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Vtuber と歌舞伎について

バーチャルな空間でアニメキャラのような身体になり切り、独特な発声でゲームをしたり歌を歌ったり、そんなVtuberと呼ばれるジャンルが台頭してきました。
大変な数のファンから高額な投げ銭を受け取り、グッズなども飛ぶように売れているようです。
私はその人気の理由がわからなかったのですが、考えた末、これはいわゆる「様式美」の出来上がる過程なのではないかと思い至りました。

様式美と言われますが定義はなく、
"一定の流れを守ること"でその美しさを際立たせる表現方法
ひらたくいえば「お約束」を満たしたうえでの美です。

ここでは日本の伝統芸能歌舞伎と比較して考えてみたいと思います。
顔に濃い化粧や模様を描いて、寄り目をしたり髪の毛を振り回したり。
男性が女装で三味線や小筒や笛にのって踊ったり、花道を練り歩いたり。
ながながとセリフを言ったりしていますね。
普段あのような格好や話し方をする人はいません。
江戸時代に開花したとしても多分当時の人はあんな喋り方はしていないでしょう。現に落語では今と同じような喋り方です。

Vtuberたちの喋り方も、普段あのような喋り方の人が少ないように(いたら申し訳ないですが)お約束なんだと思います。
他にも共通点があるのでまずは歌舞伎の歴史をネットで纏めました。


歌舞伎の発祥
出雲 阿国(いずもの おくに、元亀3年(1572年) - 没年不明)は、安土桃山時代、江戸時代前期の女性芸能者。ややこ踊りを基にしてかぶき踊りを創始したことで知られており、このかぶき踊りが様々な変遷を経て、現在の歌舞伎が出来上がったとされる。一般的には、彼女による「阿国歌舞伎」の誕生には名古屋山三郎が関係しているとされ、「山三郎の亡霊の役を演じる男性とともに踊った」といった解説がなされることが多い。 お国が演じていたものは茶屋遊びを描いたエロティックなものであり、お国自身が遊女的な側面を持っていたという可能性も否定できない

歌舞伎の過渡期
寛永6年(1629年)、江戸幕府が、風紀紊乱の取り締まり、寺社で既に徹底されていた女人禁制との整合性、および、江戸時代になって制度としても全面的に強くなり始めていた男尊女卑(女性差別)の傾向から、女性の芸能者が舞台に立つことを禁止したとされる(女形の原型)。
ほかにも若衆(12歳から17、18歳の少年)の役者が演じる歌舞伎(若衆歌舞伎)が行われていた。男娼のことを陰間というのは「陰の間」の役者、つまり舞台に出ない修行中の役者の意味で、一般に男色を生業としていたことからも分かるように好色性を持ったものであった。全国に広まった遊女歌舞伎と違い、若衆歌舞伎の広がりは京、大阪、江戸の三都を中心とした都市部に限られている。しかし、こうした遊女や若衆をめぐって取り合いなどの喧嘩や刃傷沙汰が絶えなかったため、遊女歌舞伎や若衆歌舞伎は、幕府により禁止される。

洗練される歌舞伎
元禄年間(1688~1704)を中心とする約50年間で、歌舞伎は飛躍的な発展をとげ、この時代の歌舞伎は特に「元禄歌舞伎」と呼ばれている。この時代の特筆すべき役者として、荒事芸を演じて評判を得た江戸の市川團十郎 (初代)と、「やつし事」を得意として評判を得た京の坂田藤十郎 (初代)がいる。


歌舞伎の完成
歌舞伎の舞台が発展し始めるのは享保年間からである。享保3年(1718年)、それまで晴天下で行われていた歌舞伎の舞台に屋根がつけられて全蓋式になる。これにより後年盛んになる宙乗りや暗闇の演出などが可能になった。また、享保年間には花道が演技する場所として使われるようになり、「せり上げ」が使われ始め、廻り舞台もおそらくこの時期に使われ始めた。宝暦年間の大阪では並木正三が廻り舞台を工夫し、現在のような地下で回す形にするなど、舞台機構の大胆な開発と工夫がなされ、歌舞伎ならではの舞台空間を駆使した演出が行われた。これらの工夫は江戸でも取り入れられた。こうして歌舞伎は花道によってほかの演劇には見られないような二次元性(奥行き)を、迫りによって三次元性(高さ)を獲得し、廻り舞台によって場面の転換を図る高度な演劇へと進化した。


いかがでしょうか、バーチャルな舞台でコメント欄を通じて人々を魅了するその姿。現代のかぶきものにふさわしいのでは。
理想の外見、声、しぐさ、全てを捧げようという熱心な人がいるのも今発展し続ける芸能だからです。
しかしまだ新しいがために、古い価値観の世代に奇異に映ってしまうのでしょう。まして実はその正体は生の人間な訳でよほどの注意を払わなければファンと演者の夢の空間は破綻します。河原や小屋では空間的な結界が張れますがネットは怖いところです。
スキャンダルで世間を騒がせて事務所を解雇される事件があるなど似てはいないでしょうか、過渡期には遊女や若衆をめぐって喧嘩や刃傷沙汰が絶えなかったという歌舞伎の歴史と。

最後に、VRで世界が広がっていく中Vtuberというジャンルも淘汰競争が起こり表現も洗練されなければ生き残れないという気がします。
歌舞伎や能や宝塚のような長年の様式を獲得し文化にできるかこれから見守っていきたいと思います。

そしてどなたか、誰かゲームのうまい若衆(男子)Vtuberいたら教えていただけると幸いです。





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