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タコ・ウオノメ・イボ, あなたのはどれ?

足の裏や足ゆびにできてる硬いヤツ。
なんて呼んでいますか?

タコ?ウオノメ?イボ?
この3つはたまに混同されています。
「ウオノメが大きくなった」と受診した方を診察すると実際はイボだった、という事もよくあります。

タコ・ウオノメ・イボは、それぞれ別の疾患です。
特に【タコ・ウオノメ】と【イボ】は、しっかり分けて考える必要があります。


タコ・ウオノメ・イボ。
何が違うのでしょう?ざっくり分けると、
タコとウオノメは、皮膚の表面が厚く硬くなっているだけ
イボは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というイボウイルスの感染症
イボはウイルス感染症。つまりうつります

イボ.002



タコとウオノメ

タコは胼胝(べんち)、ウオノメは鶏眼(けいがん)が正式な病名です。
ウオノメ(鶏眼)は『魚の目』ではないんですね。

タコ・ウオノメは物理的刺激や圧迫でできるので、靴の中で窮屈な思いをしている『足』にできることが多いです。
違いは、タコは表面の浅い部分が外側に向かって厚くなっているのに対し、ウオノメは硬い部分が皮膚の深い部分に向かっています。
そのためウオノメは『芯』があるような感じになり、タコよりも痛みを感じることが多いです。小さな小石を踏み続けているようなイメージです。

イボ

イボは尋常性疣贅といい、イボウイルスの感染症です。
タコやウオノメは痛みなど日常生活に支障がなければ放置してもかまいませんが、イボは自分の体の他の部位や身の回りの人にうつってしまうことがあり、痛みがなくても治療した方がいいヤツです。

イボは手足にできることが多いですが、体や顔にもできます。
イボウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)には多くの『型』があり、この型によりできやすい部位やイボの性質が異なります。
※婦人科領域ですが、子宮頸がんの原因ウイルスもこのHPVの1種です。手足のイボウイルスとはウイルスの『型』が違います。通常の手足のイボの悪性化はまずないので過度に恐れる必要はありません。

イボが感染性だとすると、少し触っただけでうつるのでしょうか。
そんなことはありません。
もし少し触ってうつるなら、身体中がイボだらけになってしまいますね。
いつも触れていたり擦られていたり、皮膚にウイルスの侵入口となる小さな傷ができているとイボは感染しやすくなります。
例えば、足のユビにあるイボは接している隣のユビにうつりやすいです。
顔にできるウイルス性イボでは、日々のスキンケアや髭剃りなどによる摩擦や刺激がイボが広がる原因とも言われています。


タコ・ウオノメ・イボの治療法

・タコとウオノメの治療
歩行時などに痛みがある場合は硬い部分を削ります。硬い部分は爪と同じでそれ自体は生きている細胞ではないので削っても血が出たり痛みはありません。
皮膚科で削る処置を行うこともありますし、自宅でできる器具も売られています。
カミソリで削る人もいるのですが、間違って周囲の皮膚を傷つけると危ないです。安全な器具を使っての処置をおすすめします。

感染することはないタコとウオノメですが、一回削れば治るほど単純ではないのが難しいところです。
そもそも皮膚への圧迫が原因なので、同じ負担がかかればすぐ再発します。
歩き方や靴などの工夫も必要ですが、歩き方や靴を急に変えるのは難しい。
靴全体に敷くインソール(中敷)やウオノメのところに圧力がかかるのを避けるドーナツ型のクッションパッドなど様々なアイテムが市販されています。これらをうまく使って、その部分の皮膚の負担を減らしましょう。


ウオノメ用のパッチタイプの市販薬もあります。これは圧力や負担を避ける目的ではなく、硬くなった部分を軟らかくする目的のお薬が入っています。
医療用の薬剤にも同様の製品があるのですが、正しく使うのが意外に難しい製品です。この製品に含まれる薬剤は皮膚を『溶かす』作用があります。つまり、硬く厚いタコ・ウオノメの部分にだけ貼るべきものです。
パッチを大きめに切って周囲の普通の皮膚にまで貼ってしまうと、普通の皮膚は炎症を起こしたり時にただれてしまうことも。絶対にタコ・ウオノメのサイズよりも小さく切って貼り、さらに歩いている間にズレないよう上からしっかりしたテープで固定してください。


・イボの治療
イボの標準的な治療は、液体窒素による『冷凍凝固法』です。

窒素(N2)は空気中の大半を占める気体ですが、この窒素の液体は氷やドライアイスより冷たいマイナス196℃。
これでイボウイルスに感染している皮膚の細胞ごと凍らせてやっつけるという治療法です。
ちょっと痛い治療なので数が増えると治療が大変です。
イボは身近な疾患ですが簡単に治る劇的な治療法はなく、保険外の治療法も含めいろいろ試されています。
いずれにしろ増える前に治療した方がいいので、怪しいものを見つけたらぜひ一度皮膚科で診てもらってくださいね。

イボは顔や体の小さなものなら1-2回の治療で治ることもありますが、手や足のイボでは治療期間が長くなることが多く、時には半年以上の通院が必要になることもあります。
通院回数や頻度を考えて、自宅や職場などから通いやすい医療機関での治療をおすすめします。

タコ・ウオノメ・イボの違いについてお話しました。
タコやウオノメは放置しても増えませんが、イボはうつって増える可能性があり、早めに治療を開始した方がいい皮膚疾患です。

タコやウオノメは摩擦や体重など圧力がかかる部位にできるので、土踏まずなど圧力がかからない部位で周りの皮膚はすごく柔らかいのにポツンとできているのは、イボかもしれません。
足裏に怪しいものを見つけた時は皮膚科で聞いてみてくださいね!

最後まで読んで頂きありがとうございました(^○^) 仕事の励みや参考になりますので、良かったら「スキ♡」をお願いします♪