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『感動とともに周囲の人をインスパイア』 シリコンバレーに 「お〜いお茶」 を導入した凄腕! 角野 賢一 さん

知る人ぞ知るシリコンバレーに「お〜いお茶」を広げた角野賢一さん。彼のユーモアとバイタリティと行動力は本当に天下一品!そんな彼がどんな背景から今のワークスタイルを確立したのか。今までにはない角度からお話を伺いました。

プロフィール
出身:神奈川県
活動地域:東京都
経歴:大学卒業後、株式会社伊藤園に入社。4年間のルート営業、1年間の海外研修の後、帰国して国際部、経営企画部を経験。その後、シリコンバレーに赴任して、「お〜いお茶」の営業活動を行う。現地のIT企業を中心に「お〜いお茶ブーム」を起こし、現在シリコンバレーの大手IT企業で「お〜いお茶」導入されていないところはほぼない。5年後の2014年に帰国してからは、お茶と座禅から始まるアイデアソン「茶ッカソン」というイベントを行いながら、伊藤園が「世界のティーカンパニー」になることを夢見て、新しいお茶の広め方を模索中。
座右の銘:飛び込み人生

記者 本日はよろしくお願いいたします。

角野  賢一さん(以下 角野)    はい、よろしくお願いします。

『コントロールして売るよりもインスパイアして売る』

Q .    まず初めに角野さんの夢を教えてもらってよろしいでしょうか。

角野 はい、ある人から勧めてもらった本で『WHYから始めよ!』って本があるんですけど、その本の中で言われてるのは、人を動かすには二つの方法しかなく、それはマニュピュレートするかインスパイアするかのどちらかなんです。マニュピュレートというのはコントロールすることです。

例えば、「このお菓子今安いですよ。」とか「今キャンペーンやってるからたくさん買った方がいいですよ。」って、お勧めしているように見えるけど、実は"買いなさい買いなさい"ってすごいプッシュしている。それってお客さんをコントロールしているのと同じようなことだと思うんです。

だけどアップルはそれはしない。アップルは Think different っていうメッセージを出して、「私たちは全ての企業活動を世界を変えるという信念で行っています。人と違う価値観、考え方を持ってることに価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。このような考えの基、素晴らしいコンピュータができました。」ということしか言わないんです。別に買ってくれって一言も言わないんです。だけどお客さんはアップルの考え方はかっこいいなって思って、性能的にはサムスンやソニーのスマホと変わらないけど、高くてもAppleのMacbookやiPhone買いたいなって思ってしまう。それがインスパイアなんです。

僕らが売ってるのは100円~200円くらいのペットボトルのコモディティだけど、僕はそれを、お客様をコントロールして売るのではなく、インスパイアする形で買っていただきたいんです。だからまだまだ全然成功しているとは思ってないし、それがうまく波及してるのかどうかもわからないけど、そんな影響を周りに与えていきたいんです。

記者 世の中は基本マニュピュレートですよね。そんな中でインスパイアして売れたら本当にいい影響与えられますね。

『お客さまに感動を体験していただく』

Q.    その夢に向けて具体的にどんな実践行動をされているんですか?

角野 そうですね。最近、色んなイベントをやってるんですがその中で、お茶に関する体験を提供させていただきたいと思っています。そしてその体験を提供させていただく時には、常に最高の体験を考えないといけません。というのは感動していただかないといけないからです。

記者 具体的にイベントの中で感動をしてもらうためにどんなことしているんですか?

角野 例えば今の若い人は急須とかあまり持ってないんですよ。でもその人が心動かされて「ちょっと急須欲しいな!」と思ってしまう。そういうのが感動なんだと思うんです。あくまでもお茶なんで日常が少し良くなるみたいな。でもそれは別にお茶の味というよりは、マインドの方が重要でなんです。自分で茶葉を選んでお湯を沸かして、お湯がボコボコ湧いてきたのを感じる。冬の寒い日にバサってお湯を入れたら湯気がこう出てきて、お茶を出したらお茶の色がバーって広がって香りが出てきて、「なんかいいな」って。これはすごい自分が豊かで、いい時間な気がするんです。そんなことに気づけること自体、その人のマインドがいい状態であると思うんです。逆にそういうことをやってるのに、あの仕事どうなったかなとか、あいつなんで電話してこないんだよって思ってしまうと、もうあまりその人は幸せじゃないなって思うんです。

