見出し画像

9.11とNFLそして伝説へ…色んな意味で

ご注意

アメリカ同時多発テロで自身、家族や友人等に何らかの影響を受けた方は読まないでください。人によっては不謹慎だと怒り出すこともあるでしょう。そんな気がする人も読まないでください。
それでも読みたい人は冒頭の『NFL2001開幕直後』を読まずに『NFLの分岐点』からどうぞ。


NFL2001開幕直後

2001年のNFLは9月9日開幕し、その2日後の9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が起きた。日本は夜10時ごろ緊急ニュースに切り替わりワールドトレードセンタービルから煙が立ち込める映像が画面いっぱいに映し出される。もうすでに1つ目の旅客機がビルに突っ込んだ後だったのだろう。そして間もなく2機目ももう一方のビルへ…崩れ落ちるビル…現場はパニック…私はとても現実とは思えない、まるで映画のワンシーンのような光景を見ながら「今シーズンのNFLは終了だな・・・」となんとなく考えていた。今になって思えば不謹慎この上ないが、あまりのショッキングなことを前にすると人間意外とこんなものであろう。
アメリカ同時多発テロ事件の影響で、9月16日、17日に予定されていた第2週の試合は、翌年1月6日、7日に延期された。それにより第36回スーパーボウルを始めとするすべてのプレーオフ、プロボウルは1週間延期された。
意外にもNFLは全体のスケジュールとしては1週間ズレ込んだだけで、ほぼ通常通り開催されたのだ。当時NFLはテロには屈しない、日常を取り戻すということをアナウンスしていたと記憶している。

分岐点

現在NFLを語るうえで、Brady以前・Brady以降という概念が古くから見ている方たちにはあるように思えます。その分岐点となったのが9.11があった2001シーズン                                                                    2002年の1月19日(2001シーズンのAFCディビジョナル・プレイオフ)がアメリカ合衆国マサチューセッツ州フォックスボロにあるフォックスボロ・スタジアムでペイトリオッツとレイダースが対決した。後にTuck rule gameと呼ばれる試合である。レイダースのリードでむえた試合終盤、レイダースのCB.24 Charles WoodsonがペイトリオッツのQB12. Tom Bradyをサックした際にファンブル、これをレイダース側がリカバーしたように見えた。しかしオフィシャルレビューで判定は覆り、パス失敗でペイトリオッツのオフェンス続行となる。最終的にペイトリオッツは逆転勝利するのだが…
Tuck Rule Game NFL公式ハイライトのリンク
問題のプレイはリンク先の1:06~………
どうですか…パス失敗に見えましたか?ファンブルに見えましたか?

世論

ネットで当時の世論を探したところ…見つからなかったので、先日twitterで皆様にアンケート協力させていただきました。
アンケートを拡散してくださった方
投票してくださった方ありがとうございました。m(_ _)m

アンケート結果

こんな感じの結果になりました。4:6くらいになるかと思ったのですが…
『ファンブルだ』というご意見がかなり多いようです。
キャッチなのかファンブルなのかは、当時もさんざん議論されましたし、ここでそれを講釈しても仕方がないので…
なぜパス失敗の判定になったのか(もちろんルールにのっとって判定が下されたのは当然ですが…)エンタメとしてのNFL、アメリカの象徴としてのNFLという観点から異次元の発想で妄想してみようと思います。

ココから少し都市伝説的な話も

0,最初に言っておきます

信じるか信じないかは…』いや信じないでください(笑)
変なこと考えてるヤツもいるんだなと笑ってくれれば幸いです。
そう思えそうもない方は読まずにそっとブラウザを閉じるか、一難去ってまた一難まで読み飛ばしてください。

1,名前の意味

先述したように”NFLはテロには屈しない、日常を取り戻す”ということでシーズンを再開しております。そしてNFL、特にSUPER BOWLは日本人が考えているよりもアメリカ人の生活に根付いたものです。そのNFLが(1週間ずれ込んだものの)通常通りシーズンを再開していました。日本だとこんな時にスポーツなんてやっている場合ではないという声が聞こえてきそうですが…NFLがあえて通常通りのシーズン、日常を送ることはアメリカ人にとって心の支えになっていたと聞いております。
さてTuck Rule Gameに話を戻します。このプレイ結局パスインコンプリートという判定になりました。もし判定がファンブルであればレイダースがカバーしているので、レイダースの勝利が確定していたのですが…

ところで、ペイトリオッツとは愛国者という意味を持つ名前のチームです。対するレイダースは侵略者という意味を持つ名前のチームです。審判たちは試合前に、同時多発テロ事件があったばかりなのに、愛国者が侵略者に負けたら縁起悪いな…なんて思ったかもしれない。

