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政治哲学的なケーキの切り方

さて、以下では政治理論(哲学)を駆使したケーキの切り分け方を考察します。簡単に書いたので、読むのに専門的知識は一切必要ありません。

さっそくですが問題です。

問1:複数の大人が集まってホールケーキを食べるとしましょう。どのようにケーキを切ればよいでしょうか?
(制限時間:5秒)

結論から言うと、唯一の正解はありません。最も自然な回答は次のとおりです。

答:平等な大きさに切る。

とりあえず平等に切っておけば公平だから皆が納得します。これは簡単な問題でした。次は少し難しい問題です。

問2:あなたは双子の子供(A君とB君)の親です。今日は二人の誕生日なので、ホールケーキを用意しました。

A君とB君はケーキが大好きで、できれば自分が独り占めしたいくらいです。当然ながら、あなたは親として、二人には仲良く半分ずつ食べて欲しいと思っています。

ところが、A君が「今日は僕が好きなようにケーキを切る!」と主張して言うことを聞きません。根負けしたあなたは、A君にナイフを渡しました。
しかし、A君に好きなように切らせれば、自分のケーキを大きく切るため、B君はほんの少しのケーキしか食べらずかわいそうです。

さて、あなたはA君にケーキの切り方について指示することはできませんが、
それ以外のことに関しては、A君に一つだけ指示することができ、A君も言うことを聞くと仮定します。


では、どうすれば二人が仲良く半分ずつケーキを食べることができるでしょうか。(制限時間:3分)

答えは↓↓↓↓↓









答:切った後のケーキを、先にB君が選んで良いことにする。

もし、B君が先にケーキを選ぶ権利があるならば、A君が自分ためのケーキを大きく切っても、その大きいケーキはB君に先に取られてしまいます。
したがって、A君が自分だけズルをして大きくケーキを切ることはできなくなります。

では、その結果どうなるでしょうか。

A君は、ケーキを半分に切ることが最も大きいケーキを自分が食べる方法だと気づくはずです。

この問題の第一のポイントは、自分だけがズルできないようにルールを定めることが、公平な結果を生むということにあります。つまり、公平なルールこそが正しいルールであるということになります。逆に言うと、誰かがズルできてしまうルールは、正しくないということになります。
第二のポイントは、自分の利益を追求(大きいケーキを食べたい!)することが、結果的に全員にとっての公平な結果(ケーキ半分)に至るという点です。

このアイデアは、ケーキの切り方に限らず、様々なルールに適用できます。ジョン・ロールズという有名な政治哲学者は、この考えを「正義に適った(正しい)社会のルールとは何か」という文脈で用いました。
ですが、今回は長くなってしまったので、ロールズの議論については別の機会(もしあれば)に譲りたいと思います。

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猫と政治哲学

現代政治哲学(平等論、正義論)が専門の大学教員。博士(政治学)。

コメント1件

なるほどっ💡
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