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NIer営業→国産セキュリティ系ソフトウェアメーカーで技術営業やプロダクト担当執行役員…

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NIer営業→国産セキュリティ系ソフトウェアメーカーで技術営業やプロダクト担当執行役員→スタートアップSaaSのPdM。

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  • あまりIT系メディアに書かれていないこと

    B to B IT プロダクトマネージャーが書き綴る、あまりIT系メディアに書かれていないビジネス寄りの考察。IT業界にいる人、IT業界に入りたい人の役に立つといいな。

最近の記事

SaaSと政府

SaaSを売り込む先として、政府系は何かと敷居が高いと感じるのではないか。実際のところ敷居は大変高く、それを開設するのが本投稿である。 公共系と民間系、どちらがSaaSの主戦場かと言えば、一部の特殊なアプリケーションを除けば民間系と言い切って差し支えないと思う。何せ日本には368万の民間企業がいるが、地方自治体(市長村)は1718しかない。桁違いである。霞ヶ関の中央官庁こと省庁の数はたったの12で、その外郭団体である独立行政法人は2020年時点で87らしい。合わせて100程

    • SaaS会社はどことアライアンスを組むべきか

      この投稿に非常に多くの反響を頂きとても驚いた。 多くのフォロワーを持つSaaS業界の方々に(非常にありがたいことに)スキやフォローして頂いたことが大きかったとは思うが、キーエンスやリクルート的な法人営業のテクニックやマインドセットの解説本やブログは多数あれどもいずれもダイレクトセールスが前提であること、業界の事情・特性に根差した情報は業界内の暗黙知となっており、形式知化されていることがほとんどないという点は大きいのではないかと思う。 今回もSaaS企業視点でアライアンスを解

      • SIerがSaaSを再販するという矛盾

        一部の重厚長大な大企業や、規制に縛られる政府機関や医療機関などを除けば日本国内ユーザーの多数派はクラウドサービスを好む。当然であろう。IT担当者はサーバーが不調なときの切り分けやユーザー部門からの問い合わせに時間を使いたくないし、昨今のIT部門人員減でそもそもそんな時間はない。 「VMWareで仮想化しましょ」ではなく、そもそもESXなどという大掛かりなものを内部に持ちたくない。 停電対策を考えるのはPCとインターネットアクセス装置だけにしたい。 人員減に苦しむIT部門にと

        • B to B ITの代理店はなぜ売れないのか

          どんなに素晴らしいプロダクトやサービスがあっても売れなければ意味がありません。それらはユーザーに使われ、その対価を得ることで「価値」に変換されます。ただし、プロダクトを作ることと、それを売ることは全く別のスキルセットとマインドセットが必要とされます。 B to Bにおいてプロダクトを売るには、理論上下記2つしかありません。 (1) メーカー(英語だとVendor)がそのプロダクトを使用する顧客に販売する直接販売 (2) メーカーが代理店であるSIerなどに販売し、代理店が

        SaaSと政府

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        • あまりIT系メディアに書かれていないこと
          17本

        記事

          IT業界であるもの、IT業界でないもの

          今いまで、このあたりの記事で世間とはちょっと違う切り口でSIerってどんな感じの会社なのか解説してきました。 SIerと双璧を成すパワーワードとして「IT業界」という言葉があります。「IT業界」なんだからITをやっている会社たちの総称をそう呼んでいるのではないかと思うのが普通だと思います。もちろんその考え方は間違ってはいませんが、より本質的な部分を追求してみたいと思います。 ちなみに総務省や経済産業省では、「IT業界」を次のように分けているそうです。分かるような分からない

          IT業界であるもの、IT業界でないもの

          学歴や専門性に自信がない人へ勧めるB to B法人営業の一種「アカウントマネージャー」

          就職戦線には定期的に大きな問題が起きます。2020年~2021年の今はコロナ、その前はリーマンショックでしょうか。さらにその前は就職氷河期でしたね。氷河期って今まで何回あったんだろう。 就職に苦労する文系大学生特に、理系と比べて文系は就職に苦労します。海外留学していてそこそこ英語話せてTOEIC900点持っていても苦労します。多くの企業が欲しがるのはそこじゃないからです。20代の女性が就職はしたものの貧困ラインに陥っているというニュースも定期的に報道されます。正社員になれな

          学歴や専門性に自信がない人へ勧めるB to B法人営業の一種「アカウントマネージャー」

          SIerの強みと弱みと、中小SIerの未来

          今回も人々に憎まれる存在であるSIerの強みと弱みというシンプルなテーマについて書いていきます。話の構成上、先に弱みから始めます。 弱み:人月商売故にSIは利益率が低いこれは、人月商売を基幹とするほとんどのSIerにとって構造上不可避な問題です。同じく人月いくらで課金するSESも同様です。エンジニアのスキルレベルによってある程度の単価の上下はあり得ますが、基本的には人間単価を大きく変えることはできません。 当社の開発パートナー(有り体に言えば外注業者、)には100万円/月/

          SIerの強みと弱みと、中小SIerの未来

          テレワークのためのリモートワークソリューションたち

          以前SSL-VPNについて書いたように、リモートワーク系ITソリューションにはなかなか詳しいと自負している。 私がIT業界に入った2005年頃はIP-SecとSSL-VPNのどっちがいいとか、インターネットは信用ならないからキャリア閉域網を使うんだとか、非金融系民間企業がそんなことを真剣に議論していた時代だった。 時は流れ、今や2020年、令和である。メール・グループウェア系パブリッククラウド両巨頭であったMicrosoftとGoogleの戦いはとっくにMicrosoft

