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新型コロナウイルスに感染した話(2022年2月)

※この話は2022年2月に体験した出来事になります。できればこのタイトルの話はせずに済む人生だと良かったんですが…。

2023年5月より新型コロナウイルスが感染症法上の分類で2類相当→5類相当に変更になりました。結核やSARSと同じ分類からインフルエンザと同じ分類になるという事のようです。いわゆる「コロナ禍」の世の中ではなくなったという認識で良いのかなと思っていますが、やっかいな流行病があるんだという事は変わっていないし、一度感染したとはいえ型や株の違いで複数回感染している方もおられるようなので、自分も含めてまた感染した時のための備忘録と歴史資料的意味合いも兼ねて記録に残しておきます。何年か経って「あー、こんな騒動ありましたねー」みたいに読めるといいなと思っています。

経緯と発覚

仕事でご一緒した方が発熱しました。
それが週末だったので月曜に医療機関受診・検査をしてもらい、当時は感染者が爆発的に増えており結果が出るのが早くて水曜だろうと。
なので、とりあえず僕は【感染者の濃厚接触者】として考えて、東京都の「接触があった日の翌日から7日間の行動の自粛」のルールに則って自宅待機をする事にして、その7日間が終わってお仕事(ライブツアー)に合流する際にPCR検査をしてみたら陽性でした…!

最初の一報の時点で僕も市販の抗原検査キットで検査したら陰性で、鼻水と喉の違和感が少し…今年の花粉症は早いけど軽いな、と思ってた程度のがあったんですが、後から考えてみたらこれが自覚症状だったのでしょう。
医学的には無症状に近い軽症と診断される部類ですが、新型コロナ感染者という事になったのでプラス10日間の隔離生活に入る事になりました。

宿泊療養の申込

10日間の缶詰なので、とりあえず餓死しないようにネットスーパーやウーバー等の宅配業者と東京都の支援状況を確認。
宿泊療養の部屋を増やしたけど空きが多いです…みたいな報道が1月ぐらいにあったので、ダメ元で宿泊療養を申し込んで断られたら配食サービスを申し込むという流れでいくことに。自宅周辺の宅配事情もなかなかに充実してましたが、期間中欲望のままにフル宅配して破産というのも厳しいものがあります。
宿泊療養の窓口は10回ぐらいかけ直したら繋がって、現在の症状や既往症なども丁寧にヒアリングされ、翌日〜翌々日以降の入所で調整しますとの事。
とりあえず配食サービスの申込は一旦ペンディング。
んでその日の夕方に「明朝より施設に入所、午前中にお迎えが行きます」との折り返しがありました。
年齢と喫煙履歴のダブルパンチで重症化リスク高の判定になってしまったようです。
東京都の諸々の当時の案内URLを貼っときます。お住まいの自治体によって違いはあると思いますが、だいたいは自治体か保健所に感染時の案内がありました。なおこの日のうちに保健所と厚労省からSMSで連絡があり、COCOAの入力を依頼されました。いろいろ逼迫しているという報道はありましたが、丁寧な対応に感謝しております。

宿泊療養施設に入所

予定時刻の少し前に電話があり、建物の入口などの確認。
アクリル板とビニールシートに囲まれた席に乗り込むと運転手さんから名前の書かれたホワイトボードを提示されたので、はいと答えようと思ったら座席を指差されて見るとマルとバツが付いた棒が置いてあり、意思表示はこれでしろという事と理解。
そうだ僕は感染者だった。喋るとウイルス入りの飛沫が飛ぶのだ。
普段タクシー乗る時とかは運転手さんとどうでもいい会話を繋げようと頑張って降りる時には疲労困憊、なんて事もたまにあるけど逆にこれは楽で良かったです。
ホテルに着くと名前と部屋番号の書かれた封筒が置いてあり、それを取って部屋へ。都知事からの手紙や入所中の注意事項等が書かれた書類、パルスオキシメーター、ルームキー等が入っていました。
部屋に入って数分すると内線電話で保健師さんと面談。前項で記したようにハイリスク組に入っているせいか中和抗体療法も案内されました。この時点で特に症状がなかったとはいえ、専門家とお話しできるのは非常に安心感がありました。
施設従業員さんからも内線電話で血圧計の場所や健康管理システム(LAVITA)の入力方法などの連絡がありました。

都知事からのお手紙

施設内タイムテーブル

基本的な1日の流れはこんな感じ。
7:00 起床、体温と血圧を記録
7:30〜8:30 朝食
午前中に保健師さんから内線電話で問診
12:00〜13:00 昼食
16:00 体温と血圧を記録、保健師さんから内線電話
18:00〜19:00 夕食
食事の1時間の間はロビーが感染者専用空間になってて、置いてある食事と飲料水などを取りに行けます(食事で出た弁当の空き容器などもこの時に捨てます)。
血圧計の置いてある部屋が各フロアに1部屋ずつ開放されてて、計測時にその部屋に行きます。PCが1台置いてあるので、健康管理システムにそこから入力している人もいたようです。持参したスマホで事足りました。

LAVITA入力画面
ちょっと良いめのビジホ。窓の向こうは目の前に隣のビル
水を1日2リットル以上飲むよう指示されました
通称血圧部屋。日当たりが異常に良かった
今さら密を避けても遅い人たちの乗るエレベーター

