見出し画像

食品ロスの削減について・loT技術を活用した実証実験のご紹介

こんにちは!SIRU+の川﨑です。
前回のnote、産学連携とCOI事業について読んでいただけましたか?
あのnote、実は書くのにめちゃくちゃ時間がかかりましたが今回も超時間がかかってしまいました。ごめんなさい。ここで謝罪しておきます。。。

今回は、経済産業省消費・流通政策課の取り組み、食品ロスの削減に関する実証実験をご紹介します!!頑張ります!!

なんで経産省がフードロスの取り組みやってるんだい

経済産業省HPより

そもそもなんですけど、なんで経産省が食品ロスの取り組みやってるんだ?って思いません?めっちゃ初歩の初歩で申し訳ないですが、私は思います。
食品ロスって農林水産省が教えてくれるし、環境問題の話にも繋がるから環境省の取り組む問題じゃないの?

だって農林水産省に食品ロスのページあるし。と思ってました。
なので、そもそも食品ロスの何が問題になっているのか、調べてみました。

食品ロスに対する、国の取り組み

農林水産省・環境省によると、令和2年度推計で食品ロスが約522万トン発生しています。
そのうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロスが約275万トン、一般家庭から発生する家庭系食品ロスが約247万トンです。
これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当します。

ゴミ処理に税金かかる、と調べてたらたくさん出てきたので、この莫大なゴミを処理するのににどのくらいの費用がかかるんだろう?と。

環境省HPや消費者庁HPを見てみると、
食品ロスを含む一般ごみの処理費用は、年間2兆円以上かけています。

食品ロスって環境問題や、もったいない!の話だけでありません。
ゴミを廃棄するのにも多額の税金がかかります。(燃料代や人件費、整備するのにもお金かかりますね。

令和2年度、ごみ処理事業経費は、21,290億円であり、国民1人当たりに換算すると、16,800円となる

環境省HPより

また、食品には多くの水分が含まれているため、焼却の際はたくさんエネルギーを使い二酸化炭素が発生するので、100万トンの食品ロスを削減すれば46万トンのCO2を削減できるそうです。(消費者庁HP「食品ロス削減関係参考資料(令和4年度12月1日版)」より)


食品ロスは環境問題に経済問題と、多くの課題を抱えていることから、
国の取り組みとして、農林水産省、消費者庁、文部科学省、経済産業省、環境省、厚生労働省が連携し、食品ロス削減国民運動を始めています。

消費者庁HPより「食品ロス削減関係参考資料(令和4年度12月1日版)」


経済産業省は何年も前から食品ロスに関する実証実験を行っていて、今回シルタスが関わった取り組みが「IoT技術を活用した食品ロス削減に関する実証実験」です。

「IoT技術を活用した食品ロス削減に関する実証実験」

イトーヨーカドー曳舟店

実施場所
イトーヨーカドー曳舟店、参加者自宅
実施期間
2022年1月12日(水曜日)から2022年1月31日(月曜日)
2022年2月9日(水曜日)から2022年2月28日(月曜日)
参加者
20代から60代の男女、約100名
実施主体
日本総合研究所(委託事業者)、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、シルタス、日立ソリューションズ西日本

食品ロスの削減には「産地」「小売」「消費者」それぞれに対するアプローチがあり、今回の実証実験はこの3つのフェーズにて実施されました。

実証実験①:(産地~小売店舗)
青果物の新たな価値を訴求する販促による食品ロス削減
実証実験②:(小売店舗)
ダイナミックプラシングを活用した売り切り促進による食品ロス削減
実証実験③:(小売店舗~消費者)
「健康」を価値とした食品の購入・調理・保管の支援による食品ロス削減

