雨の帰り道

『雨の帰り道』

朝から降り続く

冷たい雨を

保育園の窓から

じっと眺めていた


お友だちはみんな

お家に帰って

僕は先生とふたりきり

心凍えながら

静かな教室で

迎えを待っていた


暗くなった窓の外

見覚えのある

赤い傘が近付いてくる


母が

白い息を吐きながら

迎えにきた


雨の帰り道

ひとつの傘の中で

繋いだ母の手は

とても温かかった

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