          テレワークのためのリモートワークソリューションたち

          SSL-VPNの歴史と世界観

          コロナウィルス対策としてテレワークが大注目されている。政府どころか東京メトロ自身がなるべく電車に乗らずにテレワークしましょうと駅内アナウンスしているくらいだ。 テレワークを進めるために重要システムの1つVPNであることは疑いようがない。中国のグレートファイアウォールを超えてTwitterにアクセするためのIPアドレス変換を目的としたサービスではなく、本来のリモートアクセスソリューションとしてのVPNである。 嫌われ者のVPNただこのVPN、「遅い」「切れる」「繋がらない」

          SSL-VPNの歴史と世界観

          SIerでもなく外資系ITでもない、新興国産ソフトウェアメーカーという第三のキャリア(B to B編)

          以前書いた「SIerはなぜ自社製品を作らないのか」を多くの方に読んで頂いており嬉しいです。悪名高きSIerは良くも悪くも存在感が大きく、多くの方が勤務されているのだと改めて感じています。 転職情報サイトなどを見るとIT系求人はたくさんあるのですが、SIerの募集は少ないなと感じています。SIerは大企業が多いので(事業の特性上頭数が必要なので社員数が多い)中途採用よりも新卒が主流という理由はあるのかもしれませんが、私はこれは決定的な潮目の変わり目だと思っています。 注意深

          SIerでもなく外資系ITでもない、新興国産ソフトウェアメーカーという第三のキャリア(B to B編)

          人間関係で成り立つ海外ビジネスネットワーキングの世界

          「日本企業は会社対会社の関係を重視する。非日本企業は個人対個人の関係を重視する」 私が外国人から日本のビジネス(B to B)の特徴を聞かれたらそう答えています。 私が中国と東南アジアのビジネスに関わっていたとき、↓このようなことを言われました。 「中国でビジネスするなら、まずは相手と友達になるのがベストだ。」 「中国はコネクションの社会だ。Cold callなんて話にならない。アクセスしたい顧客にコネクションを持っている人を見つけるんだ。」 「君たちが頼むならばシ

          人間関係で成り立つ海外ビジネスネットワーキングの世界

          解決すべき問題が複雑になり過ぎたソリューション営業の憂鬱

          私が新卒で入社した会社のネットワークセキュリティ事業部には2つの営業部があった。ひとつは直接販売(直販)チーム、もうひとつは代理店営業チーム。 当時新人だった私は代理店営業チームに配属された。ラッキーだと思った。直販営業はアクの強いお客様にペコペコして文句言われながらなんとか買ってもらう泥臭い仕事で、代理店営業は冷静かつクレバーに代理店へ商品を流していくクールな仕事だとイメージしていた。勝手なものである。 御用聞きになりがちなソリューション営業IT業界ではよく直販営業は「ソ

          解決すべき問題が複雑になり過ぎたソリューション営業の憂鬱

          ニッチに走り過ぎず、グローバルプレイヤーと競争する覚悟

          「なぜ日本のIT製品は日本でしかプレゼンスがないのか」は本当だろうか。これは半分正解・半分誤りで、正確に言えばアメリカ以外のIT製品は世界市場でほとんどプレゼンスがない。ドイツのSAPとかTeamViewerとかせいぜいその程度であり、多くのグローバルメジャーIT製品の出身地は米国西海岸かシアトルである。(中国・韓国・台湾の得意なスマートフォン・PC・サーバーなどの汎用ハードウェアはこの議論に含まない。) 私がシンガポールや中国沿岸部で海外市場開発の仕事に取り組み出した時、

          ニッチに走り過ぎず、グローバルプレイヤーと競争する覚悟

          社員向け英語教育の体験談

          日本企業ながら英語を社内公用語にした楽天は有名です。 Hennge(旧HDE)社もですね。国内売上がほとんどのIT企業で英語公用語かとはなかなか思い切ったことをするなと関心しました。 優秀な開発者を多く採用するには日本人だけでは足りないので外国人も採用対象せざるを得なくなって来ています。もちろん日本語を話せる外国人開発者もいますが、「日本語不問」とするとものすごく採用対象が拡がります。売り先が日本国内だけでも、そのプロダクトを作るのに日本語を話せない開発者を仲間にできるか

          社員向け英語教育の体験談

          エンタープライズ市場では、Microsoftが参入してきたら終わりの予感

          まだお金を払ってアンチウィルスソフトを買うのが当たり前だった時代「マイクロソフトがアンチウィルスソフト業界に参入したら、マカフィーもシマンテックもトレンドマイクロも終わる」と言われていました。 御存知の通りWindows 8 からWindowsの標準「機能」としてアンチウィルス+αを担うDefenderが搭載されています。その当時はオマケで付いているお守りのようなもの扱いでしたが、あれれという間にセキュリティ調査期間からものすごく高い評価を得るようになりました。これはアンチ

          エンタープライズ市場では、Microsoftが参入してきたら終わりの予感

          マイナー製品の技術習得に時間を使いたくない海外IT技術者

          海外のIT技術者の多くは、メジャーな製品を扱うことを好みます。これはエンドユーザーのIT部門でもシステムインテグレーターでも同様です。特にGartner Magic Quadrantで高評価を受けているような製品です。 セキュリティ系ならPalo Alto NetworksとかFireEye、IaaSならAWSかAzure、メールサーバーなら当然MS Exchange、ネットワーク系ならCiscoやせいぜいBrocadeとかそういうやつです。もっと言えば同僚・先輩にそういう

          マイナー製品の技術習得に時間を使いたくない海外IT技術者