シルタスが参加したのは、「小売店舗〜消費者」へのアプローチである、実証実験③になります。

この実証実験③では、
購買データや消費・廃棄データを「健康」という切り口で活用しながら、食品の購入・調理・保管を支援する消費者サービスとして提供し、家庭内での食品ロス削減への効果を検証する。というもの。

loT技術とはなんぞや

IoT技術やデータの活用をすることで、食品ロスの削減に役立てよう!というのがこの実証実験です。
IoT技術とは、さまざまなものがインターネットにつながる仕組み、「モノのインターネット」のことです。
IoT技術を活用した家電には、例えばスマートスピーカー、スマートロック、スマートタグ、リモコンを使わず外出先から操作できるエアコンなどたくさんあります!
今回使用したRFIDタグも、このIoT技術を活用したモノの一つです。

様々な「モノ」がセンサーと無線通信を介してインターネットの一部を構成するという意味で、現在進みつつあるユビキタスネットワークの構築は「モノのインターネット」(IoT: Internet of Things)というキーワードで表現されるようになっている。
IoTのコンセプトは、自動車、家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出すというものである。これにより、製品の販売に留まらず、製品を使ってサービスを提供するいわゆるモノのサービス化の進展にも寄与するものである。

総務省HPより


ポイント①RFIDの活用

ユニクロのRFIDタグ。全商品に導入された当時話題になりましたね。(流通ニュースより)

今回の実証実験ではRFIDというタグを使用しています。
ユニクロについているタグ、レジに通しただけでお会計が一瞬で終わりますよね。あれです。
RFIDタグは商品の価格や製造日などあらゆる情報を埋め込んだもので、商品情報を電波などを用いた無線通信によって、直接触れずに一つ一つの商品を情報を認識することができます。
これを活用することで、商品情報の管理が可能になります。

これを食品ロスの実証実験でどのように活用しているのか、というと
食材一つ一つにこのRFIDを付けることで「賞味期限・消費期限」「在庫状況」の管理が可能になり、効率的な売り切り促進、食品ロスの削減や店舗業務の効率化に役立てることができます。

このように、RFIDを活用することで、「小売業者」「消費者」どちらに対してアプローチすることができます。

【食品ロスの削減】
食品メーカーが商品を作ってから 倉庫に入って、スーパーに入って、お客様の手元に行って、お客さんの手元からゴミ枠に捨てられるまで、全てどれぐらいの期限の商品がどこにあるのかというのをRFIDで追っていくことで、在庫管理・食品ロスの削減に役立てることができる。
また、この商品は賞味期限近いですよ。と、家にある場合はアラート出すことで食品ロスの削減に役立てることができる。
【業務効率化】
お店にある場合は今は値札シール貼ってますが、賞味期限近いものはもう自動で値引きされるように設定すると、スーパーの手が楽になります。
倉庫にあるものも、その賞味期限近いものから、優先的にどんどん出していく、というやり方で商品管理もできるになりますし、
人の手を離れて、1つの商品ごとに現時点の状態が追えるようになります。

全商品に導入できたらとても便利ですよね…!

便利な一方でRFIDを一つ一つの商品につけるのも問題点もあります。
服だったら 1個の単価が高いものの、食材は1つの単価が低い。
RFIDは1つ3円くらいするので、単価が安いものにつけても利益率が低くなってしまうんですね。
(100円のものを売るために1個1個に3円かかると莫大な金額になってしまう)

利益率の問題から主体者がいないので、RFIDを活用することで、本当に生産性が上がったり、利益が得られるかということをこの実証実験で検証しています。

ポイント②リアルタイムレコメンド


ピピットスマホ(スマホ型セルフレジ)

SIRU+をスマートショッピングカート「ピピットスマホ」に導入してもらいました。
ピピットスマホとは、スーパーのカートに商品を入れるたびにスキャンしていくものです。
商品がすぐにスキャンできると、レジ打ちの時間が削減され、消費者もすぐにお会計できてらくちんですね。
今のSIRU+アプリではレジを通ってから購買データがが連携されるので、
買い物後、アプリに反映され、レコメンドが表示されますが、
ピピットスマホ(スマートカート)に導入してもらうことで、リアルタイムでカート内のデータ・家庭の在庫から足りない栄養素を補う食材を表示してくれて、かつクーポンも配信されていました。

