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自分史上最も過酷な口内炎との闘いのキロク【侵入奇胎・口内炎対策】

<前回までのあらすじ>
呑気に生きてきたミドサーです。
第二子妊娠直後、夫が海外赴任。
胎児合併全奇胎により稽留流産をし、経過観察中に性器の大大大出血で救急搬送。
膣・肺転移による臨床的侵入奇胎の診断がつき、あれよあれよと抗がん剤(MTX)治療を開始。

前回の記事はコチラ


本日のnoteでは、MTXの代表的な副作用の【口内炎】について、闘いの振り返りと知り得た薬剤や対策等を書き留めています。

舐めていた!想像を絶する口内炎との闘いのキロク。

侵入奇胎のファーストラインとして、国内で最も汎用されているメトトレキサート単剤療法(以下、MTX)。

1クール14日間【投薬5日、休薬9日】の筋肉注射をHCGが陰性化するまで繰り返す。
(陰性化後には追加の地固め1〜3クール)

2018年の診療ガイドラインによると、MTXは同列のコスメゲン(アクチノマイシンD)単剤療法よりも初回寛解率は劣るが、脱毛や吐き気の副作用が少ない為、先行して選択されることが多いらしい。

【初回治療寛解率】
メソトレキセート単剤療法 60〜85%
アクチノマイシンD単剤療法 84〜88%

(2018年ガイドライン 第8章 絨毛性疾患の治療 CQ41)

注射の痛みさえ我慢すれば、休薬期間も9日間あるし余裕かも?がんばるぞー!なんて前向きに考えていたが、

この薬、筋肉注射(3cc)の痛みもさることながら、副作用やそれに付随するマイナートラブルが結構辛い。


特に代表的なのが【口内炎】。
カミソリ刃を噛み砕いたような状態と表現されることもあるそうで、文字通り口の中がズッタズタのズッタズタになる。


私は元々若い頃から口内炎を繰り返しやすい体質だったので、最初の医師からの説明の際にも「口内炎なら慣れてるから大丈夫です〜」なんて主治医の前でヘラヘラしていたが、


なんか、

もう、

全然違う。全っっっ然違う。


1クールの3日目に、早くもひょっこり現れた唇の小さな口内炎。ほんの数日でみるみる巨大化し通常の口内炎の5倍くらいパンパンに腫れ上がる。

会話は愚か息を吸うのも耐え難く、痛みで一日中全身が小刻みに震えジリジリと体力を奪われる。

そして治療が進むに連れてそれが下唇、舌の側面、喉、扁桃腺、上顎へとぐんぐん範囲を拡大し、割とすぐに口の中が全周囲ズタズタになった。


勿論、何も食べたくない。

一言も発声したくない。

誰も話しかけないでほしい。

ただ無言で座ってるだけでも痛い。

呼吸すらしんどい。

痛みに耐えるだけで疲弊。

広範囲で塗り薬が気持ち悪い。

夜は痛みでなかなか寝付けない。

就寝中も痛みと薬の不快感で寝た気がしない。

朝は特に痛みが強く、薬はネバネバで気分最悪。

あげたらキリがない。思い出しただけでも背筋がゾクゾクする。トラウマである。

しかも投与中よりも休薬期間の方が悪化するので、治癒する間もなくまた次のクールが始まり、回を追うごとに増強されるというエンドレス口内炎ノックの苦行サイクルだ。

勿論それ以外にも色々な副作用に見舞われ、

注射の週 → 激痛注射5日連続ノック&凄まじい倦怠感
休薬の週 → 凄まじい口内炎&下痢&痔&倦怠感

なんかもうずーーーーーっっっと色々なところがひたすら痛い。誰にも会えない会いたくない。泣くほど痛い。家から出たくない。出来ることなら眠剤でも飲んでずっと寝て痛みを忘れていたい。




結局、私は3クール後に扁桃炎と口内炎が大爆発状態になり、水すら飲めず四日間絶食状態。
真夏も相まって脱水を伴い即入院。
体重は2週間で6キロ減。

(後に大幅リバウンド)

合わせて好中球も急激に減少し、口内炎もグレードⅢとなり、MTXはここで脱落することとなる。


侵入奇胎や絨毛癌を始め、その他MTXを含む治療に何クールも耐えている方々は、きっと想像を絶する苦痛に耐えながら何ヶ月もの日々を辛い思いで治療を続けていると思う。

いつかこの副作用に対して、新薬や何かしらの革新的な対処法が見つかりますように。。。

(このページの最後に、今回私が知り得た対処薬や対策を書き残します)

