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「左折→左折→左折=右折」が得意だった女子の話

こんにちは、本田ひろです。

海外から帰国する社長のお迎えのため、
羽田空港の第3ターミナルでこの記事を書いています。


今日は
「右折が苦手な人が多いのはなぜなのか」
というお話し。

結論から言うと、

【注意するポイントが多くて、危ないと感じるから】
【認知→判断→動作の流れをする時間が短いから】

このふたつが原因。

左折と比べても圧倒的に危険が多く、
心理的&時間的&物理的な制約なんかもあるので、
ほとんどの人が左折より右折が苦手なのは普通のことなんです。

そもそも人間は本能的に、
危なそうだと思う場所や行動は、
避けたくなる生き物ですから、
むしろ「オレ右折大好き超得意!」
なんて人がいたら、神経を疑いますw

じゃあどうすれば右折はスムーズにできるのか?
僕らプロドライバーは普段どうやっているのか?

答えは

【危ないところは回避する】
【安全が確認できるまでは絶対行かない】

やっているのはこれだけです。超シンプル。


右折の苦手な原因とその対策をお話しする前に、
ある女子の話をしましょう。

僕の幼馴染に、Nちゃんという女子がいます。
彼女は介護関係の仕事をしているのですが、
クルマを運転しなくてはならない職種に異動になり、
それまで完全にペーパードライバーだった生活は一変。
まずは実家のクルマで練習を始めたそうです。

ちょうどそんなタイミングで、
彼女の兄貴からずっと借りてたDVDを返すため、
仕事帰りに家に立ち寄ったときの出来事。

いつもニコニコ、世話好きのNちゃんが
「駅までクルマで送ってってあげるよ!」
と言い出しました。

彼女が運転できるようになったとは知らなかったので、
「マジで?じゃあ頼むわ!」
と、僕は特に何も考えずお願いして、
サンリオのキャラクターがいっぱいくっついた、
彼女の運転するトヨタの助手席に乗りました。

駅からバスで30分くらいだったから、
20分くらいで着けるかな…

そんなことを考えていましたが、
10分ほど走ったとき、あることに気付きました。


彼女は、右折をまったくしないんです。


さっき左方向に見ながら直進したはずの、
ローソンがあった交差点をもう一度通ったとき、
その思いは確信に変わりました。

「あのさ、ここさっき通らなかった?」

「ん?そうだよ」

「なんで?」

「だって右に曲がるの怖くて苦手なんだもん」

「左に何度か曲がれば、右に曲がったのと同じ場所に着けるから大丈夫」

「…そっか、確かにそうだね」


ウソのように聞こえますが、実話です。

確かに左折を3回繰り返せば、
行きたい方向へ右折したのと同じ方向へ行けますよね。

苦手な行動を無理して取らずに
事故のリスクを回避しているので、
右折が苦手を克服するひとつめの対策の
【危ないところを回避する】
という視点で見たら、
ある意味これも立派な安全運転です。

ひとりで夜道を歩くことを想像してみてください。
怖い思いをしながら最短ルートを無理して歩かずに、
人やクルマの多い明るい道を歩いたほうが、
たとえ遠回りでも事故や犯罪に巻き込まれる確率は減りますよね。

運転でもっとも大切なのは
安全に目的地に到着すること。
そのために無理をしないのはとても大事です。


話を戻します。

右折が苦手な人が多い理由は冒頭に書いたとおり

【注意するポイントが多くて危険と感じる】
【認知→判断→動作の流れをする時間が短い】

と言いました。

そんな右折も含めてプロが必ずやっているのが、
【危ないところは回避する】運転なのですが、
さすがにNちゃんのように左折ばかりしてはいられません。

そこで出てくるのが

【安全が確認できるまで“絶対に”行かない】

もうひとつの大事なことです。

本物のプロドライバー=バスやトラックの運転手さんや
教習所の教官も、おそらくみんな同じことを言うと思います。

そんなの当たり前だと思うでしょうが、
道路で走ってる80%くらいの人は、
ちゃんとできていません。

安全確認の流れを理解して行動できていないから、
本能的に危ないと察知して、怖いと感じるんです。

人間が暗闇を怖いと感じるのは、「見えないから」ですよね。
右折に限らずですが“運転の○○が苦手”
という理由のほとんどは、
【見えないから、苦手】
という点に深堀りしていくとたどりつきます。
この話は超重要なので、また別の機会でしますね。


右折のとき、僕がやっている安全確認はこんな流れです。

①確認するべきポイントをしっかり覚えておく
②まわりへの意思表示を確実にする
③安全確認できるまでスピード落とすor必要なら止まる
④必ず2回以上、確認をする(2測位、と呼ぶ人もいます)

ここまでは皆さん理解できると思います。
教習所でも習いますし、本や動画でもいろんな人が説明しています。


で、普通の人との一番違うのは

⑤安全確認したところを、声に出しながら運転する

ということをやっている点。
これは「コメンタリー運転」というのですが、
詳しく知りたい方は検索してみるか、メッセージ頂ければご説明します。

ざっくり言うと、
【運転中に自分が意識を向けたところのあらゆる情報を、
すべて声に出しながら走り続ける】
というものですね。

電車の運転士さんが指差し確認しながら発声しているのと同じことを、
ひたすら車内で運転中にやり続けるのです。

慣れるまでは意識が発声にもっていかれるので忙しいですが、
安全確認をする上で、これ以上の方法は存在しないほど効果絶大です。
(慣れれば心の中でつぶやけますが、運転の基本操作が不安な人や、
道に迷っているときにやると逆に危険なので注意)


右折を含め運転の苦手意識は、
そのほとんどが【見えない危険や不安】から来るものです。

だからまず大切なのは、
とにかく進行方向周辺をよく見ること。
そして安全を確認するために、
危険を“探す”行動を取ること。

このふたつを理解して運転するだけで、
今までよりも安心して運転ができるようになるはずです。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。
明日のあなたが、昨日のあなたよりスムーズに運転できるようになり、
運転の不安解消のお手伝いに少しでも役に立てたら幸いです。


追伸:
右折では「行けそうだから行っちゃえー!」というような、
事故の原因になりやすい無理な曲がり方をする人が多いです。

この「行っちゃえ右折さん」たちは、

①右折待ちが長くてイライラしている
②曲がれる時間が限られている
③目の前で信号が変わって自分だけ行けなかった
④後ろのクルマを待たせているのがプレッシャー
⑤譲ってくれたから早く曲がらなきゃ

こんな心理が働いています。
Twitterで知り合ったフォロワーさんからも、
こういう人って多いですよねと、DM頂きました。

で、この行っちゃえ右折さんたちに共通しているのは、
進行方向をよく見てないし、危険もあまり探していない。

つまり、安全が確認できてなくても行っちゃうってことですね。
もしくは深く考えず、前のクルマについていけばいいか、とか。

行っちゃえ右折さんから自分を守るには、
こういう動き方をするクルマを早めに見つけて、
「たぶん、急いで曲がるだろうな」と、
悪いほうの予想をしておくことです。

良くない結果になるだろうと予想しておけば、
最悪の結果はほぼ防げるので。

世の中の事故も、みんながこういう意識でいてくれれば、
少しづつ減っていくと思うんですけどね。

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