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ゲーム感想・考察記事

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記事一覧

ゲームのなかで旅をする。写真が残る。 ー ゲームをしない人にこそ読んでほしい、ゲームと旅についての話。

ゲームのなかで旅をする。写真が残る。 ー ゲームをしない人にこそ読んでほしい、ゲームと旅についての話。

 旅をして、写真を撮る。そういう気持ちでプレイできるゲームが増えてきているよ、という話。ぜひともゲームをしない人にこそ読んでほしいと思って、少し書いてみることにした。

 いろいろなゲームを取り上げながら、それぞれのゲームの写真撮影について説明していくので、気になったものがある人はぜひそのゲームを触ってみてね。

◎ 圧倒的な光の表現。無機物と有機物が混ざり合う世界。 ー『Horizon Zero

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ものすごく良質なゲームのPVを見ませんか? あるいは、ゲームで自分の小指を切り落とした日の話

 今どき「アドベンチャーゲーム」という言葉を使うのも何なのだけど、選んだ選択肢で物語が変わっていくタイプのゲームについて話をしたい。こういうゲームは、どうしても動画を見ただけで満足されてしまうことなどもあり、近年ホラーゲームとともにその数を減らしつつある (多分)。

 でも、「選んだこと」が「画面に反映される」その衝撃は、プレイした人にしかわからない。例えば、私はゲームのなかで、「私の選択の結果

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Steamウィンターセール開催!ノートPCでもプレイできるお手軽傑作ゲーム3選 ①:1930年代風カートゥーンの世界を暴れまわるアクションゲーム『Cuphead』

 PCゲームといえばSteam。Steamと言えば大規模セール。ということで、先日からSteamのウィンターセールが開催されています。おせちに飽きてラーメンが食べたくなるように、正月特番に飽きてゲームをやりたくなるこれからの時期、家に居ながら手軽にダウンロードできるPCゲームが大いに活躍することでしょう……。

 が、しかし、パソコンでやるゲームって敷居が高いイメージ!そして、私の手元には、少し古

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『バイオショック・インフィニット』感想・考察 : 選択の自由と、なお逃れられない罪。

 FPSのシューティングゲームについて何か書くというのも変な話なのだが、とりあえず何か書いてみる。

*****

 *『バイオショック』『バイオショック・インフィニット』に関するネタバレあり。なお、『バイオショック2』は未プレイ。*

 『バイオショック・インフィニット』で描かれるのは、自由意志と原罪の併存である。ブッカーは <洗礼を選択する自己 / 洗礼を選択しない自己>の両方として有り得るが

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FFXVのストーリーデザインはどのように改善できるか? - FFXV感想・妄想記事 (ネタバレあり)

 40時間程度でクリア。いくつか簡単に書いてみたい。

 制作の事情も考えず、適当に「ストーリーこうしたら良かったのにな~」と妄想する記事。

**ネタバレあり**

 

 まず、欠点は多いがそれを差し引いてもなお良いゲームだったとは思っている。全体としてのストーリーはともかく、4人の旅としては非常に素晴らしいものだったと、寄り道を楽しんだ身としてはいえる。

 それを断ったうえで、この記事では

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「永遠」と「成長」を描くことについて。

*『はるまで、くるる。』の微ネタバレ注意かな*

*****

(1) 多くの「永遠」を描く形式の作品において、舞台は捨てられるためだけに用意されている。言い換えれば、「永遠」(≒ループ) は「成長」の物語によって容易に否定される。

(2) しかし、その「成長」は (その舞台設定が捨てられるためだけに用意されていたという点から)「必然付けられた成長」というニュアンスを帯びる。したがって、「成長」

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CRAFTWORK『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』が示す空白。 (*微ネタバレあり)

お姫様なんて、本当にいるのかねぇ

いたとしても、本当に『怪物』に囚われているのか

あんたが、全世界の苦痛を背負わなくてもいいってことさ… たった一人で世界を救えるだなんて、考えない方がいい

(『さよならを教えて』)

 

 とりあえず先日書いたものでも。

 改めて、このゲームがどのような空白を指し示したのか (すなわち、「何がある」ということを明らかにしたのではなく、「何がない」というこ

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さよならを教えてもらいたい。(CRAFTWORK『さよならを教えて〜comment te dire adieu〜』 *微ネタバレあり)

「そして今もわかっている。自分がろくでもない人間であるということを」

「先生・・・・?」

『特別な自分』は、『特別にダメな自分』でしかないのだった。

後悔のたびに、涙を流すたびに、嘘をつくたびに、 自涜をするたびに、消えてなくなりたいと思う。 (…)

それでも自ら命を絶つ勇気もなく、今日出来ることは明日に回し、生まれたことをなしにして欲しいと願い、ありとあらゆる外界を呪い、すべて

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CRAFTWORK「さよならを教えて」 レビュー(全体の構造) *ネタバレあり

*がっつりネタバレあり。

愛が一方通行なら、相手からの愛を期待しないで済むのなら、僕はいくらでも人を愛することが出来るのに

――無償の愛。もしそれが真理だとしたら、愛とはなんて身勝手なんだろう。だとすれば、僕は人を愛することが出来る。僕は自分が他人に愛されるだなんて思ってない。

僕が何をしたって、相手からの愛が得られるとは思わない。

 “さよならを教えて” は、一方的な愛の物語である。

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ライアーソフト『Forest』解釈・考察 -偶然を包括する必然の物語- (*ネタバレあり)

 (2012/4/18に公開した記事に加筆・訂正したものです。)

 

 ライアーソフト『Forest』に関する考察。ただし、メモレベル。

 また、最後にプレイしたのが半年ほど前なので、いろいろあやふや。

*最初から最後まですべて重大なネタバレ。

〈全体の構造〉

 『Forest』のテーマの一つは、永遠における偶然と必然の一致であった。

 お話の語り手、アマモリは永遠に続く世界で、完璧

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ライアーソフト『Forest』「Ⅰ プロローグ」考察。 (*ネタバレあり)

*ネタバレあり

〈「Ⅰ プロローグ」考察〉

 【アリス】のギフト、というものの存在を想定してみると、この話はスッキリするのかもしれない。

 アマモリは、森を作り上げた魔女にして、主人公=【アリス】である。

 ところが、「今年に入ってから見かけるようになった」黒いアリス。彼女の存在ゆえに、物語上にアリスが二人いることになってしまった。この矛盾はどう解釈するべきなのか。

 実は物語のスタート

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エロゲというもの -Leaf 『天使のいない12月』紹介記事-

願ったのは束の間の安らぎ 叶ったのは永遠という贖罪

「優しさで守れるあしたなんかどこにもない」

 

 ちょうど、携帯小説の映画化が流行っていた時期だったのだとおもう。

 高校の教師が、それらの映画のCMについて「中高生で『俺が守ってやる』もなにもねぇよ。だってそうだろ? 仕事にもついてないのに、収入もないのに、なにをどう守るの?」とぼやいていた。

 数ヶ月後に、その方は亡くなった。

 

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