騒音問題と音楽家のマナーについて
先日SNSで「ピアノ練習の音が近所迷惑になってしまい困っている」というポストが炎上しているのを見かけました。
騒音問題やご近所トラブルについては常に世の中のあちこちで起きています。いち音楽家としてはやはり気になるトピックでもあり、思うことがいくつかあったので今回の記事を書くことにしました。
大きい音を出すのに防音設備が必須な理由
まず大前提として「大きい音を出すなら防音設備は必須」です。
その理由は大きく分けて2つ。
思いっきり音楽に没頭するため
近所トラブルを避けるため
以下にそれぞれの理由について自分の考えを書いていきます。
1. 思いっきり音楽に没頭するため
思いっきり音楽に没頭するためには好きな時間とタイミングで、好きな音量で思う存分に音を出して打ち込みたいですよね。
あれこれ気にしながら縮こまってやるのはやっぱりしんどいしストレスです。遠慮せずにしっかり大きい音を鳴らすことができれば本番に近い練習ができたり、小さなミスや違和感にも気付けるので上達しやすいというメリットもあります。
生楽器(歌やピアノ、アコギなど)であっても、スピーカーを鳴らす(DAWで音楽を作る、DJ、エレキギターをアンプで鳴らすなど)でも、どちらにしても周りを気にせず大きい音で鳴らせる方が絶対に良いわけです。
なによりデカい音は気持ちいい!デカい音を鳴らそう!!!
…しかし、そうは言っても「自分の思うまま自由自在に大きい音を出していい」ということにはなりません。
2. 近所トラブルを避けるため
当たり前のことですが、大きい音は周りに迷惑をかけてしまいます。騒音にまつわるトラブルはあちこちで頻発していますが、場合によっては警察沙汰や殺人事件にまで発展しているケースもあります
産経の記事にもあるように苦情トラブルの内訳として「楽器・音響機器」もけっこうありますね。
騒音トラブルがきっかけで発生した事件の中でも国内でもっとも有名なのは「ピアノ騒音殺人事件」。Wikipediaの事件概要を読んでいるだけでゾッとします。。
ピアノ騒音殺人事件は1974年とかなり昔の事件ですが、こちらは2023年10月の直近あった事件のニュース。いつの時代にもこのような事件はあるわけですね。
「ちょっとうるさいからって殺人までいくなんてレアケースでしょ」と思うかもしれませんが、自分は大丈夫なんて思わない方が良いです。
近所にどんな人が住んでいるかすべて把握することは難しいですし、自分のことをどんな風に思っているかなんて分からないですから、なるべく近所の人とのトラブルは避けるべき。
殺人事件にまで発展しなくとも、騒音トラブルをきっかけに嫌がらせが始まったり、さまざまな事件に発展するケースも多いです。
また殺傷の被害が出るような刑事事件にならなくても、裁判で争うような民事事件につながることも当然あります。
自分では「ちょっと音出すくらい平気でしょ!」と思っていても、後々とんでもないトラブルになる可能性がとても高いです。
騒音によるご近所トラブルはマジで怖いので十分に気を付けましょう。
自分のことも自分以外の人のことも考えよう
さて、人間というのは自分が負担するコストについては敏感だけど、他人に払わせるコストについては鈍感です。
音楽をやっている人はついつい「私はただ純粋に音楽をやりたいだけなのに、なんでこんなに苦労してお金をかけて周りに気を遣わないといけないの?!」というようなことを考えてしまいがちです。
しかし、その一方で「私はただ窓を開けてのんびり過ごしたいだけなのに、どうして他人の騒音を気にしながら過ごさないといけないの?!」と考える人だって当然いるわけですよね。
つい自分のことばかり気にしてしまいがちですが、自分以外の人のこともちゃんと考えるのが大事。
周りに騒音を撒き散らさないというのは音楽家が守るべきマナーだと思います。
人を楽しませる音楽だからこそ、自分が気持ちよく楽しむだけじゃなく周りにも配慮したいですよね。
防音設備を用意する
恥ずかしながら僕自身も音楽をやってきて人に迷惑をかけたことはたくさんあります。特に10代のころ配慮に欠ける行動をたくさんしてしまいました。
