本当の意味で経営の効率を図るには

1. 警備は人を現場に派遣して売上を上げる仕事。

その売上を今ある総資産でどれだけ効率よく生み出しているか。それを計る経営指標が総資産回転率である。

総資産回転率は貸借対照表上の売上高をバランスシート上の総資産で割ることではじき出される。

業種にもよるが一般に目安として1倍以上だと資産を効率的に運用出来ていると評価される。

何度も言うように警備の会社は費用のほとんどが人件費。人件費は損益計算書上の売上原価もしくは販売管理費にあてはまるので、バランスシート上の資産ではない。とすると会社にもよるが、警備会社の場合はこの総資産回転率2,3倍といったところがザラじゃないかと思う。

2. じゃあ警備会社は資産を効率的に運用する優良な会社かというと必ずしもそうでないと思う。

(1)まず、上記のようにこの資産に含まれていない人件費に儲けのほとんどが消えてしまう。しかもその人件費の相場が今急激に上がっており、予断を全く許さない状況であることが上げられる。

その状況で不況に陥り、仕事の受注が減ったらプールしている現預金が少ないのですぐに資金繰りに行き詰まる会社が多いことは容易に想像がつく。

だから警備会社の多くは少なくとも警備員にかんしては日給月給制にして調整の効く扱いをしているんだと思う。でもそれでは人が来ない。来ても日給を相当払わないと定着してくれない…。

(2)次に、警備業、とくに人的警備の場合は資産となる工場や施設のいらない仕事。

ということはやろうと思えば誰でも新規参入できるので、競争が激化し、結果、価格競争に陥る宿命にあるということは前にも書いた通り。

つまり、警備の場合、経営の効率性と経営の安定性がリンクしにくいことが分かる。このような経営の効率性は見せかけだ。

3. ではどうすべきか。

まず、サービスの差別化を実現し付加価値を高め、売上を伸ばし、現預金を増やす。

その上で、警備を装置産業化するなどして、意図的に参入障壁を作って行くこと。それを設備投資で行うのか、リースでするのかは考えどころだが、それこそ経営の効率性を考えるなら原則としてリースで行うべきだろう。

いまや資産をもつことはコストでしかないのだから…。


それら一連の努力が経営の安定性と経営の効率性とのリンク、本当の意味での経営の効率性につながると思うのだ。






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