負の無限口内炎ループのメカニズム

抗がん剤による口内炎は、
投与日から4〜5日で発生→治癒するまでに10日はかかるが、
侵入奇胎の場合は投薬スケジュールがせわしなく、毎回9日後には次のクールが始まるので、口内炎ループから永遠に抜け出せない。

特にMTXは、葉酸代謝を拮抗阻害することで効果を発揮する薬剤である為、口内炎や下痢をはじめとした消化管への打撃が特に強く出てしまうそう。

メソトレキセート等、抗がん剤による口内炎対策や処方薬リスト

最後に、私が受けた治療や色々な方に教えていただいた口内炎対策について、忘れないうちにこちらにまとめてみました☟

歯科医に「出せる薬は全て出し切った」と言われた処方薬リスト

ハチアズレ
(顆粒の水で溶く塩味のうがい薬。殺菌効果は無く、保護成分がメイン。効果はマイルドでも絶対手放せない。ひたすらこれでうがい。唯一滲みない水分。命の源。笑)

デキサメタゾン軟膏
(口内炎用の軟膏。大量に塗りすぎるとカンジダになるリスクもあるそう。)

アフタッチ
(口内炎用の貼付剤。幹部が広範囲で収まり切らず、これはもはや無意味でした。むしろ苦労して貼ってもすぐうっかり剥がれたりして度々出血。)

アズノール軟膏
(ゴム風の味に慣れれば、唇や舌にはアフタッチやデキサよりもベタつかないこれが良かったです。)

エピシル
(スプレータイプ。患部に油の膜を張るもの。歯科でのみ処方可の抗がん剤の口内炎用の薬。効果は不明。かなり独特な味でどうしても続けられませんでした、、、)

トラネキサム酸&ピリドキサール
(錠剤。一日3錠ずつ。トラネキサム酸は扁桃炎や口内炎、咽喉頭炎に適応がある炎症や出血などを抑える薬剤で、ピリドキサールはビタミンB6です。)

リドカイン含有うがい液
(麻酔成分のうがい液。これで麻痺させてご飯を流し込む。かなり助かった愛用品)

ロキソニン、カロナール
(痛み止め。多少やわらぐので辛い時に頓服。最も重度の時はあまり効果を感じられませんでした。ちなみにロキソニンは添付文書的にはMTXの副作用を増強する恐れがある為、非推奨です。)

アセトアミノフェン点滴
(カロナールと同じ成分の点滴。入院時に痛みで眠れずお願いし、6時間おきに投薬して頂くも、残念ながら殆ど痛みの変化無し。。。)

マウスピース
(投薬すると口腔内が腫れて歯が当たり口内炎が出来るとのことでマウスピースを作って頂く。腫れ始める前から予防的に装着し、かなり緩和されました。縁など擦れる箇所があるとそこからまた口内炎になるので良し悪しはあり。保健適応になるので3〜4千円程度で作成可。)

オーラルピース クリーン&モイスチュア
(これも愛用品。歯科に推奨された市販の口腔内保湿剤&歯磨き剤。院内のコンビニで購入しました。ジェル状のオレンジ風味の口腔ケア製品で、介護現場でよく使用されているそうです。一般的なスッキリする歯磨き粉は痛みで使えないので、こちらをガーゼや柔らかい歯ブラシなどにとって歯を磨いていました。オーガニックで新生児から大人まで使え、歯磨き粉としても、乾燥気味で痛い時にも、マウスピースがあたる箇所の保湿剤としてもマルチに使えるアイテムでした。3歳の娘も一緒に使用中。)

その他の気になる薬や対処法


サルコートカプセル
(口内炎用の噴霧式ステロイド。最もしんどい時、喉には軟膏が届かない&広範囲すぎてベタベタ&ティッシュで水分を取るのも塗るのも激痛なので、こちらも試してみたかったかも。)

フォリアミン(葉酸製剤)、ロイコボリン(活性型葉酸製剤)
(MTXは葉酸代謝を拮抗阻害することで効果を発揮する薬剤の為、それにより口内炎も付随して悪化します。口内炎予防で葉酸が処方されている方もいました。尚、前者はMTXの作用機序と干渉してしまうので投与時間をずらす必要あり。後者は同時に投与可能で補助療法として確立されていますが、流通の問題で現在入手困難とのこと、、、)

口内炎中の愛用品 オーラルピース


院内コンビニで購入&Amazonでも買えました


つづく

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