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2周年を迎えました。音楽について語りました。

昨日、4月13日で森は2周年を迎えました。
先日、明香と「あれ2周年だっけ?3周年だっけ?」と、それくらいなんだか駆け抜けてきた感じがします。それだけ充実した日々を過ごしてるって事ですかね。

東京で修行して独立して白子町でmeleを開店して約5年、それから息子が生まれて2歳の時に睦沢町に越してきて2年。独立して約7年が経ちました。
最初は、お店をやってもし駄目だったらトラックの運転手をやるか、って思ってました(実は大型免許を持っていて以前10トントラックを乗ってました)
そんなこんなで、一人でパンを焼き始めたのですが  meleを開店した時は本当に暇で暇で、パンもどっさりと売れ残ったりしてました。
修行して培ってきた事に自信が持てなくなった時もありました。
売れ残ったパンが並ぶ棚を見て、悔しくて涙した日もありました。

でも、明香が「絶対に、いつかお客さんが来てくれて忙しくなるから大丈夫」と、落ち込んでいる僕を励ましてくれました。今思うと、あの時に明香の支えがなかったら僕は何か大切な事を諦めて放り出していたかもしれません。その言葉を励みに、パンを焼き続けてパンを通じて沢山の人と繋がって今があります。

その頃からのお客さんが、今も来てくれているのは僕達にとっての支えになっています。こんなに嬉しいことはありません。そして、森を開店してからご来店くださったみなさん、発送をご利用くださったみなさん、ありがとうございます。

最近、明香とよく話すのですが、これからの時代うちの様な個人店はもっとオリジナリティであっていいんじゃないか、と。
星の数ほどある喫茶店、パンの中でうちを選んでもらえる様に、これからも年月をかけてしっかりと根を張って、森喫茶でしか味わえないパン、空間、時間をサービスしていきたいです。
それって、ある日にパッと劇的に変わるものじゃなくてやっぱり相当の時間がかかると思います。でも、白子での辛かった思い出を糧にして、一日、一日と本気で取り組んでいくしかないわけで、そしてそれ自体が僕の仕事でもあります。

僕という人間は、誰か人に使われて働くのが出来ない人間です。それはわりと早い段階で気づいていました。今まで色々な厨房で働いてきたけれど、人に教えるのもどうも苦手でした。何もかも自分一人でやらないと気が済まない性格です。
でもその分やりがいがあります。上手くいった時の達成感はハンパないし、失敗した時の責任は全部自分にのしかかってくるから、まぁなんていうか分かりやすくて自分には合ってます。人間関係のしがらみとか、そういうのも一切ないから、この道を選んだってのもあります。

中学を卒業して、東京で暮らす様になった頃の話。
僕は16歳でした。当時、働いていた会社はアパレル会社でした。
アトリエにはターンテーブルとミキサーがあって、デザイナーが5人程いてそれぞれに好きなレコードを一日中ずっと鳴らしてました。その多感な時期に、毎日ほど浴びてたロックミュージックが僕の魂には染み付いてると思います。
ロックは基本的に、反抗がテーマの音楽だと思います。
いわゆる王道の道を外れて、我が道をいくみたいな。
その姿勢やヴィジュアル、そして反抗精神が詰まった音楽を通して僕はその頃から、いわゆる社会からドロップアウトしていたかもしれない。
当時、一般的な16歳に体験出来ない様な刺激に満ち溢れた日々でした。
昨日、久しぶりにその頃に聴いていた音楽をじっくりと聴きました。
そうすると、その頃のアトリエの光とか、誰々がどのレコードをかけていたかとか、これはA面の最後の曲だとか、様々な思い出も一緒に聴いてる感じでした。

そして明香もファッションの世界で働いていたし、同世代だから大体聴いてたのが同じなんですよね。懐かしいね〜とか言い合って。
はっきり言って僕は勉強が大嫌いだったし、今でもテストっていう言葉を見るだけでも嫌気がさします。そんな競争社会、点数評価の教育システムから僕を救い上げてくれたのがロックでした。
人の価値観はそれこそ千差万別ですが、少なくとも僕にとっては高学歴や就職先なんかよりも、魂のこもったロックを聴いてライヴに行くことの方が断然重要でした。

僕はこれからの森喫茶が、そういった一般的な価値観に縛られずに、ライヴに行く時のあのワクワクする高揚感みたいな、そういう何かポジティヴなエネギーがお客さんにダイレクトに伝わってくれたら、そしてそのエネルギーが家に帰って家族にも伝わったり、誰かが元気になったり、そういう循環が生まれたら、喫茶店にもそう言った可能性や役割があって、しかも僕達のスタンスでスタイルで社会に関われると思うと、ロック漬けだった日々、音楽を愛して止まないことにも、一切の無駄がないんだなって。

余談ですが実は僕、東京で暮らしていた頃に、たしか姉と銀座のデパートでとんかつを食べて、エレベーターに乗った時に金髪で長髪でステッキを持ってる人が一緒にエレベータに乗っていたんです。
「あれ!?もしかして!?」それにしては、本当に普通なトーンで立っていたから、「まさかな〜」って。
で、帰宅して何気なく見ていたTVで銀座で街頭インタヴューしていて、そのかたが映っていて答えていたんです。多分 picoっていうハワイのブランドのナイロンの巾着袋みたいのをかたに下げて。
びっくりして!やっぱりあれは内田裕也さんだったのかって!
いや〜今となっては貴重な思い出です。ハッキリと覚えてますよ。その立ち方とか、表情とか、ヴィジュアルはもう全く普通じゃないんですよ!ある意味ちょっとこの人大丈夫かな?って思ったくらいで。でも、そのヴィジュアルで普通のトーンで在ることがめちゃくちゃにかっこよかった。こういう大人もいるんだ世の中ってなんだか救われた気がしました。

僕も明香の大好きなカート。一度でいいからライヴを観たかった。
僕がNIRVANAを知ったのは中学生の頃。たしかUNDERCOVERがショウで爆音でNIRVANAをかけてたのがきっかけでした。当時はyoutubeなんてもちろんなくてブートのライヴVHSを買って学校に行かずにずっと観てました。
いつ聴いても大好きなバンドであり、カートの弱さや、脆さ、危うさ全てがセクシーなんです。僕が知った頃はもう死んでいたけれど、彼の作った音楽は今でも僕達の魂で生き続けています。