『本日、酉の刻…』

今までのあらすじ その1 第1話から約第40話まで(仮)

※話がとても長くなったので、あらすじをというお話を伺いました。あらすじ自体もこんなに長くなり、あらすじにならないかも(笑)と思いながら、やっとこ物語の約半分を1話分のボリュームにまとめました。ぜぇぜぇ、やー、長いな~^^;。次男に先ほど、おかーさん、こうではないよ、次の話の前に、それまでの2・3話分のあらすじを3・4行くらい書いたものでいいんじゃないの?と言われ、そーだったのかもっ!と書き終わってから気がつきました!うわぁー💦

ま、今までの登場人物の振り返りも兼ねて、最初の方の話をupしました。こうやってあらすじだけ読むと、ほんとに説明調だと面白くないですね笑。

お時間あったら、できれば第一話からごゆっくり読んでくださいまし(^^♪。

関東以西の地方都市の大学へ通う大学2年生の葛城瑠珈は、天文同好会に所属していた。
古い石垣や城壁の残る大学の裏山での観測会の夜、彼女は空から降りてきた謎の青年ウルカと出会う。
怪我を負っているらしい彼は、その裏山の山頂近くの展望台から町を見下ろし、一人涙を流していた。
瑠珈を見るなりお前には俺の姿が見えるのかと言葉を残し、4枚の青い光の美しい大きな翅を広げ空を滑空し消えていった青年の姿を見て、瑠珈は強く心が揺れ動いた。

そんな彼女の足元には、精密で豪奢な装飾が施された、不思議な虫の音の響く小さな刀状の金属が残っていた。同じ天文同好会の友人の望月朋子や彼女の幼なじみの歴史研究同好会の坂本忠明、坂本の同級生で同じく歴研の大之井雄一の力を借りて、それが古い時代の武士の持ち物だった割笄の片一方であると知った瑠珈は、その笄を謎の青年に返そうと考える。

再び裏山を訪れた瑠珈の元に、巨大なカラスを思わせる化け物のような“鵺”がやってきて、その笄を渡せと迫る。
瑠珈を襲おうとした鵺たちから彼女を守ったのは、笄や鵺の気配を感じ裏山へやってきたウルカだった。
鵺の攻撃をかわし、瑠珈を抱え山の崖から飛び降りたウルカは、大きな翅を広げかろうじて瑠珈の通う大学の屋上へ脱出することに成功する。
しかし、力尽きたウルカは瑠珈の目の前で意識を失ってしまう。
彼の懐の中からは見たこともない美しい鱗を輝かせた瀑と彼が呼ぶ蛇のようなトカゲのような生物が現れ、瑠珈は驚く。

一方、政府の機関である“宇宙倫理研究所(略称:宙倫研。こちらは仮の名、正式名称は“宇宙倫理地球外特殊生物対策研究所)”の相馬俊樹は、ウルカ達、定常異空可動体・通称Bプロットたちを研究しつつ、歴史的な文献や遺物の中から異空移動(時渡り)をするBプロットたちの痕跡をことごとく抹消していた。
過去の歴史の中で新たにBプロットたちが時渡りをし何らかの動きがあると、現代の時代の歴史的遺物や文献にも彼らの移動における出来事や時の痕跡が現れ、小さな変化が起こる。
その痕跡をすべて抹消するのが相馬たちの主な仕事だった。

それと共に相馬は不思議な銅鏡の研究もしていた。
彼はそれがBプロットたちと何らかの関係があると直感的に感じていたのだ。
19年前に、ある考古学者により発見された銅鏡は、何百年たっても決して錆びることはなかった。
それどころか考古学者の手から離れるとすぐに瞬間移動し、その持ち主の考古学者の所へ戻ってしまうのだ。

銅鏡の研究を含めて、Bプロットたちの痕跡を早急に抹消させている理由が他にもあった。
一週間ほど前に、相馬たち宙倫研はBプロット・異空可動体で異星人の個体を一体捕獲したのだ。
あっけないほどに捕獲は成功したが、それにより現代はおろか、過去にも大きな動きが発生すると相馬は対応を急いでいたのだった。

宙倫研の地下空間に広がる巨大な研究施設の、あらゆる通信手段を遮断する硬化ガラスの特殊構造体の中に相馬たちは個体を捕獲していた。
脱出不可能なその施設で個体の研究を開始した相馬だったが、その個体の仲間のBプロットの新亜種、1574バージョンが目の前に現れることを、彼は密かに願っていた。

