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作家買い。

私には
「何がなんでもこの先生の本だけは買う、そう、お昼ご飯代をケチってでも」

と、かたくかたく心に決めている作家さんが2人います。

吉田篤弘先生と朝倉宏景先生です。

吉田先生の物語との出会いは「つむじ風食堂の夜」でした。

身体が、というより心が疲れたなと思った日は、つい仕事帰りに本屋さんへ寄ってしまうクセが私にはあります。

なんだかあたたかいものが食べたい。
みたいに、なんだかあたたかいものが読みたい。という感じで。

つむじ風食堂は、まずカバーに一目惚れしました。
うるささを一切感じない黒地に可愛らしい星ひとつ。
でもベタ塗りの黒地というわけでもない。
なんともいえずおしゃれなフォント。
(後でクラフトエヴィング商會の存在を知りました)

ええやんええやん素敵やんと思いながら試しにページをめくってみると、まず一行目に

「その食堂の皿は本当に美しかった。」と。

皿。

皿と来たもんだ。

これはこれは、と嬉しくなって購入し、電車の中でいそいそと読み出したのですが、しばらく読むうちに、

あかん。これはいそいそと読むような本ではない。と思うようになり、家へ帰ってお風呂へ入り、ゆっくり読むための準備を整えてから改めて一行目から読み返しました。

吉田先生の本はそういう本。

孤独なひとがたくさん出てくるけれど、読後感は寂しいわけでなくしっかりあたたかい。

現実的なのか、そうでないのかがよくわからない。

とても夜が似合う。

淡々としているけれど芯に哲学が見え隠れ…しているような…

だから私も夜に、静かに、紅茶なんて飲みながら読みたくなります。


そして朝倉宏景先生。

出会いは「あめつちのうた」ですよね‼︎
だって私は阪神ファンだから‼︎
阪神園芸さんのこと書かれちゃ居てもたってもいられねえよ‼︎

ということで、本屋さんであめつちのうたを発見した時は脊髄反射でお迎えしました。

試し読み?
いらんいらん。試さんでええ。

こちらは吉田先生の時とは逆で、もう夢中で読みました。

やはり帰り道の途中で購入し、電車の中で読みはじめたのですが、もーーーー、降りるの忘れそうになりましたもんね。

はじめて読む本なのに、私はずっとこれが読みたかったんだ、と震えました。

夢中になりすぎて、地元の駅降りそびれるとこやったもんね。

駅から自宅への道を歩く間も続きが気になって仕方なかったし、
家へ辿り着いてからも、なんで私はこれからご飯を作って食べてお風呂にまで入らなあかんのよ…‼︎
人間の体、めちゃ不便‼︎
と人体の仕組みへ対してイチャモンをつけたくなるほど彼らの事が気になりました。

あれこれ済ませて続きを読みだしてからも
「読むスピードが遅い‼︎もっと早く読め‼︎これからどうなる‼︎彼らはどう思う‼︎」
と、自分の脳みその処理速度の遅さを叱り飛ばしてしまうくらい先が知りたくなるんです。

朝倉先生の本は読み出すと毎回こうなります。

いっとき私をロボットにしてくれよ、もしくは速読の天才にしてくれよ、と思わされる。

すばらしく丁寧なんです、描写が。
めちゃくちゃ誠実に人間が描かれていて、朝倉先生は人生何周かしていらっしゃるのでは?となります。

「つよく結べ、ポニーテール」を読んだ時なんてもう朝倉先生は実は女性では⁇⁇⁇と疑うほどでした。

ずるさ、弱さ、美しさ、強さ、人生における冬と春、再生。

あぁ、そうだった、人間ってそうだった。
何度も冬が来る、そしてその分何度でも春も来ると思い出させてくれる。

ロボになりたい…と思わされるのに、あかんあかんロボになってる場合じゃないやん人間ええやん、と、爆裂に矛盾した感動をくださるのが朝倉先生です。

あめつちのうたが「ひょうご本大賞」に選ばれた際には自宅で喜びの舞を舞ったし
「選考委員みる目あるやん褒めてつかわす‼︎」と偉そうに叫びました。何様だよ。

このおふたりが私が何がなんでも作家買いする先生方で、
おすすめの物語を聞かれるたびお名前を挙げさせていただく敬愛する作家さんです。

ちなみに私は阪神ファンですが、私の父はゴリゴリの巨人ファンです。
そういう親子も稀におりますので、雨宮くんと雨宮くんのお母さまにはくれぐれもご安心いただきたいと思っております。

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