基本的な生活

ビジホに一週間缶詰という事で、アクティブな人だったら大変そうだけど僕の場合はPCも持って行ったりして普段家にいるのと大して変わらない感じで過ごしていました。
楽器も持って行ってて(インターフェース経由でPCに繋ぎヘッドフォンを使用していたのでほぼ無音でした)、録音作業も進めていました。この期間に録音した曲は↓のアルバムのうち先行シングルとして発表したM2、M6、M11の3曲になります。

僕の割り当てられたホテルがいわゆる「滞在型」というやつだったので、部屋に電子レンジや洗濯機が置いてあったのも大きかったですねえ。他の人の話ではレンジ待ち渋滞が発生していたというのも聞いていたので…。出てきた弁当がことごとくレンジよりちょっと大きい箱だったり中の皿が回らないサイズだったりしたのはまあご愛嬌でしたが、弁当の綺麗そうなフタや紙コップを保存して回るサイズに整形したりするなどのライフハックが蓄積されていきました。
ビジホによくある備品類は使い捨てのものが多いのでほとんど揃ってたんですが、電話の横にだいたい置いてあるメモ帳とペンが無かったのは使い捨てじゃないからでしょう。保健師さんの問診の時はApple PencilでiPadにメモをとっていました。

味噌汁とコーヒーは瞬殺でした
電子レンジ用容器のエースとして活躍

気になる食事

もともと仕出し弁当に触れる機会が多い生活をしていたので、弁当の予算感とかはだいたい見ればわかるんですが「おそらく800〜1000円前後だな…」といった感じでした。その後報道でいろいろ出てきて、僕が利用させていただいた施設では中抜きなどもなく適切に予算運用がされているなと思いました。報道等では突出したマイナスの部分が論じられがちですが、現場レベルではみなこの災禍と真剣に向き合っていた印象です。感謝しかありません。一週間で5キロ太りました。

とっても美味しかったです

一部の写真はこちら↑
全ての食事を動画で解説したアーカイブをファンクラブ内コンテンツに残してあるので、ぜひ見て欲しいです(宣伝)。

できれば活用したくないTips

もし今後もまたこういった宿泊療養を利用する機会があるとしたら…というお話も。またこんな世の中になるのも勘弁なんですが、いちおう記録に残しておきます。
基本的な持ち物は保健所から提示されましたが、あればよかった、もしくは無くても大丈夫だったみたいなものは実際にやってみないとわからないものです。という事で必需品を列挙しておきます。アマゾンのリンクも貼るから買うと僕に少しバックが発生します。

・ラップ、紙皿
部屋から出なくて1日3回の弁当はカロリー過多、というか「まだ腹へってないのに次の弁当が来ちゃったよ!」な事が何度もあったので、例えばご飯を小分けのおにぎりにしてラップに包んでおくとかすればより健全な食生活ができるかなと。電子レンジに入らない弁当箱対策に紙皿があれば無駄な工作もしなくて済みます。アイラップは直接レンチンせずに耐熱の何かを下に置いてくださいね。

・甘味等嗜好品
食事と水分は潤沢に支給されますが、味のついた飲み物やお菓子とかは無いのとビジネスホテルの空調対策でのど飴とかがあれば良かったかも。コーラ10日分とか持って行くのはどんなに好きでも非現実的かなと。

・カトラリー類
弁当以外にもカップ麺なんかもロビーに置いてあって、足りない人はこれでなんとかしてくださいみたいな事が書いてあったんだけど、箸は無かったという落とし穴があったので、割り箸とかあると良いですね。弁当の箸を割るのに失敗する事もあるし(実際あった)。その時は数分考えてコーヒー用のマドラーを使ったりもしました。使い慣れた食器でメンタルを保つことも重要です。

・HDMIケーブル、もしくはFire Stick的なやつ
莫大な空き時間には部屋のテレビにスマホをつないでアマプラの映画を観たりもしました。コロナ禍の前はビジホに泊まる事も多かったので、ケーブル類はもともと持ってて助かりました。

・洋服
案内に書いてあったので必需品かと思ったら、空調の効いた部屋から出ずに誰にも会わないので、滞在期間中ずっと寝巻で過ごしてました。寝る前に風呂入って身体と一緒に下着を手洗いして、空調の乾燥対策で部屋に干していたので備えつけのドラム型洗濯機もほとんど使わない有様。行きは専用車だけど帰りは公共交通機関を使うので、そこには上着が必要でした。

僕は利用しなかったけど、どうしても必要なものなどは必要な手続きを経て届けてもらったものを受け取る事も可能だったので、わりと気楽に構えても大丈夫だったかと思います。

そして日常へ

10日間の隔離生活で「ワンマンライブを翌月に控えたプロモーションとして事務所に組んでもらったイベントツアーをまるごと欠席する」というプライスレスな損失を叩き出してしまったんですが、幸いにもこれといった自覚症状も無かったし1年以上経った今でも後遺症的なものも無く過ごしています。

できうる限りのスピードとパワーをもって対応してくれた行政・医療・周りの人達への感謝は尽きないし、今でもその思いは忘れずにいます。一日も早くこの感染症と災禍が通り過ぎますように。そしてこの記事を読んでも誰の役にも立たないような世界になる事を願っています。

退所時に渡された紙に書かれていたショッキングな文


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