さて、ウルカが持っていた笄から、月の光がウルカを目覚めさせるカギだと悟った瑠珈は、暴風雨の中、瀑の子を連れて朋子と共に大学の第四棟の屋上へ向かい、雨が止むことを願いながら月の位置を確認する。大きな雷鳴が轟いた時、瑠珈は暗雲の中に巨大な瀑の胴体を見る。瀑に雨を止ませる力があるかどうか分からないが、気持ちが届くようにと瑠珈は手元にあった笠を雨雲に向かって投げ上げる。すると奇跡のように雨は止み、暗雲は千切れ始め、星空が見え始め、その雲間から月が現れたのだった。その夜空から美しく一枚銀色のプレート状のものが瑠珈の足元に落ちてきた。それを拾った瑠珈は、朋子と共に、雨を浴びて喜々とする瀑の子をいだきながらウルカの眠る歴研の部室へ急ぐ。月の光を浴び(厳密には月の光ではなく、月の方向、月の位置が大事なのだが、この時瑠珈はまだそのことを知らない)、瑠珈や朋子たちの尽力によって目覚めたウルカは、実は、瀑の探索をして現代へ渡り連絡の途絶えた彼の友人のイヌイを探しに、過去から現代へやってきた異空移動者であることが分かる。
ウルカの飛行に欠かせない、風を呼ぶ透明な空気の塊のような大きな生きものの煽をはじめ、現代の時代にも瀑や鵺など目には見えない、様々な異空移動をする生きものたちが沢山いることを瑠珈は知り驚く。
だが、自分もかつて幼い頃に、無為という透明な渦のような沢山の生きものと、夕暮れ時の広い河原で出会ったことを思い出す。
それは鳶色の瞳をした背の高い黒い服をきた人と共に現れ、彼女はひと時、姿や形を瞬時に変化させる透明な渦たちと心ゆくまで遊んだのだった。
虫の音と共に消えた彼らと、その黒い服を着た人の思い出は、大学で出会った朋子の他、長い間誰にも語らなかった不思議な出来事だった。

瑠珈を襲おうとした鵺たちも異空可動生命体だった。
鵺たちがウルカを追っている理由は時渡りのマーカーにもなり、それらに必要なデータと技術の詰まったウルカの笄を求めているためだった。
それがあれば自力で時渡りができない鵺たちも、簡単に時渡りのための移動データの算出が出来るからだ。
更にウルカには、過去からの追跡者もいた。
ウルカは彼の養父である月乃禰が、彼を過去に連れ戻すために放った異空可動生物の“堕射”の攻撃から逃れながら、イヌイが何故現代に身を隠したのか理解する。

彼は自分がイヌイを助けに行っている間、瀑の子を瑠珈たちに預かってもらうことを瑠珈に相談する。
ウルカの滞在先の大之井家の庭の泉の近くで、過去のウルカの記憶を垣間見た瑠珈は、彼が戦国時代に一度死んでいる事を知り、その壮絶な死と再び甦って異空可動体となった事実に衝撃を受ける。

特殊部隊が突入する中、ウルカは友人のイヌイを宙倫研の地下研究施設から救出した。
相馬は初めてウルカと対峙し、その凄まじい強さと存在感に圧倒されると共に、流れ弾が当たった相馬の怪我の応急処置をするウルカの姿に、過去の記録や言い伝えとはまったく異なる彼の姿を垣間見るのだった。

そのころ瑠珈は度重なる疲労のため、風邪を引き寝込んでいた。
その状態を朋子から聴き及んだウルカは、友人のイヌイを連れて瑠珈のマンションへお見舞にやってくる。
ベランダ越しに久々にウルカの顔を見た瑠珈は、熱も忘れてウルカに笑顔を見せる。
ウルカが紹介したイヌイは、昔瑠珈が子供の頃、河原で出会った不思議な人に他ならなかった。
瑠珈の特効薬はウルカに他ならないとウルカを残し先に帰ったイヌイを見送りながら、ウルカはイヌイの故郷の話を瑠珈に語る。
風邪に震える瑠珈に、感冒には瀑が効くとウルカは瀑の子とストールを預けて、再び闇夜に消えていったのだった。

――あらすじの後半に続く――

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?