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車のクラッチのしくみと半クラッチのコツ

3級整備士の闇です!
第75回の今回はクラッチについて書いていきたいと思います。

〈クラッチとはどんなもの?〉

クラッチは、エンジンとトランスミッションと呼ばれる変速機の間にある、ディスク型の「動力伝達装置」のことです。エンジンの動力をタイヤに伝えたり、遮断したりする役割を担っています。トランスミッションとは変速機のことで、クラッチを通してエンジンからの動力をタイヤに伝える装置のことを指します。

画像左から「フライホイール」「クラッチディスク」「クラッチカバー」という3つの円盤状のパーツで構成されています。

これらの部位のなかで、エンジンと直接つながっているのがフライホイールです。フライホイールは、エンジンの動力をそのまま伝える部位になります。
クラッチディスクは、フライホイールのすぐ隣にあり、フライホイールに圧着させることで、エンジンの動力がタイヤ側に伝達されます。また、クラッチディスクがフライホイールから離れれば、エンジンからの動力が遮断されます。
クラッチカバーは、フライホイールやクラッチディスクを覆うように取り付けられています。

〈クラッチのしくみと構造について〉

MT車では、運転席の足元にクラッチペダル、ブレーキペダル、アクセルペダルが左から順に並んでいます。アクセルペダルを踏むとエンジンに動力がいきますが、タイヤに丁度いい動力を伝える役目をするのがクラッチです。

クラッチペダルを踏むことでエンジンとタイヤの間にあるクラッチを操作します。完全に踏みこむと、エンジンの動力はタイヤに伝わらない状態になります。


反対にクラッチペダルを踏んでいないとエンジンの動力がタイヤに送られます。

また、AT車の場合はクラッチペダルがないだけで、コンピューターによる制御と油圧によって自動的にクラッチ操作が行われています。クラッチペダルはなくても、実際にはMT車と同じように、エンジンからの動力をタイヤに伝えているのです。このように、MT車が行う変速操作を自動にしたものがAT車といえます。

〈MT車で半クラッチが必要な理由〉

冒頭でもお話ししたようにMT車を運転するときにコツをつかむのが難しいのが「半クラッチ」と呼ばれる操作です。特に発進、坂道発進などで苦労された方もいらっしゃるのではないでしょうか?

MT車のアクセルを踏むとエンジンは回転します。クラッチペダルを完全に踏み込んだ状態ではタイヤ側の円盤は止まっているのでエンジンは空転していることになります。
クラッチペダルから足を少しずつ上げていくと、エンジンの動力がタイヤ側の円盤に徐々に伝わり始めます。エンジン側の円盤の回転とタイヤ側の円盤の回転が少しずつ同調していくように調整することを「半クラッチ」と呼びます。

停車時、クラッチペダルを踏み込んだ状態から足をいきなり離すと、回転しているエンジンの円盤に回転の止まったタイヤ側の円盤が急にくっつくことになり、エンジンは回転を低下させてエンストしてしまいます。半クラッチを使うことで、エンジンの力が徐々にタイヤ側に伝わり、タイヤ側が回転しはじめてから動力をつなぐことになるので、車はスムーズに発進することができるのです。

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