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幸という文字の語源は手かせを意味し、それが重い刑罰を免れるからしあわせだという現在の意味になったとネットの語源辞典には書いてあった。

これから企業の時代でなく個人の時代だと言われる。

本当にそうなんだろうか?

組織の拘束から免れ、自由に生活を営める。それはそれで結構なことだと思う。

でも同時にそれは、労働者から個人事業主になるということを意味する。
個人事業主とは自由な反面、自己責任で生きること。
その不安定さに耐えられるのだろうか。

どうもこの響きはかつてのフリーター礼賛の流れに似ている。

それに流された人達は中年になっても正社員になれず、結婚できない人が多い。
それよりヘビーなことが個人事業主になる若者に起きる可能性がある。

別にそれが悪いというつもりはない。
今は多様性の時代。自分に納得ができる生き方ならなんの問題もないだろう。

でも、なんとなく個人の時代だよね、自由がいいよね、みたいなムードで個人事業主を選ぶなら、悪いことは言わない、やめて契約社員でもいいから組織に属した方が「幸」だと思う。

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昨日、ウーバーイーツに登録した配達の兄ちゃんが車と接触して怪我をしたのに労災が適用されないから問題だ、みたいなニュースがあった。

兄ちゃんからすれば、時間に拘束されることなく空き時間を上手く活用して小遣いを稼げる程のいいアルバイトのつもりだろう。

でも普通の出前の配達と違い、ウーバーイーツの場合、あくまで契約相手が店でなく、運営側で、しかもパートナーとして契約しているので、恐らく契約形態も請負か業務委託。よって労働基準法は適用されないので労災も適用されないのが原則。

それはそうだろう。

もしその場合にも労基法の保護が可能なら、ウチだってある意味契約先の施設なり建築業者の拘束下にあるから労基法が適用されることになる。

でもそんなことにはならない。だってうちは契約先とは別の独立した事業主だから。

だから、契約先の指図を受けることなく自由には仕事ができる。その代わり結果に対してこちらに非があれば責任を負う。

それが自由ということ。

にもかかわらず自由の美味しい部分だけ享受しながら、それに伴う責任を免れようとするのは虫がよくはないかと思う。

でもそれが人間という生き物なのだろう。

この先、ウーバーイーツに登録した配達の兄ちゃん達にも労基法が及ぶかもしれない。
それは組織に入ることを意味する。
昔のフリーターと何も変わらない。

結局その兄ちゃん他多くの人は本当のところは個人じゃなく企業組織に拘束される安定を求めているのだろう。

ただその拘束を緩くしてほしいみたいな。


歌で例えるならヒップホップやR&Bの外見を装いながら、その実は歌謡曲というJ POPのスタイルってとこか。

きっとみんなブラックみたいに縛りすぎるのは嫌だけど適度な拘束はしてほしいんだろう。

それが「幸」だから。

ということは組織を運営する者としてある程度従業員のライフスタイルにカスタマイズしながら彼らに安心して働いてもらう環境を作っていくのが今後必要なんだろうと思う。

きっちりしすぎはよくないがゆるゆるでもダメという程良いバランス感覚で今後も組織作りを進めたいと思った。

でもウーバーの仕組みを警備業にも使えたら人手不足解消に役立つのではないだろうか。もっともそのためには法定新任教育時間等の法的障害が問題になるとは思うが…

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