記者 そういう何気ないところでちょとした豊かさを感じられることは素敵ですね。

『これ確実にいける!と興奮する瞬間と出会う』

Q.    その夢を持つに至った日常の着眼点はどこにあるんですか?

角野 意外性があったり驚きがあったり面白いって感じる、人とか映画とか本とか、そういうことを常に注目しているのはありますね。というのはやっぱり僕が人をインスパイアするために、感動体験をつくるヒントになるからです。それと自分にとって感動体験が起こりやすい状況を作ろうと心がけて行動してます。例えば仲良い人とばっか付き合うのではなく、そうじゃない人とも付き合うとか、そうじゃない場所にも行くとか、そうじゃない映画をみるとかっていうように。毎回ではないけどそんな風にしてるし、誘われたときとかはよっぽどじゃなければ行くようにしますね。

そしてそんな風にして人と出会ったときに何を考えてるかというと、僕はその人と出会ってよかったという満足感よりは、この人とここから何しようかっていう可能性を感じることが多くて、そのときが一番楽しいですね。シリコンバレーで営業していた時もそうなんですよ、グーグルとかにどんどんお茶が入っていったときよりも、エンジニアの人と仲良くなってきて、この前までみんながピザとソーダ、ビールを飲んでたのに最近だんだんお茶を飲み始めてくれるようになった。もしかしたら、これからもっと多くの人が飲むようになるかも?と小さな可能性を感じた瞬間が一番楽しい。この前もサンフランシスコに行ったら、前からすごいかっこいい黒のテスラがきて、サングラスかけたお兄さんが運転してたんです。それで車が信号でパッと止まって、お兄さんがおもむろにドリンクを飲むんですけど、その飲んでるのが「お〜いお茶」なんですよ!そういうのみると、これは世界征服できるかもなとか思うんですよね!そういうときに僕はすごい興奮するというか、これ確実にいけるなって思うんです。そういう瞬間に僕自身がインスパイアされて、来年再来年何をして、5年後僕はどこにいて、10年後どこにいよう!みたいなことを考えます。

『何もない中で発信することがかっこいい』

Q.    日常の着眼点がそこになったキッカケはなんだったんですか?

角野 僕が影響を受けた岡倉天心という人がいます。この人の本は、茶ッカソンというイベントを一緒に作っている河原あずさんという方に紹介してもらったのですが、岡倉天心は東京芸大の前身である東京美術学校の初代校長なんですけど、彼はあるキッカケから、もっと日本のことを世界の国々にしっかり伝えたいって思うようになったそうです。それで100年以上前に英語で 「The book of tea (茶の本)」という本の中で、茶を題材にして日本の美意識を説いたんです。それは何かを売るではなく、何かものをつくるわけでもなく、まさにその文章でみんなをインスパイアしようと思ったわけなんですよ。世界中の人々に「日本の美意識ってこういうもので、こういうことをみんな知ってたら、もしかしたらあなたたちが生活してる中にも何かヒントがあるかもしれませんよ」、「こういう考え方を持つって素敵なことかもしれませんよ」って提案をしているわけです。それを100年以上前のインターネットもない世界で、自ら英語で執筆して、伝えることにチャレンジしていること自体がすごいかっこいいなって思うんです。まさに自分の生き方でそれを見せているような人だから。そのことを知ったことは大きなキッカケでしたね。

記者 なるほど!確かに今とは比べものにならないくらい、当時世界に発信していくことは難しかったでしょうね。そんな状況でも強く自分の美学を持ち、果敢にチャレンジする姿は確かにかっこよく見えますね。そういう人にみんなは影響を受けるのですね。

本日はありがとうございました。

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■編集後記
インタビューを担当しました岸本 & 原です。角野さんに最初にお会いしたときの印象は、"お若い"ということでした。さすが大きなビジョンを掲げて積極的に行動されているだけはあるなと思いました。また仕事をこなす姿勢の裏にある考え方やその考え方ができるキッカケなどをお聞きしましたが、体験の場を創って多くの人に影響を与えられる方が、普段からどんなところに気を配っているのかなどとても勉強になりました。私もどこかで使わせていただきたいと思います。今後もご活躍なさることをお祈りしたいと思います。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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