2,愛国者たちの希望

同時多発テロ後初めての試合が2001年9月23日week2、NYJ@NE、10-3で7点ビハインドの4Q 5:03に大きな転機が訪れる。当時NEのスターQB Drew BledsoeがNYJのLB Mo Lewisにしばらく立ち上がれないほどのタックルを受けた。その後も痛みをおしてプレーを続けたもののまともにパスが投げられる状態ではなかった。その後の検査で肺を損傷するほどの大怪我ということが判明し、長期離脱に追い込まれた。優勝を狙うチームにとっては絶望的な出来事だった。
4Q 2:16 代わって登場したのはNFLで出場経験のほとんどない2年目の若手QB、2000年のドラフトで6巡199番目でピックされた、当時とても評価の低かった青年である。結果その試合は負けてしまった。しかし、彼の諦めない姿勢はチームメイトにはしっかりと伝わっていたように思う。
控えQBにとってNFL初先発となるweek3はPeyton Manning率いるコルツとの対戦にディフェンスの大きな助けにより44-13と快勝。その後勝ったり負けたりを繰り返すが後半week10昨年の覇者シンデレラボーイKurt Warner率いるラムズに17-24で敗戦したのを最後にweek17まで6連勝、11勝5敗の成績でAFC第2シードを獲得しプレーオフ進出を決めた。序盤2連敗でエースQBを失ったペイトリオッツにとって無名の控えQBは希望の光となっていた。その光景は全米が注目していたことでしょう。

3,判定

ディビジョナルプレーオフでのレイダースとの対戦に戻る
もしチームの名前が愛国者じゃなかったら?
もしチーム名が侵略者じゃなかったら?
サックをしたのがペイトリオッツだったら?
サックを受けたのがレイダースだったら?
結果は変わっていたのではないだろうか?そんなことを妄想してしまう
同時多発テロがあったその年に愛国者が侵略者に負けるわけにはいかないという深層心理が、多くの人の中にあったのではないだろうか…

誤解のない様に…(できれば読んでね)

タックルールに興味のない方は要するにまで読み飛ばしてもOKです。

NFL Rule 3, Section 21, Article 2, Note 2
When a Team A [an offensive] player is holding the ball to pass it forward, any intentional forward movement of his [the thrower's] arm starts a forward pass, even if the player loses possession of the ball as he is attempting to tuck it back toward his body. Also, if the player has tucked the ball into his body and then loses possession, it is a fumble
タックルールについて掘り下げるつもりはもともとなかったのですが、誤解を招きそうなので、簡単に?説明しておきます。(詳しくはリンク先を参照)タックルールゲーム以前から問題のあるルールとやり玉に挙げられていたルールでありました。実はこのシーズンのはじめ、くしくもweek2のNYJ@NEの試合でもジェッツのQBVinny TestaverdeがNEのDEにサックされた際にタックルールが適応されています。その後も何度か適応があります。

パサーがパスのモーションをしている最中に、QBがパスの動きを止める間、もしくはパスをやめようとボールを持った手を自分の体にタックしようとしている間は、フォワード・パスのモーションは終わっていないと考え、途中でボールが落ちた場合パス・インコンプリートと判断する。
パスモーションを完全に止めてボールをタックした(持った腕を引きこみ終えた)後にボールのコントロールを失った場合、それはファンブルと考える、というものである。
問題はQBがパスのモーションをやめてボールを持った腕を自分の体に引き戻そうと、つまりタックしようとしている最中"he is attempting to tuck it back toward his body"であったのか、既にタックし終えていたのか"player has tucked the ball into his body"という点です。タックし終えたという定義には、パサーがランを仕掛ける、再度パスを投げようと振りかぶるといった次の動作に移る・移れる状態にあるというもの。
『パスキャッチかファンブルなのか』と一緒ですかね?次の動作に移行できる状態。

要するに(こっちは必ず読んでね)

タックルール自体にわかりにくさや、釈然としない部分があったにせよ当時の判定はルールに沿ってくだされたものだったということです。
ま、終わったことですし、いま騒いだところでどうなるものでもないので…ちなみにタックルールは2013年3月に廃止になりました。

一難去ってまた一難

希望の象徴に、またまたピンチがやってきます。
AFCチャンピオンシップNE@PITでパントリターンTDで先制したもののスティールカーテンに阻まれ調子のあがらないペイトリオッツQBに2Q足首の負傷というアクシデントが起こります。week2ケガで離脱し、その後ケガから復帰したものの先発から外されていたBledsoeが後を引き継いでの勝利。
この試合点差以上に接戦だったと思っています。おそらくBledsoe交代しなかったらペイトリオッツは負けていたのではないかと思っています。

二つのアメリカンドリーム

アメリカが待ち望んだSUPER BOWLXXXVI(第36回スーパーボウル)2002年2月3日当初の予定より1週間遅れで開催された。最近公開された映画American Underdogの主人公でもあるラムズQB13,Kurt Warnerは2年前、アメリカンドリームをつかみ取ったヒーロー。対するは、week2でエースQBを失い絶望しかけた愛国者という名のチームが6巡199位の無名の青年と共になんとか勝ち上がり、アメリカンドリームをつかみ取ろうとしている。
アメリカ同時多発テロで暗い影を落としたアメリカ国民を勇気づける、どちらが勝ってもアメリカ国民にとってハッピーエンドになりそうなカードとなった。まるで脚本がある映画のような2001年シーズンでした。

とにかくNFLを楽しんで!!

事実は小説より奇なりと言いますが、このようなことがほぼ毎年のように起こるNFL。昨年もワースト5位からSBに駆け上がったベンガルズと万年弱小(言い過ぎ?)だったライオンズからやってきたQBがラムズでSBを制覇。
ルールが難しそうとか、選手が多すぎて覚えられないとかは気にしないで、1シーズンを海外ドラマを見るようにストーリーとして観ていくと面白いんじゃないでしょうか?
書き始めたときの構想と違ったところに着地しましたが、要はみなさんNFLをFootball Lifeを楽しんでくださいってことです。Let's Go---!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?