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新潟の思い出と。ダブルデッカーが、またひとつ

ダブルデッカー車。日本の鉄道車両におけるそれは、2階建ての車両のことを指します。ダブルデッカーの付いてる車両といえば関東近郊JRの中距離電車のグリーン車だったり、海を渡る快速マリンライナーだったり、近鉄特急ビスタカーだったり。

私にとってのダブルデッカーの思い出といえば、東海道線のグリーン車。母と熱海に行ったときに乗車し、おねだりして買ってもらったジュースを飲みながら……小田原を越えたあたりでふと見えた熱海の輝く海。

平屋がメインの日本の鉄道において、やはりダブルデッカーというのは格別です。2階席から見た眺めはもちろんのこと、一階席もまた味があります。
一時期はダブルデッカーが流行り、サービス向上目的だったり輸送力強化だったりといった理由で数々の特急列車、新幹線、観光列車などでもダブルデッカーが採用されました。しかし時代は移り代わり、東海道新幹線や東北新幹線からは一部ダブルデッカーの車両が引退。在来線にはしばらく残ってましたが、それも最近になると老朽化により引退が進み、ダブルデッカーは次々と数を減らしていきました。

そして明後日、10/1をもって姿を消すダブルデッカー車両がいます。上越新幹線のE4系新幹線です。

オール2階立て、8両編成、その車体を外から見るとまるで「壁」。新幹線通勤を支えるため生まれて、2編成繋いだ16両編成になると輸送力では日本一。繁忙期はその巨大な輸送力をフルに発揮した車両でしたが、速度向上をはじめ様々な問題点があり同様の後継車は造られず……東北と比べ速度が早くない上越新幹線で長らく走ってましたが、老朽化をもって引退することとなりました。新幹線の更新サイクルは短いのです。

私のE4系の思い出といえば、2年前にえきねっとのお先にトクだ値で30%割引のチケットを買い、初めて新幹線グリーン車に乗った思い出。越後湯沢から大宮までわずか1時間、「物足りない」が真っ先に感じた感想でした。車内ではおやつに買った草餅に、「よう遠くまで来たねぇ、帰りの新幹線で食べなさい」と駅前のお土産屋の老婦人店員から頂いてしまったこしひかりパイを食べた記憶。僅か1時間、されど1時間な深い思い出があります。

本当なら、去年か一昨年に引退してたはずの列車。ですが、乗りおさめのつもりで乗った夏の次の季節、秋に台風が襲来し、長野の新幹線が水没。上越新幹線に導入していたE7系を北陸新幹線にまわすことになり、このためにE4系が延命されたという話があります(北陸新幹線は路線環境が特殊なため、現在ある車両ではE7系以外が走行することはできません)。
図らずも伸びた寿命。ですが新幹線に乗る機会なぞそうそうあるわけもなく、結局このときが最初で最後のE4系乗車となりました。

おそらく二度と二階建て新幹線は生まれることはないでしょう。またひとつ、思い出のダブルデッカーの車両が消えてしまうことが残念でなりません。

THANK YOU MAX
二階建て新幹線の記憶はいつまでも

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