あるときお風呂で熱唱しまくっていたら、翌朝に近所のおばあちゃんに「歌上手ね!」と言われたことがあります。そのときは「聞かれてしまって恥ずかしいけど、褒められちゃったな」など照れくさかった記憶があるのですが、今思えば「ウチまで聞こえててうるさいから気を付けろよ」という意味だったのだと思います。迷惑をかけてしまい申し訳なかったです。。
20代になってから「音楽をやるにはお金がないなりに工夫しないといけないんだな」と思い、当時住んでいた賃貸マンションではクローゼットに防音ブースを作るなどして対策をしていました。
30代になってからは家を建てて、きちんとした防音室を施工してもらいました。
おかげで近隣にも迷惑をかけないようにしっかり対策できていますし、非常に快適に音楽活動が出来ています。
住環境トラブルの中でも騒音はかなり問題になりやすいので、音楽家としては充分に注意が必要なポイント。音楽をやるにあたってしっかりとした防音設備は本当に重要だな、と防音室のある家に住むようになって改めて思いました。
僕が防音室を作った理由
僕が防音室を作った理由としては冒頭に書いたように
思いっきり音楽に没頭するため
近所トラブルを避けるため
この2つがあったわけですが、それ以外にももうひとつ大きな理由があります。
それは「いち作曲家としてプロ意識を持って音楽活動に取り組むため」です。
音楽活動でお金をいただいている作曲家として、プロであり続けるための環境構築もまた仕事のうちだと考えました。だから音楽の仕事をがんばって稼いで防音室を作って、きちんとした環境でもっと楽しんで良い音楽を作って、さらにもっともっと稼げるようになろう!と決心して、家を建てて防音室を作りました。
看板を背負っている意識を持つ
僕が以前住んでいたマンションの近くにはときどきバイクや車好きの人が数人集まって排気音をブンブン鳴らすことがありました。正直けっこううるさくて迷惑だったので、「これだからバイクや車好きは困るんだよな、どっか他所に行ってくれないかな」と思ってしまうことがありました。
実際にはその人たちがちょっと迷惑だっただけで世のバイク好きや車好きの中にはきちんと配慮している人たちもいると思います。一部のマナーの悪い人たちのせいでそういうレッテルを貼ったり偏見を持ってしまうことは往々にしてありますよね。
それと同じように、もしも僕たち音楽家が気にせずに好きなように大きな音を出して近所の人を困らせてしまったら「これだから音楽やってるやつは迷惑なんだよな」「近所に音楽やってる人がいると困るからどっか行ってくれないかな」なんてレッテルを貼られてしまうかもしれません。
僕は「SAKUMAMATATA(サクママタタ)」という名義で音楽活動をしていますが、当然ながら「音楽家」という肩書きも背負っています。配慮なしに行動してしまうと自分のせいでご近所に迷惑がかかるだけでなく、「音楽家」という肩書きそのものにも泥を塗ってしまうかもしれないワケです。
僕ももう30台半ばですから、自分のことばかりでなく一緒に暮らす家族のこと、ご近所のこと、もっと言えば後進の音楽家のことも考えた良識のある行動をするべきだよな、と考えてたりしています。
僕はSAKUMAMATATAであり、ひとりの音楽家であり、佐久間家の一員で大黒柱であり、今住んでいる地域の一員であり…そういった意識を持ちつつ、恥ずかしくない言動をしていくつもりです。
誰かに楽しんでもらったり役に立ったりするような音楽を作っている人間が、その音で誰かを苦しめたり嫌な思いをさせるのは望んでいません。そのためにできるかぎりの対策をする義務が音楽家にはあるのではないかと思っています。
まとめ
ここまでいろいろと書いてきましたが、要するに「音楽やるなら防音設備しっかりしようぜ」ということです。
まわりにも配慮しつつ、思う存分音楽に没頭できる環境を作って、より良い音楽ライフを送りましょう!
おわりに
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