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【推し活】渡せた!

先週土曜日の試合後、来週のスケジュールが決まって月曜日に公開練習をすることがわかった。この日は仕事だったけど、以前から渡したくてたまらなかった物があったから、有給を取るしか方法がなかった。
当日になって、上司に申し訳ない気持ちいっぱいの状態で連絡をし、練習場所のグラウンドに向かった。

前日は疲れて21時半に寝落ちする事態だったこともあり、真夜中にいったん目が覚めた。布団の中で転がって、起き上がって渡す予定のものを用意した。

推しは今月が誕生日だったけど、なかなか会える機会がなくて渡せないままだった。
壁打ち状態のSNSで呟いてたら、フォロワーのお友達が心配してくれた。

平気なふりをして何とか過ごしてたけど、いざ渡そうとすると緊張する。
この日のために作っていたスターブックも、注文していたブラウニーも用意万端だったのに……

当日の朝になって、練習場に向かう。
紙袋にまとめて、電車に乗る。いつも乗る小田急線で、降りる駅を危うく逃すところだったのは内緒だけど。
練習場に向かって、つくと既に始まっていた。練習については書けないので省略するが、2時間以上のトレーニングが終わると徐々に選手たちがクラブハウスに戻ろうとした。

この日のファンサービスはサインor写真がOKだった。選手たちがお疲れのところながら、スマホに写真を収める。たまにサインを…と思ったけど、書いてもらえるものがないので写真中心になる。
1時間ほど経って、推しが視界に飛び込んだ。

写真を撮ったり、サインをしていた。一番最初の頃のように、待ってる段階からドキドキはしない。ただ会いたいと思うだけ。
そして、自分の番になって紙袋を渡した。
「これ、もらってください」
そういう。
「で、これが……一見、普通の本になるけど逆に閉じると星の形になりますので」
説明するだけで精一杯だった。
一緒にあるブラウニーは同封の手紙でフォローしてもらう。明け方に急いで書いたものだったから、もっと丁寧に書けばよかったと思ったけど。
「えっ…何?」
気になってたようだったのは覚えてるが、推しの反応までは覚えていない。1番渡したかったのが渡せただけでも十分だった。
最後に写真を撮ってもらう。2枚のうち、もう1枚は逆光のツーショットだった。
「ありがとうございました」
それをいったら、推しは他の人のファンサをしていた。

あっという間の出来事だった。
渡せただけでも十分だった。
推しとは真逆の、コミュ障のオタクがやっただけあったんだから。
グラウンドをあとにして、電車に乗ると推しが好きだというのが強く残った。スマホの写真フォルダには青空を背景とした選手たちの写真に対して、逆光でとったツーショットが目立っていた。

あとでその写真を修正した。そこには笑っている推しが写っていた――


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