見出し画像

Phase1『Union』エンディング 〜セルフライナーノーツを添えて〜

S.KT.です。
曲を作っています。


はじめに 〜音楽はライフワーク〜

ゆるくいく方針だって、決めましたからね!

ご無沙汰しております、S.KT.でございます。

突然ですが、皆さんは公な活動と制作物のクオリティのバランスについて、どうお考えでしょうか?
自身の音楽は趣味から始まり、形から入った事物が多いです。そして何より活動は個人的にやっています。
そのため今の段階では、クオリティアップのために公開が滞ることよりも、いろいろなものを出すことに重きを置くことが多いです。
広く浅く、いろいろなアイデアに触れるような感じです… 息をする感覚と似ています。

このような観点から、私は音楽との付き合い方を『ライフワーク』として位置付けることとしています。
自分が音楽に関わるいちばんの理由として、『音を楽しむこと』が挙げられ、人生を通して得た音を自身の創作物として還元し、この世に残す… それが楽しみになっています
(ただし、個人活動といえども他の人の迷惑にならないことは徹底していきたいです)。

そんなわけで、音楽を通した自己の、あるいは自己が触れたあらゆる事物の表現について追究しているこの頃です。

前置きはこのぐらいにして…
今回の記事では、先日Phase1『Union』が完結したことを受けて、Phase1全体・各曲の内容について振り返っていきます。


ちょっとした小話

最近、自身のサイトやSNS、配信サイトなどでS.KT.S.KT. Musicの二つの用語が並立していますが、その定義についてまず軽く述べておきます。
S.KT. - アーティストとしての名義
S.KT. Music - 自主レーベル(みたいなもの)の名前
※表現の都合で、サイトによって違っていることがあります。

S.KT.

0: 復習 〜Phaseの概念について〜

さて、ここから本編です。
この記事でPhaseについて初めて知る方もいらっしゃると思うので、Phase1を振り返る前に、まずは『Phaseの概念』についてあらためて説明します。
前回記事でも軽く触れましたが、『Phase』とは…

自分の中でPhaseは、楽曲制作における『おおまかな指針』です。
(ただし、そこまで厳密なものではありません)
また、歌ものが中心であることも特徴です(インストはまた別でまとめている)

出典: 前回記事

だいたいこんな感じです。
補足:前回Phaseは歌ものが中心と書きましたが、最初にまとまったPhaseが歌ものであるだけであり、曲が増えてくればインストにもPhaseが設けられるかもしれません。

楽曲制作を趣味としてゆるーくやっていくのも良いのですが、『はじめに』でお伝えしたように自身は音楽を『ライフワーク』として捉えております。
そのため、自分が作ったものが消えて無くならないように、自身の辿った軌跡となるように、その動線をはっきりさせる必要があると、以前から考えていました。

その結果が、Phaseの採用です。

1: Phase1『Union』全体の振り返り

いよいよPhase1『Union』について振り返っていきます。

いろいろな曲が集うという意味で、何の気なしにつけたタイトル『Union』。
しかし、曲投稿やさまざまな交流を経るうちにその意味合いも変化していった。
知声や巡音ルカを迎えた曲のほか、自作UTAU音源『せっきた』を用いた曲も投稿。この部ではポップな曲調が多いながらも、自己の内面を綴ったネガティブな歌詞も特徴的で、当時の葛藤が垣間見える。
曲投稿以外にも色々模索したが、結局のところ締切を気にせずコツコツやる方針に固まりつつある。そしてここを区切りとして、第一部、第二部…と定める方針が決定した。

出典: https://s-ktmusic.com/contents/phasetheme/

このPhaseの特徴は『曲や概念の集合と自己の再定義』です。

1つ目『曲や概念の集合』
趣味として続けてきた音楽活動を世に公開する際に、今まで培ってきたバラバラな要素をまとめ、自分の音楽としてどんな形で表現できるかを模索したものとなります。
2つ目『自己の再定義』
曲を作るスパンや自身の実力など… 自身が当時抱えていた葛藤などを曲にどう落とし込み、自分の音楽としてどんな形で表現できるかを考えたものとなります。

総じて、自身のアーティスト活動としての出発点を探るための試みだったとまとめることができるでしょう…
これはPhase1の活動を振り返っての感想です…
後付けではありませんよ、断じて。

そもそも、Phaseという概念自体が作曲期間の途中に思いついたものなので、要素自体は少しずつ加わっていきました。
はじめということもあり、後続に比べて特殊な成り立ちの経緯を持つPhaseでもあります。

