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ハンドルの位置、調整してる?(意外と知らないクルマのこと)

新人整備士の闇です!
第28回の今回はハンドルの位置について書いていきたいと思います。

〈最適なドライビングポジションの調整〉

クルマを運転する上で重要なのが、正しい運転姿勢だということは、すでにご存知のことだと思う。クルマから外の状況をしっかりと把握できることはもちろん、ハンドルやブレーキ、シフトなどの各操作を的確にすばやく行なえるように、適正なドライビングポジションをとることが大切だ。

では、このドライビングポジションをどのように調整したらよいのか?もちろん、そんなことはいまさら説明しなくても分かっているだろうが、シートにしっかりとおしりと背中、肩がつくように座り、左足でフットレスト(MT車はクラッチペダル)を踏んで、ひざが少し曲がるぐらいになるよう前後に動かして調整。

そして、ハンドルの上部を両手で握った際に、軽くひじが曲がる位置にシートの背もたれの角度を合わせる。なお、下の写真のようにシートの座面の高さを調整するシートリフターがついている場合は、併せて上下方向に動かすことによって、さらに最適なポジションが得られる

と、ここまでは、よく見かける光景で、みなさんも実際に行なっていることだと思う。しかし、さらにハンドルの位置調整までを行なっている方は、あまり多くないのではないだろうか。中には、ハンドルの位置を調整できることさえ知らないという方もいるから驚きだ。

〈ハンドルのチルト機構とテレスコピック機能〉

黄色い矢印がチルト機構、赤い矢印がテレスコピック機能の軌道イメージ。

さて、ハンドルの位置を調整するものには、「チルト機構(チルトステアリング)」と「テレスコピック機能(テレスコピックステアリング)」という2つがある。チルト機構は、ハンドルを上下方向に動作させるもので、テレスコピック機能は、ドライバーに対して前後(遠近)方向に調整するもの。

一般的には、このチルト機構が標準装備されたクルマが多く、テレスコピック機能までついている車種は、あまり多くない。ちなみに、テレスコピック機能の場合は、それ単体ではなく「チルト&テレスコピックステアリング」として両方の機能を持っているものがほとんど。

また、メーカーによっては、「チルトステアリング」と表現しながらも、テレスコピック機能がついている場合があるので、取扱説明書などで確認してみるといいだろう。

このいずれも操作するためには、ハンドルの付け根となるステアリングコラムの下側(左寄り)にあるレバー(写真の赤まる内)でロックを解除する必要がある。高級車などでは、電動で調整できる車種もあるが、その形状こそ違うがレバータイプが一般的だ。

このレバーでロックを解除したら、両手でハンドルを握り上下、または前後(遠近)に動かすことによって、ドライビングポジションはもちろんのことメーターなどの視認性がよくなるよう調整できるのだ。

ただし、調整が完了したら最後にレバーでのロックを忘れずに。実は私も以前にやらかしたことがあるのだが、このロックをするのを忘れてもクルマを動かすことができてしまう。ただ、やはりステアリングがグラグラと不安定になり大変危険。

またロックがあまい場合も、走行中の振動などで外れてしまうことがあるので、安全な場所にクルマを停止させてから、しっかりとレバーを奥までロックさせることが重要だ。

なお、軽自動車やコンパクトカーなどでコスト優先のために、チルト機構もテレスコピック機能もついていないこともある。さらに、スポーツカーなどでは、軽量化や剛性を確保するために、位置を調整できない固定式の場合もある。

そんなときに、どうしても調整したいのであれば、ハンドルのつけ根にあるネジ部分にスペーサー(ワッシャー)をかまして、前後(遠近)を調整するという方法もあるので、ディーラーなどで相談してみるといい。

今回はハンドル位置について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!

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