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セミナーメモ:「インサイト」と「社会記号」

「インサイト」と「社会記号」
ICEインナーセミナー:第1回   |   2018/6/14(木) 
講師:嶋浩一郎  /  博報堂ケトル代表取締役社長

キーワード

* 欲望、インサイト
* ニュートラル
* ローミング

思想やアイデアの横断

* 広告、フリーペーパー、グラフィック、イベント、デジタル映像、CMなど、同時に多種の制作を走らせていると、1つの業態や職域ばかりしているよりもアイデアや気付きが多い。
* バイオリミックス:新幹線のパンタグラフの騒音とフクロウの無音を結びつけてみる

大事なこと①:ビジネスモデル

例) マクガイバー:
* 拉致→脱出のフォーマットはワンパターンだが、シチュエーションと脱出方法は、毎回新しいアイデアだらけ

例) アポロ13:
* 課題解決のためのアイデア

☝同じ条件、ゴール設定の中であっても、どこに行き着くまでのアイデア次第で面白くなる。


大事なこと②:コアアイデア発想

従来の分業:

戦略 > 表現 > メデイア > SP PR
→ ※ 分業だと既存手法の枠の中で発想しがち。

 ケトル式:

課題
  └ コアアイデア (人をどう動かすか)
     └ 手口ニュートラル・表現・タッチポイント

大事なこと③:インサイト

* 人を動かすために、インサイトの理解が必要

「インサイトを捉える」とは?

* ターゲットの欲望・ニーズ
* 製作者(思い込み) とユーザ/消費者でインサイトにずれがある
* 自社の機能オリエンテッドだと空振りすることがある

例:
* 日清食品:10分どん兵衛。5分で美味しいに縛られすぎて気づけていなかったインサイト (世の中の多様性を見抜けていなかった)

生活者の欲望をとらえるのは難しい

* 消費者はインサイトを言語化しない
* インサイトを捉えることは難しい
* 「インサイト = 欲望 (見えない欲望 / 無意識的欲望)」
* だからこそ「洞察」が大事

* 問題を解く側は「難問を解きたい」という自分のインサイトを自覚していない。

引用:羊たちの沈黙「欲望は自存するものではない」
→ 眼の前に出現したときに初めて出現する感情だから発生してはじめて存在する。

google や Amazonに来る人は、自分の欲求を自覚している

* ただし、それがイコールインサイトではない。
* 潜在的なインサイトを全体とすれば、自覚している欲求は氷山の一角だ

* ローミング
* ネットサーフィン
* 本屋を歩く
* 好奇心のサウンディング

人の傾向

* 言語化できている欲望に答えるサービスには感謝しないが、自覚していない潜在的な欲望を引き出すサービスには感謝し対価を払う
* Amazonと本屋の大きな差異

「無自覚な欲望に先回りして気づくこと」が大事

インサイトはどう発見するか?

* ゼロ地点で欲望は語りづらいが、出てきたものに文句はでやすい
* 文句、クレームは欲望の裏返し

日常の違和感

* タウンウォッチング
* 日常の違和感をみつけたらメモる → 何故かを考え、言語化すると訓練になる。
* 欲望の言語化 = 欲望に名前をつける
 例) 草食男子、おひとりさま
* 違和感に執着する

☝よくわからない違和感は「欲望の胎動」。
 つまり、インサイトを発見するチャンス

デコンストラクション (脱構築)

* エクストリームユーザの話を聞く
* インサイトをとらえると制作の精度があがる

【例1】ルクルーゼ
* 雑誌「Mart (マート)」
* 機能的側面ではなく、おしゃれなインテリアとして訴求することでヒットを呼んだ
* 製造者が表現したいこと ≠ 消費者のインサイト

【例2】au鉄道
* 鉄道ファンのインサイトをとらえた設計
* ライバル意識、知識をひけらかしたい欲

インサイトはあくまで仮説

* 潜在的な欲求だけに、ログや統計的数字根拠がない。
* インサイトはあくまで仮設なので、複数発生する
* その中で最も良いものを選定するスキルが必要

感想

BtoCのサービスやコンテンツを企画する時、上記 インサイト(顕在化されていない欲求) を先見して提案できることが大事と多くの事例を見せていただきながら痛感した。

しかしクライアントの多くは、過去の実施事項に対するログやアクセス統計的な数字を信用する傾向が強いときにどうすればいいのかと嶋さんにたずねてみた。曰く、仮説として「これだ」というターゲットのインサイトを見出したら、その話を理解してくれる担当者を捕まえて、粘り強く会話することだ、とのこと。

インサイトを先見する観察力/洞察力」「複数に仮説されるインサイトから最も良いものを選ぶ感性」「仮説を貫く信念や粘り強さ」をバランス良く持てるようになりたいと感じた。

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