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雑居房 #1蒲田温泉

雑居房かよ。

テレビやラジオがないのはもちろん、時計や温度計があったと思しき位置は、引きちぎられたようなコードが垂れ下がり、影というかシミが残っている。かつてはそこにあるべきものがあったのだろう。雑然と暑い部屋があるだけで、あとは苦しそうな男性達が座っているだけ。森のアサガオという刑務官を描いたドラマで見た刑務所にも、ラジオから流れる井上陽水に受刑者が陶酔している場面があったくらいだし、刑務所でももう少し楽しめる計らいがあるはずだ。

体感温度は92度くらい。ただ我慢しているおじさん達しか眺めるものがない雑居房スタイルだと、温度に集中せざるを得ないので、実際より暑く感じているかもしれない。

暑さに耐える、という本質的なところに集中できる良いサウナだった。

黒湯、という肌に良いという温泉もあり、中高生のような肌艶を取り戻した気がする。

この温泉は、あつ湯とぬる湯にわけられており、あつ湯が48度...は? ぬる湯が43度...はい?...という感じで、この街の人たちはどうやら汗腺が無いらしい。

あつ湯には、あたたまるというより、煮られているという表現が正しそうな、真っ赤な老爺が沈んでいた。ぼくは、肩下くらいまで入るのが限界だった。末端だけ浸すよりも、思い切ってある程度の表面積を煮え湯に触れさせた方が、刺激が分散されて楽なことがわかった。たぶんこの経験則はここ以外で活かすことはないけれど。

#風呂レビュー  #蒲田温泉 #銭湯 #サウナ

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