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尿管結石で痛み止めの注射で見た幻覚と脳内麻薬

30代前半、夜中に強烈な腹痛が襲った。最初は我慢できる程度の痛みだったが、時間が経つと我慢できなくなり、もう無理だと思ったので家族に救急車を呼んでもらった。救急車隊員が部屋に入り私を見た瞬間「尿管結石かな」と、とても冷静に私を救急車に乗せた。



数分後、救急病院に到着すると、やはり尿管結石ということだった。痛みが治るまで安静にしてベッドで寝ているように言われて「何かあればボタンを押して読んでください」と言われたが、痛くてベッドで横になることも出来ない。



ベッドの脇にしゃがみ込み、ひたすら痛さに耐えていた。痛みが治る気配もなく、我慢できずにボタンを押して何度も看護師を呼んだ。3回目のボタンを押すと若い医師も一緒に来た。

もうこれ以上どうにもならないと判断したのだろう、医師が一本の注射を打った。

1〜2分で嘘みたいに痛みが治り、いままでに体験したことのない幸福感で満たされた。

あー、幸せだ〜
すごく幸せ!


痛みが治まって気分がいいのとは明らかに違う。理由もなく全身が幸福感で満たされている。



今度は、万華鏡のようなものが見えてくる。目をつぶっているのでイメージで見えているのだが、模様は色鮮やかで立体的で回転しながら奥深くまで光が見えている。まるでスクリーンセーバーのような不規則に動く色と光もあった。



幸福感に浸りながら夢中で見ていると家の前に立っている私がいる。なぜ自分がここにいるのかという違和感もなく夜空を見上げると、

空を飛べるかもしれない!


そう思った瞬間に、私は両手を広げてゆっくりと飛び、自宅の屋根を見下ろすくらいの高さまで飛んだ。止まることなく更にゆっくりと空を飛び、もっと高く飛ぼうと思えば、どこまでも高く飛べる。 

どんどん小さくなっている家を見ていると、これ以上高く飛ぶと帰れないかもしれないと感じて、今度はゆっくり降りて家の前に戻った。



その瞬間、場所が移動して家の斜め前にある空き地に、体育座りしている私がいる。アパートを建てる予定で更地になっていたところで、実際に入ったことはないが、更地に座りながらしばらく暖かく優しい風を感じていた。


暖かい風が気持ちいい〜
気持ち良くて動きたくない

空を飛んだ次は地中に潜れるかもしれないと思った。

何も考えず足先から土に直立しながら潜っていき、土の中は冷んやりしていて気持ちがいい。不思議なことに身体が土で汚れることもなく、何色も細かく光る土と層がよく見えて感動的だった。

地中から戻るとそこから先の記憶は全くない。



朝になり目覚めると、家族が病院に迎えに来ていた。私の顔の表情から何の感情も感じられない尋常じゃない様子だったらしいので看護師にどんな治療をしたのか聞くと、


「軽い麻薬のような注射を打ちましいた」


と言った。痛み止めの注射を打たれたことで、いままで感じたことのない体験をした。

何の条件もいらない、何もしなくてもただひたすら幸せで、それを全身の細胞にまで感じる。


過去にあのような幸福感を得たことはなく、麻薬患者に依存性があることを、今回は尿管結石になったことで少しわかったように思う。



人間の脳は、私が体験したような幸福感で満たされる脳内物質を分泌するシステムがある。代表的な脳内物質は、エンドルフィン、ドーパミン、セロトニンなどで、それらを脳内麻薬とも言う。

いまの私が瞬時にあのような脳内麻薬を出すのは困難だ。

痛み止めの軽い麻薬を打たれて以降、どんなに条件を満たしても、あの時の〝何もしなくても、何を得なくても、ただひたすら幸せ〟という幸福感を感じたことはない。

条件と書いたが、安易にドーパミンを出すには、例えば美味しいものを食べて、旅行に行ったり、欲しいものを買ってSNSに投稿して優越感、自尊心、承認欲求などのエゴを満たすことで脳内麻薬は出るだろう。だが脳は気が付かないうちにドーパミンという脳内麻薬にすっかりコントロールされているのかもしれない。

麻薬を使わずにあれだけの幸福感に満たされたらどんなにいいかと思う。

そのためにマインドフルネスという瞑想があるが、ただ私の経験上、幸福感の度合いが全く違う。それは、私が瞑想を極めていないのかもしれない。

瞑想を極めることは可能なのか、極めると幸福感で満たされるのか、それが悟りなのか。

2019年にインドで学んだことがある。内側の変容と苦悩の意識状態から美しい意識状態に変えるというテーマだった。

苦悩の意識状態を学んでいる中で、そこに潜んでいる考え方は、比較、苦しみ、怒り、焦り、悲しみ、孤独感、嫉妬などがあり、毎日内観して自分と対話をしていく。

美しい意識状態とは、調和のとれた解決や、穏やかさと幸福感で対処するという状態だった。

インドのキャンパス内

私は未だに苦悩の意識状態から抜け出せないでいる。きっと私は苦悩の意識状態が好きで居心地がいいのだろう。

いまの自分の思考や意識状態の癖は幼少期の体験だと、好きなときに好きなだけ言い訳をして、人や世の中を裁いて自分を正当化できる。



いま起きていることの解釈や過去の認識も変えて、大きく見方を変えることができれば、今後の人生を調和のとれた美しい意識状態で生きることができると思う。

調和のとれた穏やかさと幸福感は脳内麻薬の分泌で感じるだろう。過去の認識を変えるには脳内データの上書きをすることで可能だということが脳科学でも言われている。その方法のひとつに変性意識状態のヒプノセラピーがある。

学びのテーマの内側の変容は脳の変容とも言える。

幸せの感じ方は人によって違うが、本来の幸福感とは意図的に作った化学物質やテクノロジーや物質や承認欲求ではないはずだ。

では、いつどのような方法で脳内麻薬を出すのか。

産業用ヘンプから抽出される植物由来成分の一つでカンナビジオールのCBD製品も多く販売されている。最近ではCBD入りのグミやガムもあり、渋谷でCBD入りのビールも売っていた。それもひとつの方法かも知れない。

瞑想や自然由来のもので、1日に数秒、数分だけでもいいから脳内麻薬を出して、心と身体と細胞を幸福感で満たす必要があると思う。

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