見出し画像

鏖殺グッドフェローズ

20XX年4月1日、アメリカ合衆国・ニッポン自治州、ネオトーキョー特別市。
アオヤマ・ハイスクールは、赤煉瓦の塀と電流鉄線で厳重に囲われている。
オシャレな制服に、オシャレな学園。オシャレな教師に、オシャレな生徒。
世の中で一握り、金持ちの選民の子息だけが青春を謳歌できる特別な場所。
塀の中の世界はあらゆるオシャレに溢れていて、キラキラと輝いて見えた。
だから、全部ぶっ壊してやる。

学園に続く、手入れの行き届いた並木道を、僕らを乗せたバスがひた走る。
「作戦はシンプルだぁ。手前らの犬並みの脳味噌でもよぅく理解できるぞ」
座席の最前列に立ち、迷彩服姿でがなり立てるオジサンが『隊長』だ。
「ガキを見たら、撃つ! 大人を見たら、撃つ! 全員殺す! 以上!」
隊長は訛りの強い日本語で喚き、大きな音を立てて台座を平手で叩いた。
僕はビクッと身体が震えた。隊長はキレやすくて、直ぐ手が出る怖い人。
中国人だとか、北朝鮮人だとか、色々と噂はあるけど何人だって興味ない。「放っときゃ野垂れ死ぬ戦災孤児が、誇り高き『小鬼義勇軍』の戦士だ!」
「「「ハイ、隊長!」」」
「金持ちが憎たらしいだろう? 復讐してえよな? やることは一つだ!」
「「「ハイ、隊長!」」」
「よぅし、街のダニどもの大掃除だ! 全員、『黒蛇牙』をぶち込め!」
「「「ハイ、隊長!」」」

僕は真新しい迷彩服姿で背筋を伸ばし、怒鳴るような大声で隊長に答えた。
取り出した黒いペン型注射器は、『黒蛇牙』というアッパードラッグだ。
元気が出て痛みを感じなくなるけど、使い過ぎると廃人になるらしい。
僕は震える手でキャップを外すと、右手で首筋にブッ挿した。

アオヤマ・ハイスクールの門前でバスが停まる。
「降りろ!」
僕たちは中国製のM4銃に弾を装填すると、バスを降りて校門前に整列。
「何だお前たち!」「ここがどこだか分かってるのか!」
「ああ知ってる。資本家の子豚どもの家畜小屋さ。革命開始!」

【続く】

頂いた投げ銭は、世界中の奇妙アイテムの収集に使わせていただきます。 メールアドレス & PayPal 窓口 ⇒ slautercult@gmail.com Amazon 窓口 ⇒ https://bit.ly/2XXZdS7