しりん

Nothing that wants to be told; nothing that needs to be known; a few things that wait to be put into words/ 重症筋無力症と折り合う日々・狎れ合う日々
固定されたノート

Le Cubisme Littéraire

(心象風景)
大事に大事に抱きしめていた小さな袋、事故の時も狂気の日も、それだけは肌身離さず持ち運んでいた袋、中には何も入っていない。跡形もなく、消えてしまっていた。だから私は、空の袋を抱きしめる、ありきたりの狂人になって、それでもいいし、そうでなくてもいい、と思っているから、たぶんそういう所が、ありきたりの狂人なのだと得心する。今日も私は、何も入っていない袋、口をしっかり閉じて、どこに行くにも持

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階段という思想――都市/文明/障害

題名かっこよくないっすか?
こういうキャッチーな本が並ぶ、90年代紀伊國屋新宿南口店の思想・哲学コーナーにいつもいた澁澤龍彦風のイケメンは、そう、ぼくですよ。

こういう本は、題名でだいたい分かるふいんきを、レファレンスと屋上屋を架す注釈で分からなくして、分からないほど売れるもんだから、日本は頭が悪くなりました。

単に、階段って、なかなかなトラップだよな、という話です。特に、何センチか高さの違

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シャバは厳しいぜ
脱力したまま、飯は出ちゃ来ないのさ

退院してやったze

ふひひ、カップ焼きそば食ってやったze

駄文――15年後の娘へ

お父さんは、いちばん賢くて、いちばん愉快で、いちばん為になる文章を、ぜんぶまるごと捨ててしまいました。あなたに残せるのは、こんな鈍い、綴方のようなものだけだけど、それでも、誕生日だもの、何かあげたい。あなたを思えば、ことばを紡げる。不思議な気持ちです。

次にこんな気持ちになるのは、いつになるだろう?

*

ぼくは、いつも笑っています。いつも。

ぼくにはどうにもできないことを、ぼくは、どうに

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じゅんこさん

じゅんこさんは、88歳。この病院の特別室に来て、3年になるそうだ。

じゅんこさんは、器量よしではない。小さく窪んだ円らな目。低くて平らな鼻。色黒で、皺しわ。

じゅんこさんの笑顔には、何の邪心も思惑もない。笑いたい時、笑いたいよう、笑う。

じゅんこさんは、いつもロビーのテレビの前。車椅子に腰掛け、手を前に組んでいる。

じゅんこさんは、こことむこうの間にいる。しばらく話して、どちらにいるか、

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