命の重さ

命の重さは地球より重いとたとえられます。このことは命を尊重しましょうという社会的な訓辞として言われます。

ところでより現実的に命の重さという言葉を考えてみます。命の重さはどうやって量られるのでしょう。命の重さとは心の中にあるものであり、この時、命の重さとは命が失われる時の悲しみによって量られます。

そして失われるものの悲しみの大きさについて考えてみると、人の記憶に強く残っているものほど失われる悲しみが大きいことに気づきます。

ここでまず、人以外の命と比べる例を出しますと、同時に2つの死の事実を知ったとき、見知らぬ国で知らない人たち(私たちが記憶にもないし想像もしづらい人たち)が死ぬことに対する悲しみより、自分が数年間可愛がって飼っていた犬が死ぬ時のほうが悲しいということです。

さらに言えば時には命ですらないものと比べることもできます。たとえば上記のような見知らぬ国の人の死と自分が大切にしていた宝物が壊れたときに、ものが壊れた悲しみのほうが大きいということはありうるのです。宝物はたとえば大切な人が作ってくれたものだとか、長年愛用しているもの、愛用品なんて言われるもの、単純に希少だとか高価だとか価値のあるもの等です。

どういったことがあれば人の記憶に残り、失われた時の悲しみが大きくなるのかについてはまだよい答えを得られておりません。おそらくは人の感情を大きく動かすあるいは小さくとも長年にわたり感情に働きかけるというものだと思われます。


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