2: セルフライナーノーツ10連発

記事が寂しいのでアルバムアートワークを添付

ここからは各曲の制作背景などについて軽く見ていきます。

1. 真冬の雪

曲をリリース… 公に出していこうと思い立った時、季節は冬でした。
その情景をそのまま曲として使い、自身の孤独な感情(Loneliness)と照らし合わせてしんしんとした曲に仕上げました。
また、この曲には自身がボカロ界隈に手をつけたきっかけとなる要素が若干含まれております。英語のタイトルや曲中の歌詞にうっすらと浮かべています。
ボカロ界隈初参入に際しては、無料だった『知声』を迎えています。
あまりにもナチュラルな歌い方であり、驚いた記憶があります…

2. Wash My Face

顔を洗うことさえ躊躇うほど、毎日をぼんやりと生きていた。
自身のやるせなさが朝、顔を洗おうと鏡を見るたびに現れている。
そうして浮かばない一日を過ごす。
そんな習慣に終止符を打つべく、この曲は誕生しました。
同時期に買ったCASIO CT-S1000Vをコーラスに添え、メロウな曲調でまどろんだ心情を表現しました。

3. 空音色の澄鳴

曲のタイトルはずいぶん昔に、ふと浮かんだものです。
それにストーリーをつけ、明るい一日を過ごそうとする『徹底的に前向きな感情』を再現しました。
S.KT.を名義にする前、個人的な音楽制作を行っていた頃の名残として、ジャケットには『TTKT』の文字が…
過去に思いついた要素は保存して、いつでも取り出せるようにする。そうすると思わぬ組み合わせがいつか誕生することがある。これは自身のモットーです。

4. コンビニエンスメンタル

コンビニという業種では、多様な人とのやりとりが欠かせません。
人によっては自分と合わない人もどうしても現れます。しかしお店の名前を背負っている以上、自分勝手なことは当然できません
そのような葛藤で心が壊れてしまう人もいるでしょう。
今を頑張る人に、少しでも気が楽になって欲しく、この曲を書きました。
…これは体験談です。

5. Insiemusica

2023年春に初参加となった『ボカコレ』。
せっかくなら自分にしかできないことをやろうと、今持っている最大限をぶつけました。
『せっきた』は以前から趣味で作りたいと思っていたUTAU音源を作ったもので、今回練習も兼ねて初導入しました。
曲は "Insiemusica" = 一緒に音楽 (イタリア語) という造語が示すように、自身が音楽と出会ったことで抱いた『曲を出せている表現者としての喜び』を共有したい、という思いを表現しています。
そのきっかけは、ボカロに限ればカラオケや音楽ゲーム
そんなわけで、この曲は2023年最初期からの音楽制作の振り返りに位置付けています。

6. stelflago

とにかくエモーショナルなロックが作りたかった。
かねてより所望していたクリプトン製VOCALOID『巡音ルカ』を迎え、その練習曲として作りました。
『真冬の雪』に次いである要素を加えたり、あるいは当時の流行りのあんな要素を加えたり… と、やりたかったジャンルを自分なりに解釈して表現した感じです。
曲名 "stelflago" は造語で『星の旗』みたいな意味です。
真夏の流星に響かせるように、ギターをかき鳴らしていきましょう!

7. ポストティーンエイジャー

近年は若い人たちの活躍が目覚ましい。
そんな妬み感情を抱くのは、自分に自信が持てていないからだった。
自分はすでにティーンエイジャー(10代)を越えた。
それはもうスタートダッシュに出遅れ、人生に失敗したも同じだと、自分を無茶苦茶な理屈で縛っていた。
しかしよくよく考えてみれば、それらの輝かしい人々は全員が違う人で、活躍する分野も違う。
自分は何者にもなれないと落ち込んでいるが、それは『個性も夢もバラバラな人々』のどんな人にもならなければならないんだと、大それたビジョンを浮かべて苦しんでいるだけなのではないか。
自分にできることを突き詰めていければ、それでいいはずだと再認識する。
まだ自分は、遅くない。
そんな、20代にして早くも人生の終わりに直面しようとする、捻くれた感情を歌った曲です。
ルカにはハスキーでウィスパーでブレスたっぷりな歌い方をやってもらい、内面に抱いた絶望感と、『どうしようもないがやるしかない』といったポガティブじみた感情を表現しようとしました。

