仮面ライダー龍騎を見た

仮面ライダー龍騎を完走した。面白すぎる。

初めは雰囲気も暗く、キャラクターも和気あいあいとしているわけでもないので怖い雰囲気だったが、中盤以降グッとのめりこんだ。
ライダー同士の戦いというストーリーは先にギーツを見てしまったので驚きは少なかったが、各キャラクターの作り込みと、キャラクター同士の絆がバリエーションに富みすばらしかった。

仲良くはならないが優衣を媒介にして真司と蓮は絆を深めていく。ライバルとして互いに戦い、ときにはゲームを攻略する同士として共闘し、同じ部屋で暮らし、優衣を助けたい気持ちは共通する。人を助けたいというまっすぐな気持ちと優しさを全面に押し出し、いろいろな事情を知っては悩む真司に対し、蓮は口では自らの目的のためのスタンスを崩さない。けれど蓮も非情にはなりきれない。蓮の心の底には真司と同じく人が大好きでそれゆえに悩む優しさがある。ただ、普段は「それでも俺には立場が、目的があるんだ」と押し殺して強がっている。きっと、そうでないと身動きがとれなくなることを知っているから。
終盤で蓮が真司に「お前はいろいろなものを飲み込むから悩むんだ」と言うが、それはきっと自分に対しての戒めの言葉でもあっただろう。
その蓮が、最終話直前の話で真司に生きろと言うシーンで涙が止まらなかった。ここまで絆を深めてきた真司が死ぬ場面に出会って、非情にも見える強がりのスタンスなど飛んでいってしまう。死ぬなと本気で思える優しさが蓮の根っこにはある。

北岡と朝倉も深い縁でつながれる。弁護士と凶悪犯だが、いくつかの事件を通して北岡は法的に朝倉を裁くのではなく、ライダーとしてこの縁に決着をつける方向に向かってゆく。
北岡は不治の病で死期を悟り、しかしライダー同士の戦いに熱は入らない。朝倉と深まっていく縁がライダーの世界につなぎとめるものだったのかもしれない。
最後に、北岡は戦いからの離脱を表明し、ずっとアプローチしている令子を食事に誘う。けれど、引退して食事に行くのではなく、朝倉との縁に決着をつけることを土壇場で選ぶ(が、叶わない)。
ここで効くのが北岡とその秘書兼ボディーガードの吾郎のブロマンス的でもあり、執事とお嬢様的でもある関係性だ。北岡の想いを受け取り、吾郎は朝倉と戦いにいく。倒すまで朝倉は北岡だと思って戦っている。この関係を精算するには、朝倉にとってもこの戦いは必要だった。吾郎は朝倉のことも思って戦いに出かけたんだろうか。

ほかにも、戦いの仕掛け人である士郎とその妹優衣のすれ違う愛情も大きな物語のキー、謎となる。真司と編集長の先輩後輩、上司部下の枠をはみ出た愛情のある関係性なども話に深みを持たせる。

立場や願いが異なり、仲良しこよしの関係性はほとんどないが、みんなそれぞれの絆で結ばれている。みんな大好きだ。

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