事が無いんですよね……。「あのパソコンにファイルがあるからこのパソコンでは作業ができない」みたいなことがないのは快適です。唯一の弱点はプリントアウトを求められた時でしょうか。

 Chromebookを使う上でよくAndroidアプリとの互換性が注目されますが、アプリの形をしていないといけないという先入観は棄てたほうがいいです。普通に使ってる分にはネイティブアプリと プログレッシブウェブアプリ(Progressive Web Apps、 PWA)との区別なんてつきませんし。常時接続できる300e Gen3なら尚更です。

まとめ

 ということで、ここまで書いてきた内容で、スペックに不安になる部分がなければこの『Lenovo 300e Chromebook Gen3 セルラーモデル』はオススメです。先ほど分割だと残債払うの面倒みたいなこと書きましたが、一括で買ってもこの性能で5万円台なら十分です。

 携帯電話ショップ専売の機種という点では、昔懐かしdocomoの『Sigmarion』シリーズを思い浮かべます。あれくらいのサイズでChromebookが出たらほんとうに欲しいですね。いまWindowsで流行っているUMPCのサイズでもカバンに1台忍ばせておくには無理がないので、そのうちChromebookも出てくれないかなぁ、と思います。



投げ銭大好きですが、なるべく折りたたんでお投げくださいますようお願いいたします。