見出し画像

インペリアルねじよりメトリックねじが世界の産業で広く使用されている謎?

    読者の皆さま、阪神ネジ株式会社海外営業部の シリラート・ナタポンです。本日も皆さまにねじに関する面白い情報を共有したいのです。それはインペリアルねじよりメトリックねじが世界の産業で広く使用されている謎であります。

    メトリックねじは、18世紀からフランスをはじめ世界中で広く使われています。皆さまがこれから訪れるすべての国で、通貨と同じように異なる規格のねじが使われていると想像してみてください。それはどれほど複雑になるかすぐに想像がつきますよね。
18世紀後半に設立され国際度量衡局 (International Bureau of Weights and Measures ; BIPM) は、世界の計量規格を管理する基準を定めました。
その後メトリックは世界標準の一つになりました。現在ではアメリカ合衆国をはじめとする一部の国がインペリアルを適用している以外は、ほとんどの国がメトリックを適用しています。
さて、世界のねじには、一般的にメトリックとインペリアルの2種類の測定単位があります。

メトリックではmmミリメートル)や cmセンチメートル)といった単位を使います。
例えば、キャップボルト M10 x 1.5p x 30等です。

 インペリアルは、inch (インチ) や feet (フィート)等の単位を使用します。
例えばキャップボルト3/8”-16 x 1 ¼”等です。

では両者にはどのような違いがあるのでしょうか。両者は互いにサイズを変換することが出来ますが、実際にはねじの計測方法に重要な違いがあります。

メトリックではねじピッチを使用します。これは隣り合ったネジ山の中心同士を結んだ距離を測定します。例えば、M10 x 1.5p x 30は各隣り合ったネジ山の間の距離は1.5mmになります。

    インペリアルでは、1インチ(25.4mm)にいくつの山があるかを測定するTPI(thread per inch)を使用します。例えば、キャップボルト 3/8”-16 x 1 ¼”です。このねじはインペリアル法の中で一般的なUNC (Unified coarse)で、1インチ当たり16個のネジ山を持つことになります。

    外側から見るとメトリックもインペリアルもねじ山は同じように見えます。ノギスで測定するとM10のねじは3/8”と同様に9.86mmと測定され、お互いに近い数値がでます。しかしメトリックとインペリアルのねじは完全にフィットしているわけではないので、固定した場合、緩すぎたりきつすぎたりするものもあります。そのためピッチゲージ、山数ゲージを使用して正確にサイズを測定する必要があります。

    ここで、メトリックねじが世界の産業で広く使用されている謎は以下の利点があります。

1.通の規格を選択することで、世界中の関係者と協力しやすくなります。
もし他国と関係のある機械や製品を作るプロジェクトがある場合、誤測定やファスナー調達の問題を防ぐために、相手国で適用されているねじ規格を考慮する必要があります。このようにやると今後発生する調達問題もより簡単に解消されます。

2.サイズ変換の間違いを防ぐ
仕事において、ほとんどの方がインペリアルからメトリック、つまりinch(インチ)からmm(ミリメートル)への変換するのに時間がかかることがあります。時には誤解や間違いが起こることもあります。特に貴社の製品がミリ単位の精密部品を製造している場合はなおさら重大な問題につながることもあります。たった1mm(ミリメートル)の誤差でも場合によって製造業に大きなインパクトになりかねません。

3.サイズ変換の手間を防ぐ
  関連する仕事に就いておられる方や学校で習ったことがある方以外は、インペリアサイズに慣れておられる方は少なく、皆様は日常生活でよく使うメトリックに慣れていると思います。例えば身長を測る際はcm(センチメートル)で測り、距離を測る場合もm(メートル)やkm(キロメートル)で測ります。

  例えばインペリアルねじを使い製造をしている場合、日本ではメトリックが主流なため、適合する工具や部品をを探すのに苦労することがあります。インペリアルサイズのツールや部品も入手可能ですが、あまり流通しておらず、市場の需要が低いため高価になる可能性があります。
    貴社のビジネスがどのようなものなのか、誰と取引するのかを知っておくことはどの規格を使用するかを決めるのにとても役立ちます。
またどの規格を採用するのかは、現在だけではなく、将来的なメンテナンスのことも考えて決める必要があります。グローバルに設計された製品は、コスト削減のメリットがあり、ユーザー様の満足度も向上させることが出来ます。
次号ではメトリックとインペリアルねじについて詳しく解説していきます。


ねじでお困りのことがございましたらお気軽にお問い合わせください。-->コチラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?