<実証実験での購買の流れ>
参加者は、SIRU+上に買い物リストを作成した上で、ピピットスマホを利用しながら店頭で買い物を行います。
SIRU+は、ピピットスマホによってスキャンされたカート内の商品データを基に、家庭の在庫状況および栄養バランスを考慮した商品の購入を促すレコメンドを買い物中に出しました。また、買い物の完了後には、購買データがピピットスマホから食事管理アプリに連携され、家庭の在庫情報として管理されます。


ポイント③ゲーミフィケーション

健康状態を購買データから予測してキャラクターの姿に反映させる、というゲーム要素を取り入れた形(ゲーミフィケーション)で提示し、不足する栄養素の購入を促すことで、健康的な買い物の支援と購買促進が可能か検証しました。
5大養素のそれぞれにキャラクター作って、 タンパク質が足りないと、マッスルンがこう元気なくなっていったり、食物繊維が多く摂れているとダイエットくんが元気になっていったり。
なんだか可愛いですよね(笑)

ポイント④消費・廃棄データの取得による在庫管理

冷蔵庫の中にある食材がどのくらい残っているのか、ということを重量センサーとRFIDを使って、リアルタイムで把握しました。

RFIDをつけておくことで、食材の賞味期限が切れるタイミングが分かり、
そして、さらに重量センサーつけてるので、残りの重量を常に情報収集して、アプリの方で、期限が切れそうな食材使ったレシピの提案をする、といったアラートが出るようにしていました。
生鮮食品は冷蔵庫に重量センサーを取り付け在庫の把握を可能に。

このように、家の中の在庫が把握できると余計なものを買わなくていいので助かりますよね。

<消費プロセスの流れ>
購入した商品の消費状況をスマートフォンからモニタリングするため、商品には自宅でRFIDタグを貼り付けます。
消費データは、調理の際に残った商品を重量センサで計測することで取得し、イエナカデータクラウドを通じて、食事管理アプリ上の在庫情報を更新します。また、この在庫情報は、参加者自身で消費量・廃棄量を手入力することが可能となっています。
消費・廃棄データを取得・入力した際には、買い物に利用できるポイントが食事管理アプリ内で付与されます。


今回の実証実験の役割(敬称略)
イトーヨーカ堂
・実証実験の実施場所の提供、実証実験の運用
今村商事
・消費者向け半自動消費・廃棄登録システムの構築
・ピピットスマホとSIRU+の連携システムの構築
サトー
・ダイナミックプライシングシステムの構築
・電子棚札の提供
・Bluetoothタグの提供
凸版印刷
・Shufoo!、デジタルサイネージを利用した販促の実施
・ZETtagの提供
日本総研
・実証実験の全体設計・推進
日立ソリューションズ西日本(本社: 広島県広島市、取締役社長: 久保田健二)
・重量センサの提供
シルタス
・SIRU+をベースとした消費者向けアプリケーションの構築

最後に

今回はIoT技術を活用した食品ロス削減に関する実証実験をご紹介しました。
RFIDや重量センサーを活用して食材の期限や在庫管理をすることで食品ロス削減に繋げる、という何だか今回も近未来のような実証実験でした…!

今回も長くなってしまったのでちゃんと伝わっているかな〜と不安ですが、、、、
令和3年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業「IoT技術を活用した食品ロス削減の事例創出」調査報告書が経済産業省のHPにも上がっていますので、よければご確認ください!(丸投げしてごめんなさい)

シルタスのプロジェクトに質問などありましたらどしどし連絡ください!

SIRU+は今後も「がんばらないヘルスケア」を日本全国に広げていきます!

シルタス株式会社コーポレートサイト
SIRU+アプリのダウンロードはこちら