非常階段の先に広がる空

『非常階段の先に広がる空』

まるで

人間に支配されたかのように

ビルに囲まれた

この街の小さな空


僕らは

古ぼけた雑居ビルの

非常階段を

息を切らし駆け上がって

屋上に

寝そべって

空を

人間の支配から

解き放ったんだ


そう思っていた


でも

あの時

解き放たれたのは

本当は

僕らだったんだ


非常階段の先に

広がる空の下

雨に打たれ

笑いながら流れた

涙の鼓動


僕は

忘れない




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