8. これっぽっちも

曲作りはスランプの連続である。
趣味で曲を作っていれば思うように時間は取れない、体調がすぐれず曲を作れない…なんてこともざらにある。
そんな中、学校や仕事で突然やってくる、大きな負の感情
それに支配されて目の前が見えなくなる。
悲しい。
涙はどんな時にもやってくる。
それが歌の最中であったとしても。
自分は涙脆い性格なので、ちょっとの出来事で感情が大きく揺さぶられてしまいます。ゆえに相手にとって『これっぽっち』の出来事でも、自分にとっては一大事であるし、どうかそれをわかっていてほしい…と願って曲を書きました。
この曲は悲しみ真っ只中、涙でボロボロに崩れた感情のままで歌ってほしい曲です。その不安定さも、いつか自分の一部として、愛せるようになるはずです…

9. 飛び降り

この曲は独白(1分11秒)から続くストーリー仕立ての曲です。
独白中では陰鬱な心のうちを明かすような重い言葉が飛び交いますが、『飛び降り』が言いたいことはそれらの助長ではありません
『どうか踏みとどまってほしい。』これに尽きます。
近年は先の見えない時代と呼ばれ、ネガティブをそのまま歌う曲も多いです(自分も例外ではない)。
そんな中で、逆にそれを強いメッセージで止めようとする曲も多くあります。
自分は今回、後者の側に立って音楽を作りました。
飛び降り一つ取っても、周りの悲しみを鑑みれば自分の意思で決めることはできない。それでも人生を絶とうとする人への最後の砦として、この曲は立ちはだかります。
『戻ってよ!』と…
こちらはボカコレ2023夏で提出した曲ですが、ここまでメッセージ性が強い曲を今後のボカコレで出すかは分かりません。

10. Re:Union

Phaseという概念はそれほどキツい括りではないし、コンセプトアルバムのように強い目標があるわけでもありません。
それでも、自分の人生の足跡として曲を残しているのだから、定期的な振り返りをするための『チェックポイント』として一曲作るのもいいだろうと考え、この曲が生まれました。
曲は聴いてわかるように、Phase1のさまざまな要素を振り返っています。
『Union』は『曲や概念の集合と自己の再定義』が大まかなテーマでした。
1〜9曲目が今までの音楽人生で培ってきたことをまとめるものだとすれば、10曲目に当たるこの曲はそれらの9曲を『再び』合わせる曲に他なりません。そのような意味に加え、この曲を聴いた人が、音楽を通してS.KT.という存在と『また』出会えるようにといった意味を含めて『Re:Union』というタイトルをつけました。

おわりに 〜S.KT. Musicは抒情詩と化してゆく?〜

さて、ここまでPhase1を振り返ってきたのですが、こうしてまとめているうちに、私はある実感が湧いてきています。
それは、『S.KT. Musicが抒情詩的な側面を帯び始めている』ことです。

S.KT. Musicは、最初は単に自身の曲の発表の場として立ち上げた『名前』にすぎませんでした。しかしそれらを整理していくうちに、自身の人生と曲が密接にリンクしていることを実感してきました。
最近ではキャラクターだったりイラストだったり、側から見れば何やら迷走している気がしますが、これが素です自重しないとこうなります。
これからたくさんの作品を作り上げていくうちに、それらは一つの大きな世界・物語となり、この世に残るのではないかと思います(有名無名を問わず)
音楽は自身の『ライフワーク』であり、それは今後『抒情詩』として紡がれることとなるでしょう…

と、ここまで神妙に語ってきましたが…

音楽は楽しむことがいちばんなのは変わりません!

最後までご覧いただき、ありがとうございました!


アルバム告知

S.KT. Musicから、1st ボーカル・アルバム(すべて音声合成ソフト)
Union』をリリースします!(デジタルリリース)

アルバムイメージポスター

気になった方は、こちらから詳細をご覧ください!
S.KT. Music Portal (Official Website)の紹介ページ


Phase2『Audience』について

次なるPhaseは『Audience』です。

キービジュアル。
左からTTKT、S.KT.、どんけい、せっきた。

第二部『Audience』は、聴く人がテーマである。
すなわち、伝える側である自分がどのようなことを伝えたいかを明確にすることや、聴き手がどんなことを求めているかなどを考えるような部とした。
『自分と聴き手』みんなが輝けるような曲を目指していきたいという思いが込められている。

フェーズテーマより

…乞うご期待?


以上、失礼いたします。
(S.KT.)

©︎ S.KT. Music


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?