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春のital life

週末に近所のビーチで憩うとき、街へ散歩に出かけるとき、カブで小さな旅を楽しむとき、たとえばそうしたご機嫌な晴れやかなシーンではちょっとお洒落して気分を華やかに昂らせたくなります。ぼくの場合、選ぶ服はパタゴニアのヴィンテージウェア、もしくは天才服飾アーティスト、竹ピーさんが創作するital life(アイタルライフ)のパンツやTシャツになります。

黄金週間のはじまりに、東逗子のアトリエを公開し、また新作をお披露目すると竹ピーさんから知らされ、初日に伺ってきました。

今回の目玉だと自分が思うのは、この一見オーソドックスな2着。パターンから縫製までひとりで行なう服からは、斬新で自由な発想力だけでないタケPさんの高い職人的な高い技術を感じさせます。きちんと仕立てたテーラードジャケットとファティーグパンツはとびきり上質な生地を厳選しているのですが、ふわっと柔和な佇まいなのは独自のセンスによるのでしょう。

ミリタリールックな色合いと武骨なフォルム。米軍の将校が纏いそうな上着だなぁと触れ開いてみると、なんと内ポケットにこんなヴィヴィットな配色が。外見と内面の大きなギャップと驚きのコントラスト、意外性。なにげに潜んだ遊び心にまたまた唸り、ひそかにユニークな人物に対面している感覚に心酔しました。今回の展示会はちょっとしたズレがテーマみたいですが、常人にはこのズラシをサラッとできないもの。少しズレるだけで心がとても自由に軽やかになるというのに。さすがタケPさんです。

マネージャーのアズサさんが羽織るこの『エラーシャツ』なんて、その名の通り左右でシャツの長さが違う。「ボタンがズレてるんとちゃう?」なんて指摘されそうですが、「いやいや、あえてなんすよ」と答えたときの相手の反応にワクワクしちゃいそう。さりげなく奇抜なんですが、オリジナルウェアの全体像はおおむねシンプルでベーシック。

じつはMUJIのビッグファンだというタケPさんのバランス感覚をぼくは心からリスペクトしています。

白、墨黒、赤、灰、そして今回のカーキ。タケPさんお気に入りの色にときめきます。鮮烈な赤白と渋いジャケットの色合わせも軽妙。レゲエファッションを想起する『スカンキンハット』もよく似合うなぁ。

ぼくも真似してスカンキンハットをかぶってみました。個性が過ぎて丸顔の自分には似合わないかなと先入観を抱いてましたが、あれっ、このストローハット仕様はなかなかいい感じでしっくりくる。丸みがポップだけど、フェルト生地より控えめな印象。これを頭に散歩したら心踊るだろうなぁ。

新作ではないけど、タケPさんが個人的にヘビーローテーションだと話すこのベースボールTシャツには改めて魅せられてしまったよ。手描きしたものを鵠沼在住、友人の漆塗り職人シンちゃんがPCで起こしたオリジナル書体。カッチリしたテイストが格好いいし、白地に赤の数字が素敵。アーティスト自身が愛着してる景色も惹かれる要因なのかな。

展示会ではゲリラ的に素晴らしく美味しいカレーが振る舞われる(有料)のですが、ぼくはスパイスを探求すりタケPさんの料理人としての力量にも感服していて、その味わいが大好き。徹夜続きで制作に追われるなか、カレー作りは良い気分転換になるという言葉に甘えて仕込んでもらっていました。本当、旨い! 落ち着いたら大阪流のお好み焼きを囲む酒席をぜひ。来月後半が待ち遠しいなぁ。

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